子どもの試し行動とは?【例・対応・対処法・なぜ・年齢・保育士・発達障害】

みなさんは、子どもの試し行動を知っていますか?子どもの試し行動とは、その行動が悪いことだと理解しているにも関わらず、わざとやって大人の反応を試す姿を指します。これは成長過程でどんな子にも見られる自然な姿でもありますよ。しかし保育士や保護者のみなさんは、こうした場面に戸惑い、関わり方に悩むことがありますよね。この記事では、試し行動の具体例や声かけ例、背景にある理由、対応方法のポイントについて詳しく解説していきます。ぜひ参考にして、日々の保育やご家庭での関わりに取り入れてみてくださいね。

子どもの試し行動とは?

大人の愛情や許容範囲を確かめようとする行動

子どもの試し行動とは、大人の愛情や許容範囲を確かめようとする行動のことです。たとえば、わざと注意されることを繰り返したり、「いやだ」「しない」と駄々をこねて大人の反応を伺ったりする場面がありますよね。こうした行動には、「どこまで受け止めてもらえるのかな」「自分は大切にされているかな」といった思いが背景にあることが多いです。子どもは試し行動を通して自分の存在を確かめていくため、大切な発達過程の1つといえますよ。だからこそ、単なる困った行動と捉えるのではなく、子どもの気持ちに寄り添いながら、適切に関わって成長を支えていきましょう。

子どもの試し行動の具体例と声かけ例

わざと困らせる

試し行動の表れ方は、子ども1人ひとりの性格や気質によって異なります。ここでは、その中でもよく見られる行動例と、それに対する声かけ例をご紹介します。ポイントは、子ども自身を否定せず気持ちに共感しながら、行動に焦点を当てて伝えることが重要ですよ。まずは、わざと困らせる行動を見ていきましょう。

    行動例
    ・おもちゃを投げる、壊す
    ・飲み物や食べ物をわざとこぼす
    ・壁や机に落書きする
    ・兄弟や友だちに暴力的な行為をする
    声かけのNG例
    「なんでそんなことするの!」
    「いい加減にしなさい!」
    「悪い子だね。」
    声かけのOK例
    「投げるのは危ないからやめようね。」
    「こぼしたかったんだね。でも食べ物は大事にしよう。」
    「嫌だったんだね。どうしたらよかったかな?」

注意されても繰り返す

注意されても同じことを繰り返す姿も、試し行動ではよく見られます。

    行動例
    ・ダメと言われたことを何度もやる
    ・ひたすら大人の言葉を否定する
    声かけのNG例
    「何回言ったらわかるの!」
    「もう知らない!」
    「ほんとに言うこと聞かない子だね。」
    声かけのOK例
    「もう一度やりたくなったんだね。でもこれはやらない約束だよ。」
    「言いたいことがあるんだね。どうしたいのか教えてくれる?」

大人の反応を試す

大人の反応を試す行動も、試し行動に見られやすい特徴の一つです。

    行動例
    ・大人の顔色を伺いながら意地悪する
    ・話しかけられても無視する
    ・指示されたことと逆のことをする
    ・意図的に嘘をつく、約束を破る
    声かけのNG例
    「無視するなんて最低!」
    「嘘つくなんてダメな子!」
    「どうしてそんなこともできないの?」
    声かけのOK例
    「気になって見てほしかったんだね。でも意地悪は悲しい気持ちになるよ。」
    「今は話したくなかったんだね。でも呼ばれたらお返事しようね。」
    「違うことをしたくなったんだね。でも今はこれをやる時間だよ。」
    「本当のことを言うのは勇気がいるね。一緒にやり直そう。」

気を引こうとする

注目されたいという思いから、大人の気を引こうとする姿も多く見られます。

    行動例
    ・静かにすべき場面と知りつつ大声で騒ぐ
    ・年相応でない過度な甘え方をする
    ・泣き叫ぶ、走り回る、暴れる
    声かけのNG例
    「うるさい!静かにしなさい!」
    「甘えたこと言わないの!」
    「暴れないでって言ってるでしょ!」
    声かけのOK例
    「大きな声を出したくなったんだね。でもここは静かにする場所だよ。」
    「さっきは甘えたくなったんだね。でもちゃんと自分でできたね。」
    「嫌だったんだね。でも言葉で伝えてくれると嬉しいな。」
    「体を動かしたくなったんだね。あとでたくさん遊ぼうね。」

