癇癪(かんしゃく)とは?【対応・原因・発達障害・チェック・子供・赤ちゃん】

みなさんは癇癪(かんしゃく)という言葉をご存知ですか?子どもの癇癪は、成長の過程で多くの子に見られる姿のひとつです。毎日関わるなかで、「どう対応したらいいのだろう」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。この記事では、よく見られる癇癪の原因や対応方法、注意点などを詳しく解説します。また発達障害との関係性や、普通の癇癪との見極め方もご紹介しますよ。子どもの癇癪とうまく付き合っていくヒントとして、ぜひ参考にしてみてくださいね。

癇癪(かんしゃく)とは?

感情が爆発しコントロールが難しい状態のこと

癇癪(かんしゃく)とは、感情がコントロールできなくなり、怒りや不満を激しく爆発させる状態のことです。子どもが大声で泣いたり床に寝転んだりすることがありますよね。こうした姿は、「感情をどうしていいか分からない」「どう言葉にすればいいのか分からない」といった気持ちの表れでもあります。成長とともに言葉で気持ちを伝えられるようになると、少しずつ落ち着いていくことが多いのも特徴のひとつですよ。そのため、癇癪を単なるわがままと捉えるのではなく、子どもの心のサインとして受け止め、丁寧に寄り添ってあげることがとても大切です。

【年齢別】よく見られる癇癪の原因

【0〜1歳頃の癇癪】不快や欲求を伝える手段

0〜1歳頃の癇癪は、一般的な癇癪とは少し異なり、不快感や基本的な欲求を伝えるための泣きが中心です。たとえば、お腹が空いたときや眠いとき、オムツが汚れたときに泣いて知らせるなどがありますよ。また、大きな音や急な環境の変化で不安から泣くこともあります。自己制御能力がまだ未熟な乳児期では自然な反応であるため、泣きの理由を丁寧に汲み取り、安心させてあげることが大切ですね。

【1〜2歳頃の癇癪】自分でやりたいが強まる

1〜2歳頃の癇癪は、自立心が芽生え、自分でやりたい気持ちが強くなる時期特有のものです。まだ言葉で十分に伝えられないため、思い通りにならないと泣いたり床に寝転んだりして感情を表に出すことがあります。たとえば、おもちゃを自分で選びたいのに取られたときや、絵本を自分でめくりたいのに手伝われたときなどがありますよ。この頃の癇癪は、やりたいのにできなかったというフラストレーションが原因であることが多いため、意識的に減らしてあげると良いでしょう。

【2〜3歳頃の癇癪】イヤイヤ期のピーク

2〜3歳頃の癇癪は、いわゆるイヤイヤ期のピークで、自己主張が強くなることで起こるのがほとんどです。この時期は「自分の意見を通したい」という気持ちが強くなりますが、まだ言葉でうまく表現できず思い通りにならないことが多いです。そのため、感情が爆発して癇癪のピークに達することがあるのです。着替えや片付けを嫌がる、食べたくないものを出されると「イヤ!」と拒否を連発するなどは典型的な行動として見られますよ。

イヤイヤ期については、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

【4〜5歳頃の癇癪】不公平感や人間関係のトラブル

4〜5歳になると、言葉で気持ちを伝えたり感情を落ち着けたりする力は少しずつ育ちますが、まだ未熟な部分も残ります。この頃の癇癪は、不公平さや友だちとの比較など、複雑な感情が原因で起こることがあります。たとえば、遊びの順番が思い通りにならなかったり、かけっこで負けて悔しいときに泣いたり怒ったりすることがありますよ。癇癪がおさまったあとに、「どうしたら良かったかな?」と一緒に振り返る時間をもつことで、子どもは少しずつ自分の気持ちを整理できるようになるでしょう。

【児童期の癇癪】ストレスやプレッシャー

小学生の頃は、学校や家庭でのストレスやプレッシャーが影響することが多い時期です。社会性が大きく育ちますが、それでも心の疲れや不安を整理することはまだ難しく、抑えきれない感情が癇癪として現れることがあります。たとえば、宿題が思うように進まなかったり、友だちとのトラブルで落ち込んだりすることが挙げられます。運動会や発表会の緊張で急に泣き出すこともあるかもしれません。突発的な行動の背景にある要因を理解し、安心できる環境をつくってあげることが大切ですね。

子どもが癇癪を起こしたときの対応方法

まず安全を確保する

子どもが癇癪を起こしたときの最初の対応は、何よりもまず安全を確保することです。たとえば、激しく泣いたり手足をばたつかせたりしているときは、尖ったものや硬い家具から遠ざけて、ぶつかってケガをしないように周囲を整えましょう。また、抱っこで安心感を与えたり、やさしく声をかけて落ち着かせることも有効ですよ。その際、叱ったり無理にやめさせたりせず、まずは安全を守りながら子どもの気持ちに寄り添うことが大切です。

