療育におけるわらべ歌の効果とは?【手遊び・歌詞・意味・乳児】

皆さんは、”かごめかごめ”や”あんたがたどこさ”などのわらべ歌を聴いたことはありますか?子どもの頃に1度は遊んだことがあるのではないでしょうか。これらのわらべ歌は、療育においてもさまざまな効果をもたらします。この記事では、わらべ歌を療育に取り入れる効果やオススメわらべ歌の紹介など、療育におけるわらべ歌について詳しく解説します。子どもたちの発達を促すために、わらべ歌がもたらす効果を役立てていきましょう!

わらべ歌とは?

遊びを含む昔から歌い継がれてきた歌

わらべ歌とは、昔から子どもたちの間で歌い継がれてきている、遊びと一体になった歌のことです。童謡と混同されがちですが、童謡は大人が子ども用に作った歌のことであり、わらべ歌は子どもたちの遊びから生まれて口伝えされてきた歌であるという点で違いがあります。また、わらべ歌最大の特徴は、遊びと歌が一体になっていることです。さまざまな動きや手の振りが歌に伴っているため、子どもたちは歌と遊びを同時に楽しむことができますよ。

わらべ歌を療育に取り入れる効果は?

歌詞やリズムが覚えやすい

わらべ歌を療育に取り入れることで見られる効果はたくさんあります。1つ目は、歌詞やリズムが覚えやすいことです。わらべ歌は、基本的にドレミソラの5音で構成されており半音階を含まないため、音の跳躍も少なく音域も狭いという特徴があります。これにより、子どもたちにとって耳に馴染みやすく自然と口ずさむことができるのです。こうした特徴は、音楽を通じて言語や感情の発達を促すうえで大変効果的と言えるでしょう。

運動機能の向上

2つ目は、運動機能の向上です。わらべ歌で行う動きの中には、全身を縮めたり伸ばしたり手先を細かく動かしたりと、さまざまな動きが含まれています。これらの動きを通して、子どもたちは身体の使い方を体得することができるでしょう。また、今回の記事の後半で紹介する”おてらのおしょうさん”や”なべなべそこぬけ”などの歌では、他の人と振りを合わせて遊ぶため、力加減やスピードを他者と合わせることも学べます。

複数の感覚を刺激できる

3つ目は、複数の感覚を刺激できることです。子どもたちは、耳でメロディや歌詞を聴き、目で他者の動きを観察して真似し、ふれあい遊びでは他の人に触れたり触れられたりします。このように、わらべ歌の活動は聴覚や視覚、触覚をはじめ、平衡感覚や身体の位置感覚など、さまざまな感覚を一度に使うことができるのです。これにより、身体の複数の部分を協調的に動かす力が自然と育まれていくでしょう。

言葉の意味を理解することができる

4つ目は、言葉の意味を理解することができることです。わらべ歌に合わせて行う動きや振り付けは多くの場合、歌詞の内容に即したものになっています。歌いながら身体を動かすことで、言葉とその意味とが結びつきやすくなるでしょう。例えば、”おてらのおしょうさん”の中にある「めがでて ふくらんで」という歌詞では、種が芽を出して成長する様子を手や身体の動きで表現しています。このように、動きと言葉を結びつけることで、語彙の習得や言語理解の促進が期待できそうですね。

大人や友達とのつながりを作る

5つ目は、大人や友達とのつながりを作れることです。”おふねがぎっちらこ”や”となりのごんべえさん”は、大人と2人で、またはお友達と複数人で行います。わらべ歌は複数人で行う動きや振りも多くなるため、遊びを通して大人やお友達とのつながりを作ることができるでしょう。直接的な会話から始まるのではなく、遊びを通して関係性が築かれていくため、人と関わるのが少し苦手な子どもでも心理的な負担が少なく、安心して参加することができそうですね。

集団行動のルールを学ぶ

6つ目は、集団行動のルールを学べることです。わらべ歌の中には、”ずいずいずっころばし”のようにゲーム要素を含んだ歌も多くあります。療育を受けている子どもたちの中には集団行動が苦手な子どもが多くいます。集団行動が苦手な子どもたちでも、わらべ歌の遊びを通して自然とルールを身に付けることができるでしょう。わらべ歌を通した他者とのつながりにより、共感能力やコミュニケーション能力の基本を学ぶことができそうですね。

オススメわらべ歌10選!

おふねがぎっちらこ

ぎっちらこ ぎっちらこ
おふねにのってぎっちらこ
さかながいるよ スルリ

ぎっちらこ ぎっちらこ
おふねにのってぎっちらこ
はしがあるよ ぴょーん

ぎっちらこ ぎっちらこ
おふねにのってぎっちらこ
いわがあるよ ゴツン

ぎっちらこ ぎっちらこ
おふねにのってぎっちらこ
たきがあるよ ザブーン
このわらべ歌は、大人と子どものふれあい遊びにオススメの歌です。お座りができる年齢の子どもたちから取り入れることができますよ。

うまはとしとし

うまはとしとし ないてもつよい
うまはつよいから ○○ちゃんもつよい
ぱかっ ぱかっ でーん
うまはとしとしでも、大人と子どものふれあい遊びをすることができます。1~2歳の子どもたちに取り入れるのがオススメです。大人は足を閉じてのばして座り、子どもは大人の太ももの上に乗ります。歌に合わせた小刻みのリズムや”でーん”の部分で下に落ちる動きが子どもに人気ですよ。