子どもが試し行動をする主な理由

愛情や関係性を確かめたい

子どもが試し行動をする理由の一つには、愛情や関係を確かめたい気持ちがあります。たとえば、保育園の先生が変わった時や入園後には、信頼できる相手かを確かめるために試し行動をする場合があります。これは、新しい環境や人間関係に適応しようとする気持ちや、緊張の表れといえるでしょう。また、弟や妹の誕生、保護者の帰宅が遅くなるなどで関わりが減ると、不安や孤独感が高まり、自分への愛情を確かめるために試し行動をすることもあります。こうした場合は、信頼関係を深めたいという子どもからのサインとして受け止め、愛情や安心感が伝わるように接してあげると良いですね。

以下の記事では、赤ちゃん返りについてご紹介しています。あわせて参考にしてみてくださいね。

https://hoikukyuujin.com/hoiku_club/?p=31038

ルールや許容の限界を知りたい

子どもの試し行動には、ルールや許容の限界を知りたいという好奇心も含まれています。まだ社会の決まりや望ましい行動を十分に理解できていないため、「ここまでしても大丈夫かな」と確かめようとするのです。たとえば、触ってはいけない物にあえて手を伸ばしたり、同じ注意を受けても繰り返したりする姿が見られることがありますよね。こうした行動は、大人の反応を手がかりに受け入れられる範囲を学んでいく大切な過程でもあります。周囲が落ち着いて関わることで、子どもは安心しながら社会のルールを身につけていくでしょう。

不安やストレス・SOSの表れ

子どもが試し行動をする理由は、不安やストレスの表れである可能性も考えられます。環境の変化や気持ちの揺れをうまく言葉にできず、行動として表れてしまうことがあるでしょう。たとえば、急に甘えが強くなったり、これまで守れていた約束をあえて破ったりする姿が見られることがありますよね。こうした行動の背景には、「わかってほしい」「助けてほしい」という子どもからのSOSが隠れていることが少なくありません。まずはその思いに寄り添い、安心できる環境を整えてあげることが大切です。

言動の不一致による混乱や不信感

子どもの試し行動の背景には、大人の言動の不一致による混乱や不信感も考えられます。たとえば、言葉では「遊んでいいよ」と承認されたのに、表情や態度がイライラしていると、子どもは戸惑ってしまいます。そうすると「本当に大丈夫かな」と不安になり、大人の気持ちを確かめるために、あえて約束を破るなどの行動として表れることがありますよ。大人の何気ない言動でも、子どもには混乱や不信感を与えるかもしれないと理解しておくことが大切ですね。

子どもが試し行動をした時の対応方法

感情的に反応しない

子どもが試し行動をした時の対応は、まず大人が感情的に反応しないことが大切です。強い口調で叱ってしまうと、子どもは不安を強めたり、さらに行動をエスカレートさせたりすることも。そのため、乱暴な言葉や態度をとったり、感情的になりすぎたりすることは避けましょう。子どもの目線に合わせながら落ち着いた態度で接することで、子どもは「わかってくれた」「向き合ってくれた」と感じ、安心することができますよ。

気持ちを受け止めて愛情を伝える

子どもが試し行動をした時は、子どもの気持ちを受け止め、変わらない愛情を伝えることも大切です。ただ叱るのではなく「どうしてそうしたの?」と理由を尋ね、子どもの意図や感情を理解するための時間をつくりましょう。そのうえで、子どもの気持ちは否定せず、共感しながら受け止めてあげることが大切です。また、抱きしめたり手を繋いだりなど、体が触れるスキンシップを増やすことも愛情を伝える表現として効果的ですよ。「認めているよ」「大切に思っているよ」と言葉や態度で示してあげることで、子どもは安心感を得て、信頼関係が深まっていくでしょう。

以下の記事では、乳幼児期に十分な愛情やケアを受けられなかった場合に発生する、愛着障害についてご紹介しています。あわせて参考にしてみてくださいね。

良い・悪いの線引きを伝える

良いことと悪いことの線引きを丁寧に伝えることも大切です。試し行動の背景には不安や寂しさがあることが多いですが、だからといって何をしても許してよいわけではありません。子どもの気持ちそのものは受け止めつつも、悪い行動には「よくない」と明確に伝えることが大切ですよ。その際は感情的に叱るのではなく、問題となる行動に焦点を当てましょう。他の子と比べて非難したり、子どもの人格を否定したりする伝え方は避けるようにしたいですね。

以下の記事では、保育士の効果的な叱り方についてご紹介しています。あわせて参考にしてみてくださいね。

https://hoikukyuujin.com/hoiku_club/26838

良い行動をしっかり認める

良い行動ができた時には、しっかり褒めてあげましょう。試し行動をする子どもは、先述のとおり注目されることが目的です。そのため、過剰に叱責したり無視したりすると、かえって試し行動が増えてしまう可能性があります。試し行動には短い言葉で淡々と注意し、良い行動には大げさに反応して褒めてあげることがポイントですよ。そうすることで、良い行動が成功体験として子どもに印象付けられ、自然と試し行動が減っていくでしょう。

対応は一貫して行う

子どもが試し行動をした時は、一貫した対応を続けることも大切です。その都度対応が変わってしまうと、子どもは混乱して不信感を抱き、試し行動が強まってしまうことがあります。たとえば、昨日は机に落書きをしている子に叱ったのに今日は叱らないなど対応を変えると、子どもは試し行動で大人の反応を伺うようになるでしょう。叱る時の基準が一貫しているか、言葉と態度にズレはないか、日頃の言動を見直してみることが重要ですよ。

試し行動と反抗期の違いは?

