療育の現場でできるおすすめレクリエーションを紹介!【遊び・放課後等デイサービス・体動かす・障害児】

児童発達支援センターや放課後等デイサービスといった療育施設では、療育のためのレクリエーションや遊びを行っています。しかし、どのようなレクリエーションを企画したらよいのか悩んでいる職員さんも多いのではないでしょうか。この記事では、対象年齢別のレクリエーションの例やレクリエーションを行う際に注意すべき点などについて説明します。レクリエーションの案が出ずに困っている療育施設の職員さんはもちろん、家庭でできる療育レクリエーションを探しているお父さんお母さんもぜひ参考にしてみてください。

療育の現場でレクリエーションを行う目的

運動機能や体力の向上

まず始めに、療育の現場でレクリエーションを行う目的について説明します。目的の一つ目は、運動機能や体力の向上です。発達障害を持つ子供の中には、運動機能に問題のある子がいます。また、体力がないと思うように動くことができず、精神的にも満足できないでしょう。遊びを通して身体の動かし方を学び、体力をつけることで、健康的で丈夫な身体づくりに繋がります。さらに、運動遊びを通してバランス感覚や触覚を鍛えることもできます。

ストレスの解消

療育レクリエーションの目的二つ目は、ストレスの解消です。多動や衝動などの特性を持つ子供たちにとって、じっと座って行う活動はストレスになることが。そのような場合、運動療育を取り入れることでこのストレスを発散させることができます。机に向かってじっとしなければならない学習をする場合、運動療育をご褒美とするのも良いでしょう。運動に限らず、レクリエーションを通して楽しいというポジティブな感情を得ることもストレス解消に繋がります。

コミュニケーション能力の向上

三つ目は、コミュニケーション能力の向上です。レクリエーションという集団行動を通して、言葉選びや人との接し方など、コミュニケーションの取り方を学ぶことができます。他人と話すことが苦手な子にとっては自分からコミュニケーションを取るきっかけにもなります。また、幼いころから集団での遊びをすることで、人と関わる楽しさを知ることができるでしょう。他の子供たちと協力しながら取り組め、コミュニケーションのきっかけとなるレクリエーションを考案できると良いですね。

協調性・社会性を養う

四つ目は、協調性や社会性を養うことです。障害を持つ子供たちの中には、決まりごとを守ることが苦手な子が多くいます。そのような状態のまま多くの人と関わるようになると、他の人からしたら当たり前とされることができず、対人関係でストレスを感じてしまうことがあるでしょう。ルールのあるレクリエーションを行うことで、そのような子たちが社会の決まりごとを守り、他の人と協力することを学ぶことができます。

【0~2歳向け】おすすめのレクリエーション

わらべうた

ここからは、おすすめのレクリエーション案を年齢別に紹介します。0~2歳の子供におすすめなのがわらべうたです。わらべうたを通して、職員さんやお父さんお母さんとの触れ合いをすることができます。代表的なわらべうたの例として今回紹介するのが『♪おふねをこいで』。触れ合いを目的とするだけでなく、股関節を大きく動かす動きによる歩行や柔軟性への効果も期待できます。発達障害の子には背中や足回りが緊張して硬くなっている子もいますが、これらの動きによって、リラックスさせてあげることができるでしょう。

新聞紙遊び

新聞紙遊びも0~2歳におすすめです。新聞紙を自由にビリビリと破いたり、細かく破いた新聞紙をパラパラと降らせたりといった遊び方があります。ビリビリと破く音や感触、降ってくる新聞紙を目で追う動きによって、聴覚や触覚、視覚といった子供の五感を鍛えることができるでしょう。また、新聞紙を丸めて玉入れをしたり、新聞紙の真ん中に穴を開け、いないいないばあとしたりするのもおすすめです。子供が服などの肌触りにこだわる場合は、触覚の発達が足りていないことが考えられます。様々な感触を楽しめる新聞紙遊びで触覚の発達を促してあげましょう。

【3~6歳向け】おすすめのレクリエーション

ボールプール

3~6歳児向けのおすすめレクリエーションは、ボールプールです。新聞紙遊びと同じように、触覚や視覚を鍛えることができます。また、ボールを投げるという動作によって協調運動を促すことができます。協調運動とは、手や足といった身体の様々な器官が同時に動き、うまく動作を行うことができるようにすることです。ボールを投げる場合は、周りに壊れやすいものはないか、他の子供たちに当たらないか、注意するのを忘れずに。

うた絵本

うた絵本も3~6歳児の療育におすすめです。うた絵本とは、歌いながら読み進める絵本のこと。じっと絵本を読む事が苦手な子でも興味を持って読み聞かせを聞いてくれます。うた絵本の読み聞かせを通して、言語能力の発達やリズム感の向上などが期待できます。たくさんのうた絵本がありますが、今回おすすめするのは『キャベツのなかから』。皆さんも一度は聴いたことがあるのではないでしょうか?歌に合わせた振りがあるため、子供たちも参加しながら楽しむことができます。

トランポリン

さらにおすすめのレクリエーションは、トランポリンを使った遊びです。トランポリンを使うことで、体力の向上やバランス感覚の発達などに効果があります。また、体を動かしたいという衝動で動いてしまう多動の子には、この衝動を発散する効果が。トランポリンを使う際には中心に印をつけると、跳び方のズレが分かりやすく安全です。補助をするときは、子供のジャンプするタイミングに合わせて、体を上に持ち上げるようにすると良いでしょう。

