近年、ニュースやインターネットなどで児童相談所という言葉を見聞きする機会が増えています。しかし、「どんな相談ができるの?」「どのような人が働いているの?」と疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。児童相談所は、虐待への対応だけでなく、子育ての悩みや発達に関する相談など、子どもと家庭を幅広く支える大切な機関です。この記事では、児童相談所の役割や仕事内容、働く職員の種類について分かりやすく解説します。児童相談所への理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
児童相談所とはどんなところ?
18歳未満の子どもに関する専門的な相談機関

児童相談所は、18歳未満の子どもとその保護者、家庭環境を支援する専門的な相談機関です。都道府県や指定都市などに設置されており、発達や障がいに関する悩みをはじめ、子育ての不安、学校生活での困りごと、虐待など幅広い相談に対応していますよ。また、必要に応じて児童福祉司や児童心理司などの専門職が関わり、子どもと家庭の状況に合わせたサポートをしています。近年は、こども家庭センターなどの関係機関との連携も強化されており、より切れ目のない支援体制づくりが進められていますよ。
児童相談所と他の相談機関の違いとは?
相談できる内容と権限の強さに違いがある
児童相談所と他の相談機関の大きな違いは、相談できる内容の幅広さと、持っている権限の強さです。多くの相談機関は助言や支援、関係機関との連携を中心に行います。一方で、児童相談所は子どもの安全を守るため、一時保護などの法的な措置を行うことができる点が特徴ですよ。具体的には、以下のような違いが挙げられます。
| 相談機関 | 主な相談内容 | 主な対象年齢 | 権限の強さ |
|---|---|---|---|
| 児童相談所 | 虐待、発達・障がい、非行、不登校、養育困難、家庭環境の問題など | 0~18歳未満の子ども | 非常に強い(立入調査、一時保護、施設入所措置などが可能) |
| 青少年 センター | 非行、ひきこもり、友人関係、学校生活、青少年の悩み | 小学生以上〜30歳以下の青少年 | 弱い~中程度(相談や指導、関係機関との連携が中心) |
| こども家庭 センター | 子育て相談、発達相談、妊娠・出産、家庭の悩みなど | 妊産婦、0~18歳未満の子ども | 中程度(相談・支援が中心。必要時は児童相談所につなぐ) |
| 保健センター | 発達相談、育児相談、乳幼児健診、健康管理 | 乳幼児〜高齢者まで(※利用する目的によって異なる) | 弱い(健康相談や保健指導が中心) |
| 発達障害者 支援センター | 発達障がいに関する相談、就学・就労支援 | 全年齢 | 弱い(専門的な助言や支援が中心) |
| 教育相談 センター | 不登校、いじめ、学校生活の悩み | 小学生~高校生が中心 | 弱い(学校との連携や助言が中心) |
| 福祉事務所 | 生活困窮、ひとり親家庭、福祉サービス利用など | 全年齢 | 中程度(福祉制度の利用調整や支援決定が可能) |
児童相談所にはどんな役割や機能がある?
相談対応:虐待・発達障害・非行・里親など
児童相談所の主な役割の1つが、子どもや家庭に関する相談への対応です。虐待相談のイメージが強いかもしれませんが、子育ての悩みや発達・障がい、不登校、非行など幅広い相談を受け付けていますよ。具体的には、以下の通りです。
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<児童相談所でできる相談内容の例>
- 虐待に関する相談 身体的虐待やネグレクト、心理的虐待、性的虐待など、子どもの安全に関わる問題について相談できます。
- 発達・障がいに関する相談 発達の遅れや発達障がい、知的障がいなど、子どもの成長や発達に関する悩みに対応しています。
- 子育て・家庭環境に関する相談 育児への不安やしつけの悩み、親子関係の問題、家庭内のトラブルなどについて相談できます。
- 学校生活に関する相談 不登校や登校しぶり、いじめ、友人関係など、学校生活での困りごとに対応しています。
- 非行に関する相談 家出や深夜徘徊、万引きなどの問題行動について、子どもや保護者を支援しています。
- 里親・養子縁組に関する相談 里親制度や養子縁組についての相談、里親を希望する方への支援などを行っています。
調査と判定:家庭環境を把握し支援方法を検討する
児童相談所の2つ目の役割は、調査と判定です。専門的な支援が必要な場合、児童相談所は調査や診断を行い、子どもや家庭の状況を詳しく把握します。その結果をもとに適切な援助方針を決定し、必要に応じて指導や治療、各種支援につなげていきますよ。具体的には、以下のような流れで行われます。
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<児童相談所が行う調査と判定の流れ>
- 子どもや家庭の状況を確認する 面談や家庭訪問などを通して、家庭環境や地域での生活状況、学校や園での様子を把握します。
- 成長や発達の経過を調べる これまでの生育歴や生活歴、過去の相談内容などを確認し、子どもが抱える課題や背景を整理します。