行動の目的が愛情確認か自己主張かの違い

試し行動と反抗期は、どちらも子どもの成長過程で見られる大切な姿ですが、それぞれ異なった特徴があります。以下の項目をチェックリストとして活用してみてくださいね。

試し行動の傾向
行動の目的:愛情確認
☑︎大人の反応や愛情を確かめるような様子がある
☑︎わざと注意されることを繰り返す
☑︎大人の顔色を伺いながら行動している
☑︎不安や寂しさが強い時期(環境の変化など)に見られる
☑︎受け止められると落ち着くことが多い
試し行動には、気持ちに寄り添いながら愛情や安心感を伝える対応が最善です。

反抗期の傾向
行動の目的:自己主張
☑︎自分の意思や主張を通そうとする姿が増えている
☑︎指示やルールに対して一貫して反発する
☑︎大人の反応というより、自分の考えを優先している
☑︎成長に伴い自然に見られる(年齢相応の変化)
☑︎納得できると行動が切り替わることがある
反抗期には、子どもの考えを尊重し、選べる余地を持たせながら過度に干渉しない関わりが大切です。

試し行動と発達障害に伴う問題行動との違いは?

周囲の反応次第で行動が変化するかしないかの違い

試し行動と発達障害(ADHDやASD)に伴う問題行動との違いを見ていきましょう。この2つを見分けるポイントは、周囲の反応次第で行動が変化するかしないかの違いです。試し行動は、大人の反応次第で行動が変化します。一方で発達障害に伴う問題行動は、本人の意思で行動をコントロールできません。ただし、すぐにどちらか一方と決めつけるのではなく、背景や状況とあわせて丁寧に見ていくことが大切ですよ。以下の項目をチェックリストとして活用してみてくださいね。

試し行動の傾向
☑︎愛情や関係性を確かめたい気持ちが背景にある
☑︎大人の対応や反応によって行動が変化する(安心すると落ち着く)
☑︎不安や環境の変化(入園・家庭状況など)の後に増える
☑︎特定の大人との関係性の中で強く出ることが多い
☑︎受け止められる・安心できると徐々に減っていく傾向がある

発達障害に伴う行動の傾向
☑︎特性(感覚・認知・コミュニケーションの違い)が背景にある
☑︎本人の意思とは関係なく、衝動的・習慣的に行動が出ることがある
☑︎周囲がどのように対応しても行動があまり変わらないことがある
☑︎環境や刺激(音・光・予定変更など)に強く影響される
☑︎切り替えが難しく、指示が通りにくい場面がある
☑︎場面や相手を問わず、同じ行動が繰り返し出ることが多い

試し行動の対応に悩んだ時は?

一人で抱え込まず身近な人や専門機関へ相談する

子どもの試し行動への対応に悩んだときは、一人で抱え込まず、身近な人や専門機関に相談するとよいでしょう。保育園で子どもたちと関わる中で、「これでいいのかな」と不安になることがありますよね。そういった時には、同僚や先輩に相談することで新たな視点が得られることがありますよ。また、ご家庭で困りごとが続く場合には、パートナーやご家族をはじめ、小児科などの医療機関・児童相談所・自治体の子育て相談窓口を頼るのも安心につながります。周囲の力を借りながら関わることで、子どもにもより安定したサポートができるでしょう。

参考:こども家庭庁 児童相談所一覧

まとめ

試し行動の背景を汲み取って寄り添ってあげよう

いかがでしたでしょうか。今回の記事では、子どもの試し行動の具体例や原因、対応方法についてご紹介しました。試し行動の背景には、不安や愛情を確かめたい気持ちが隠れていることがあります。そのため、行動だけに注目するのではなく、その奥にある思いを汲み取りながら寄り添っていくことが大切ですね。また、試し行動はどんな子にも見られるものであり、成長の過程で自然に起こる姿でもあります。必要以上に大きな問題として捉えず、今回の内容を参考にしながら、できることから少しずつ関わり方を工夫してみてくださいね。