たけのこ めだした

たけのこ めだした
はなさきゃ ひらいた
はさみで ちょんぎるぞ
えっさ えっさ えっさっさ

たけのこ めだした
はなさきゃ ひらいた
はさみで ちょんぎるぞ
えっさ えっさ えっさっさ
たけのこめだしたでは、たけのこが成長していく様子を手の振りで表現しています。座りながらでもできるため、身体機能に障害のある子どもたちでも取り入れることができそうですね。

さよならあんころもち

さよならあんころもち またきなこ ぽん!
さよならあんころもちは、歌詞が1行だけのとてもシンプルな歌です。「ぽん!」の合図でお手玉を頭に乗せ、その後お辞儀をしてお手玉を落とします。お手玉が手元にない場合は、ハンカチやタオル、バンダナなどを結んで丸めたものでも代用可能ですよ。お辞儀をするのと同時に「こんにちは」や「ごちそうさまでした」などの挨拶をしますが、子どもの年齢や発達の状況に合わせてさまざまなシチュエーションの挨拶を取り入れると良いでしょう。

でんでらりゅうば

でんでらりゅうば でてくるばってん
でんでられんけん でーてこんけん
こんこられんけん こられられんけん
こーんこん
でんでらりゅうばは、主に長崎県で歌い継がれてきたわらべ歌で、独特なリズムと歌詞が特徴的。遊びでは、4つの手の形を順番に歌に合わせて繰り返し行います。少し複雑な手の動きが含まれているため、手先の器用さが発達してきた子どもたちにぴったりの遊びです。楽しく遊びながら、自然と手指の運動能力やリズム感を育むことができるでしょう。

ずくぼんじょ

ずくぼんじょ ずくぼんじょ
ずっきんかぶって でてこらさい
にょき にょき

ずくぼんじょ ずくぼんじょ
ずっきんかぶって でてこらさい
にょき にょき

ずくぼんじょ ずくぼんじょ
ずっきんかぶって でてこらさい
にょき にょき にょき すぽーん!
”ずくぼんじょ”とは、つくしのことを指します。つくしが成長する様子を全身で表現しましょう。広いスペースが確保できないような場所でも行うことができるため、身体を動かせずにウズウズしている子どもたちでも思いっきり動かすことができそうですね。

おてらのおしょうさん

せいせいせの よいよいよい
おてらのおしょうさんが
かぼちゃのたねを まきました
めがでて ふくらんで
はながさいたら ジャンケンポン

せいせいせの よいよいよい
おてらのおしょうさんが
かぼちゃのたねを まきました
めがでて ふくらんで
はながさいたら ジャンケンポン

せいせいせの よいよいよい
おてらのおしょうさんが
かぼちゃのたねを まきました
めがでて ふくらんで
はながさいたら ジャンケンポン
おてらのおしょうさんは、2人組で遊ぶわらべ歌です。振りが少し複雑なため、ある程度難しい動きができるようになった年齢の子どもたちで行うと良いでしょう。

なべなべそこぬけ

なべなべ そこぬけ
そこがぬけたら かえりましょ

なべなべ そこぬけ
そこがぬけたら かえりましょ
なべなべそこぬけも、2人組で遊びます。向かい合って手をつなぎ、歌に合わせて手を揺らしながら遊びましょう。「♪なべなべそこぬけ〜」と歌い、歌詞の「かえりましょ」で手をつないだまま身体をくるりと回して、元の位置に戻ります。子ども同士だけでなく、大人と子どもが一緒に楽しめるふれあい遊びとして、保育や家庭でも気軽に取り入れることができます。

となりのごんべえさん

となりのごんべえさんが
おにぎりに ゴマをふって
となりのろくべえさんが
ポリポリたくあん トントンきって
となりのしちべえさんが
ジュージューやいたよ たまごやき
できたぞホイ! かついでホイ!
おはなみだソレ! おつきみだソレ!
おまつりだソレ! おいわいだ!
となりのごんべえさんは、歌詞に合わせた振りが特徴のわらべ歌です。みんなで円になり、歌詞の意味を1つ1つ確かめながら遊んでみましょう。

ずいずいずっころばし

ずいずいずっころばし ごまみそずい
ちゃつぼにおわれて とっぴんしゃん
ぬけたら どんどこしょ
たわらのねずみが こめくってちゅう
ちゅう ちゅう ちゅう
おっとさんがよんでも おっかさんがよんでも
いきっこなしよ
いどのまわりで おちゃわんかいたの だあれ?
ずいずいずっころばしは、複数人で円になって遊びます。全員が手で穴を作り、オニが歌に合わせて順番に指を入れます。歌が終わったタイミングで指が入っていた手を抜く、を繰り返して最後まで残った人が負けとなります。リズムに合わせて手先を動かしたり、他の子どもたちと一緒に遊べるようになった4~5歳の子どもたちに取り入れると良いでしょう。

まとめ

わらべ歌で子どもたちの発達を促そう!

いかがでしたか?今回は、わらべ歌を療育に取り入れる効果やオススメのわらべ歌10選の紹介など、療育におけるわらべ歌について詳しく解説しました。暗い曲調や少し分かりづらい歌詞などから、「わらべ歌は昔のもの」というイメージがある方も多いでしょう。しかし、今回紹介したようにわらべ歌は子どもたちの発達に多くの効果をもたらしています。ぜひ療育の現場でわらべ歌の遊びを取り入れてみてくださいね。