- 専門職が子どもの状態を評価する 児童福祉司や児童心理司、医師などが、発達や心理面、健康状態を専門的な視点から確認します。
- 支援方針を決定する 集めた情報をもとに専門職が話し合いを行い、在宅での支援や福祉サービスの利用、一時保護など、その子どもに合った支援方法を決定します。
一時保護:必要に応じて子どもの安全を確保する
児童相談所には、子どもの安全を守るために、一時保護を行う役割もあります。一時保護は子どもを保護者から引き離すことが目的ではなく、心身の安全を守りながら今後の支援方法を検討するための大切な措置ですよ。具体的には、次のような場合に実施されます。
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<一時保護が必要になる主なケース>
- 迷子や虐待などにより緊急に保護が必要な場合 保護者と連絡が取れない迷子の子どもや、身体的・精神的虐待が疑われる子どもなど、速やかに安全を確保する必要がある場合です。
- 家庭での養育が難しい場合 保護者の病気や入院、事故、逮捕、行方不明などにより、子どもの養育を担う人がいなくなった場合です。
- 非行や問題行動への対応が必要な場合 家出を繰り返している、万引きや深夜徘徊などの非行が見られる場合です。
措置:保護者への助言や指導で家庭環境を改善する
児童相談所では、子どもが安心して暮らせる環境を整えるために、必要に応じてさまざまな措置を行っています。たとえば、子育てに不安を抱える保護者に対して助言や指導を行ったり、必要な福祉サービスの利用を勧めたりしながら、家庭での養育を支援します。また、保護者だけでの対応が難しい場合には、児童養護施設や乳児院、里親家庭への委託などを検討することも。子どもと保護者の双方に寄り添いながら、より良い生活環境づくりをサポートしていますよ。
以下の記事では、ペアレントトレーニング(保護者が子どもとのより良い関わり方を学ぶための支援プログラム)について紹介しています。あわせて参考にしてみてくださいね。
養育支援:安心して暮らせる里親家庭につなげる
児童相談所では、さまざまな事情で家庭での生活が難しい子どもたちのために、適切な養育環境につなげる支援も行っています。具体的には、以下のような種類がありますよ。
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<児童相談所が推進する里親制度>
- 養育里親 保護者の病気や入院などの理由で家庭で暮らせない子どもを、一定期間預かって育てる里親です。数日から数か月など、短期間の受け入れを行う場合もあります。
- 専門里親 虐待を受けた子どもや発達・情緒面で特別な支援が必要な子どもを養育する里親です。一定の経験や研修を受けた方が担います。
- 親族里親 両親の死亡や行方不明、長期入院などにより養育が難しくなった場合に、祖父母や叔父・叔母などの親族が子どもを育てる里親です。
- 養子縁組里親 将来的に養子縁組を行うことを前提として子どもを受け入れる里親です。養子縁組が成立するまでの間は、里親として子どもの成長を支えます。
市町村援助:市区町村の窓口へ情報提供する
児童相談所には、市区町村の相談窓口や関係機関をサポートする役割もあります。たとえば、関係機関から子育てに不安を抱える家庭や発達に関する相談が寄せられた際には、必要な情報や専門的な助言を提供しながら連携を図ります。また、状況に応じて適切な福祉サービスや支援機関につなぐことで、子どもと家庭が継続的なサポートを受けられるよう支援していますよ。地域のさまざまな機関を結びつけながら、子どもの健やかな成長を支える橋渡し役を担っているのも、児童相談所の大切な役割の1つといえるでしょう。
児童相談所に通告・相談をしたい時はどうする?
緊急連絡先189に電話をかける
児童相談所虐待対応ダイヤルは189(いちはやく)です。全国共通の番号で、電話をかけるとお住まいの地域を担当する児童相談所につながります。虐待が疑われる場合の通告はもちろん、子どもに関する心配ごとの相談も受け付けていますよ。また、通告や相談は名前を伝えずに匿名で行うことも可能です。連絡した人の個人情報や相談内容は適切に取り扱われ、プライバシーは守られます。そのため、「気になるけれど通告してよいのか迷う」という場合でも、安心して相談しましょう。
児童相談所は虐待の通告があったらどのように対応する?
原則48時間以内に職員や関係機関が家庭訪問する
児童相談所に虐待の通告や相談があった場合は、まず子どもの安全を確保することが最優先となるため、原則48時間以内に状況確認が行われます。家庭訪問や保育園・学校などへの聞き取りを通して、子どもの生活環境や様子を把握していきます。虐待の疑いがある場合には、一時保護を行いながら保護者への聞き取りや子どもの観察を進め、必要に応じて立入調査を実施することも。特に、子どもの命に危険が及ぶおそれがある場合や、保護者の同意が得られず安全確認が難しい場合などには、警察と協力しながら子どもの安全確保にあたります。警察の他にも、学校や児童福祉施設、家庭裁判所などと連携しながら、子どもと家庭に適した支援を進めていきますよ。
児童相談所で働く職員にはどんな人がいる?
児童福祉司