エアロビクス

エアロビクスも運動療育の良い例です。音楽に合わせて子供たちが一生懸命に体を動かす姿は大人たちにとって癒しとなることでしょう。運動によるストレス発散や体力の向上への効果だけでなく、リズム感や体幹も鍛える効果もあります。また、職員さんにとっては、必要なものはCDと簡単な振り付けのみのため、準備の負担が少なく済むでしょう。子供たちの成長に合わせた振りを考案できると良いですね。

【小学生向け】おすすめのレクリエーション

宝探し

小学生向けのおすすめ療育レクリエーション一つ目は、宝探しです。折り紙やペットボトルのキャップ、ガチャガチャのカプセルなどを使ったお宝を部屋や運動場に隠して子供たちに探してもらう遊びです。単純に見つけた数で競うのも良いですが、あらかじめお宝ごとにポイントを付け、その合計点で競うとよりゲーム感が増すでしょう。ただし、お宝を隠す場所には注意が必要。危険なものが周りにないか確認してから隠すようにしましょう。また、探して良い場所をゲーム開始前に子供たちにきちんと伝えておくのも安全のために重要です。

ボッチャ

ボッチャとは、以下のようなルールで行うゲームです。

・プレイヤーは、小さなボールであるジャックを投げる。
・プレイヤーは、ジャックにできるだけ近い位置に自分のボールを投げる。
・ボールがジャックに近い方がポイントを獲得する。
・ゲーム終了時に、ポイントが多い方が勝利する。

個人戦やチーム戦など、工夫次第で様々な楽しみ方ができるでしょう。しっかりとしたルールがあるゲームのため、協調性や社会性を養う効果が期待できます。ボッチャは障害を持つ人向けに考案されたパラリンピック公式競技であるため、様々な障害を持つ子供たちが集まる療育施設でもみんなで楽しめます。

すごろく

簡単なルールを守ることができるようになった子供たちにはすごろくもおすすめです。他のレクリエーションよりは少しルールが複雑ですが、より協調性や社会性を高めるためには良いレクリエーションでしょう。また、言葉でのコミュニケーションが苦手な子向けのソーシャルスキルすごろくというものがあります。マス目には「なまえをいいましょう」や「おともだちをほめてあげましょう」といった課題が書いてあり、すごろくで遊びながらコミュニケーション能力を養うことができます。

療育の現場でレクリエーションを行うときの注意点

ルールの設定を徹底する

安全に楽しくレクリエーションを行うために注意すべき点があります。一つ目は、ルールの設定を徹底することです。療育でレクリエーションを行うのには、ルールを守ることを通して協調性や社会性を学ぶという目的があります。ルールがあいまいでは子供たちが困惑してしまい、目的を果たすことができません。また、開始前にルールを理解できなかった子が他の子と意思疎通できず、トラブルが起きてしまうことが。そのようなことを防ぐためにも、参加する子供たち全員がルールを理解できるよう徹底しましょう。

子供同士の距離感に配慮する

障害を持つ子供たちの中には、自分の思い通りにならなかったり自分の意図をうまく伝えられなかったりすると、他の人に攻撃をしてしまう子がいます。他の子供たちの安全のために、そのような子からは目を離さないようにしましょう。また、療育施設には様々な特性を持つ子供たちがおり、相性があまりよくない子供たちもいます。みんなにとって楽しい活動にするためにも、子供同士の距離感には十分注意しましょう。

無理強いをしない

子供たちがレクリエーションへの参加に乗り気でないときは、無理強いをしないようにしましょう。気乗りしないままレクリエーションに参加させても、効果は半減。また、「レクリエーションはつまらないものだ」という既成概念を作ってしまいます。障害を持つ子供たちの中には自分の意志を伝えるのが苦手な子もいるため、参加する子供たち全員から参加の意思が得られてからレクリエーションに取り組むようにしましょう。

得意ジャンルのレクリエーションを行う

職員が得意なジャンルのレクリエーションを行うことで、子供たちから「すごい!」「自分もあんな風にやりたい!」と思ってもらうことができます。その結果、子供たちがレクリエーションに興味や向上心を持って臨んでくれます。子供たちが興味を持ってくれると、レクリエーションをスムーズに進めることが可能です。また、これは子供たちとの信頼関係を高めるのにも効果的。信頼関係を築くことでレクリエーション以外のときでも話を聞いてくれるようになるでしょう。

まとめ

安全に配慮しながらレクリエーションを楽しもう!

いかがでしたか?今回は、おすすめの療育レクリエーションを対象年齢別に紹介し、さらに療育でレクリエーションを行う目的やその際の注意点などについて説明しました。企画の案が出ずに悩んでいる職員さんは、この記事を参考に子供たちが楽しめるレクリエーションを考えてみてくださいね。また、レクリエーションの療育への効果や楽しむ気持ちももちろん大切ですが、一番重要なのは子供たちの安全です。安全への配慮を忘れずに、職員さんやお父さんお母さんも一緒にレクリエーションを楽しみましょう!