児童福祉司は、担当する地域の子どもや保護者からの相談に応じながら、必要な支援につなげる専門職です。主に児童福祉に関する相談に応じ、家庭訪問や聞き取りを通して状況を把握します。そのうえで、関係機関との連絡調整や支援計画の作成、保護者への助言などを行い、子どもと家庭を支えていますよ。実務経験を積むことで、後輩職員の指導や育成を担う教育・訓練・指導担当児童福祉司(スーパーバイザー)として活躍することもできます。豊富な経験や知識を生かしながら、児童相談所全体の支援の質を高める重要な役割を担っていますよ。
以下の記事では、児童福祉について詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてくださいね。
相談員
児童相談所には、窓口で相談を受け付ける受付相談員や、子どもや保護者からの相談に対応する相談員、電話相談員などがいます。たとえば、子育ての悩みや発達に関する不安を丁寧に聞き取り、必要な支援につなげる役割を担っています。相談員や児童福祉司として働くには、地方公務員試験に合格し、児童相談所に配属されることが一般的ですよ。どちらも相談対応や支援を行いますが、児童福祉司は家庭訪問や関係機関との調整など、より専門的な業務も担当する点が特徴といえるでしょう。
児童心理司・心理療法担当職員

児童心理司は、子どもの心や発達の状態を専門的に把握する職員です。たとえば、「言葉の発達が気になる」「集団生活になじめない」「気持ちをうまく表現できない」といった場合に、面接や心理検査、行動観察などを行います。また、一時保護中の子どもや家庭・学校などの状況を確認しながら、必要な支援方法を検討することも大切な役割ですよ。心理療法担当職員は、子どもや保護者の心のケアを行う専門職です。たとえば、虐待や不登校、親子関係の悩みなどによって不安を抱えている場合に、カウンセリングや心理療法を実施します。児童心理司が心理検査や判定を担うのに対し、心理療法担当職員は継続的な心の支援を行うことが特徴といえますよ。心理療法担当職員になるには、大学や大学院で心理学を学ぶほか、公認心理師や臨床心理士などの資格を取得する必要があります。
以下の記事では、公認心理師の仕事内容や将来性について解説しています。あわせて参考にしてみてくださいね。
医師(精神科医・小児科医)
児童相談所では、精神科医や小児科医などの医師が専門的な立場から子どもの健康や発達を支えています。医師は、子どもや保護者に対する診察や医学的な検査、診断を行うほか、虐待が子どもの心や体に与えた影響について専門的に判断する役割も担っていますよ。また、必要に応じて医療機関や支援機関との連携を図るとともに、児童心理司や心理療法担当職員が行う心理的な支援について助言や指導を行うこともあります。
保健師

保健師は、子どもと保護者の健康面を支える専門職として児童相談所で活躍しています。たとえば、「子どもの体重がなかなか増えない」「乳幼児健診で発達について相談したい」といった場合に、心身の健康状態や生活環境を確認しながら支援していますよ。また、必要に応じて医療機関や保健センター、こども家庭センターなどの関係機関に情報提供を行います。さらに、一時保護中の子どもの体調管理や健康相談の対応も、大切な役割の1つですよ。保健師になるには、学校や養成所に通って看護師免許を取得し、所定の保健師養成課程を修了後、保健師国家試験に合格する必要があります。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士

理学療法士は姿勢や歩行など身体機能の向上を支援し、作業療法士は食事や着替え、手先の動きなど日常生活に必要な動作の習得を支えます。また、言語聴覚士は言葉の発達やコミュニケーション、聞こえに関する課題に対して専門的な支援を行います。こうした専門職は規模の大きな児童相談所に配置され、子どもの成長を支えながら、家庭での関わり方について保護者へ助言することもありますよ。子どもができることを少しずつ増やし、自信を持って生活できるよう成長を支える大切な存在といえるでしょう。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士になるには、いずれも養成課程を修了し国家試験に合格することが必要です。
臨床検査技師
臨床検査技師は、医師の指示のもとで血液や尿、脳波などの検査を行い、子どもの健康状態を確認する専門職です。たとえば、発達や健康面について詳しい確認が必要な場合には、検査結果をもとに病気の有無や心身の状態を把握し、適切な診断や支援につなげる役割を担いますよ。また、健康管理に必要な検査を実施し、医師による判断を支えることも大切な仕事です。臨床検査技師として働くためには、定められた養成課程を修了したうえで国家試験に合格し、臨床検査技師の免許を取得する必要があります。
まとめ
関係機関が連携しながら支援を行うことが大切

この記事では、児童相談所の役割や仕事内容、働く職員の種類について詳しく解説しました。子育ての不安や虐待、発達や健康に関する悩みなど、児童相談所にはさまざまな相談が寄せられています。近年は虐待相談件数が増加しており、児童相談所が担う役割はますます重要になっていますよ。そのため、児童福祉司や児童心理司など多職種が連携しながら、子どもと家庭に必要な支援を届けています。また、子どもが安心して成長できる環境を整えるためには、地域や関係機関が協力し合うことも欠かせません。この記事を通して、児童相談所への理解を深めてくださいね。