必要以上に干渉せず落ち着くまで待つ

癇癪を起こしている子どもには、無理に話しかけたり説得したりすると、かえって感情が高まることがあります。泣いたり怒ったりする時間も必要で、そばで静かに見守ることで安心感を与えられますよ。場合によっては、子どもが関心を持ちやすい遊びや絵本で注意を逸らすのも効果的です。ただし、癇癪を起こしている原因が欲求不満の場合、欲しいものをすぐに与えないように注意しましょう。癇癪が欲求を満たす手段として身についてしまう可能性があるため、一貫した対応が大切です。子どもが落ち着いたら「今の気持ちを一緒に話そうね」と声をかけ、冷静になったあとで話す時間を作るようにしましょう。

落ち着くことができたら必ず褒める

子どもの気持ちが落ち着いたら、必ずその姿勢や行動を褒めてあげることが大切です。たとえば、大声で泣き叫んだあと静かに座って落ち着けたときや、自分で深呼吸して気持ちを整理できたときに、「よく落ち着けたね」と声をかけてあげましょう。そうすることで、子どもは安心感と達成感を感じられます。また、褒めることで、癇癪のあとに冷静になる経験がポジティブなものとして定着し、少しずつ自分の感情をコントロールする力が育まれていきますよ。

予防を考える

子どもが癇癪を起こしたときは、その経験を振り返り、次に同じような場面があっても安心して気持ちを整理できるように環境を整えることが大切です。具体的には以下のようなものが挙げられますよ。

    癇癪を事前に防ぐための工夫
  • 何が原因か知る
    眠い、空腹、疲れているなど、子どもが癇癪を起こしやすい状況を把握しておくと、先回りして対応できます。
  • 次の予定を伝える
    「このあとお片付けしておやつだよ」と先が分かるように伝えると、安心して気持ちを切り替えやすくなります。
  • 補助ツールを用意する
    言葉でうまく伝えられないときは、絵カードやジェスチャーで「お腹すいた」「もう遊びたい」を伝えられるようにすると、子どものフラストレーションを減らせます。
  • 落ち着く方法を決めておく
    深呼吸をする、ぬいぐるみを抱く、静かなコーナーで休むなど、泣いたときの切り替え方をあらかじめ決めておくと安心です。
  • 不快なものや状況を避ける
    大きな音や混雑など、嫌な刺激を減らす工夫で、癇癪の発生を予防できます。

絵カードについては、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

やってしまいがちなNG対応

強く叱る

子どもが癇癪を起こしたとき、大人がついやってしまいがちなNG対応のひとつが、強く叱ることです。たとえば、床に寝転んで泣く子に「なんで泣くの!」と声を荒げると、子どもは恐怖を感じ、感情がさらに高まってしまいます。叱られることで、泣くこと自体を我慢するようになり、自然な感情表現が抑えられてしまうこともあるでしょう。この時期は、まず安全を確保してそばで静かに見守り、やさしい言葉で安心感を与えることが大切ですよ。

理屈で説得する

理屈で説得することも、NG対応のひとつです。泣き叫ぶ子に「順番を守らなきゃダメでしょ」「泣いたら困るのは自分でしょ」と次々と理由や注意点を重ねて話さないようにしましょう。まだ言葉で感情を整理できない子どもには理解が追いつきません。その結果、自分の気持ちを無視されたと感じ、泣きや怒りがさらに強まることがあります。まず「悲しかったね」「悔しかったね」と気持ちを受け止め、落ち着いたあとで一緒にどうすればよかったかを考えることが大切ですよ。

無視する

癇癪を起こした子どもに対して、「ほっとけば泣き止むだろう」と無視するのも避けるようにしましょう。泣いている子どもを放置すると、自分の気持ちが理解されていないだけでなく、見捨てられたと感じ、さらに不安が増して逆効果になることがあります。また、こうした経験が重なることで「自分は大切にされていないのでは」と感じやすくなり、自己肯定感が下がってしまう可能性もあります。無視する対応は短期的には楽に感じても、子どもの安心感や情緒の発達にはマイナスになりやすいため、気をつけていきたいですね。

発達障害・発達特性との関係性は?

ADHD(注意欠如・多動症)

ADHD(注意欠如・多動症)の特性がある子どもは、特に感情のコントロールが難しいため、頻繁に癇癪が起こりやすい傾向があります。たとえば、順番を待つことやルールを守ることなどが苦手で、思い通りにならないと衝動的に泣いたり怒ったりすることがあります。また、注意の切り替えが難しいため、一度感情が高ぶると落ち着くまで時間がかかることも少なくありません。こうした特徴を理解し、環境の調整や声かけでサポートすることが大切です。

ASD(自閉スペクトラム症)

ASD(自閉スペクトラム症)の特性がある子どもは、感覚過敏や変化への対応の難しさから癇癪が起こりやすくなることがあります。たとえば、大きな音や照明の変化に驚いたり、自分のこだわりを阻害されたりすると、ストレスがたまり強く泣いたり怒ったりすることがあるでしょう。また予測できない出来事に敏感で、混乱してパニックになりやすいという特徴も見られます。そのため、無理にこだわりを壊さず、少しずつ柔軟性を育てる支援が大切ですね。

知的障害

知的障害の特性がある子どもは、言葉の発達が遅れ、自分の気持ちや要求をうまく伝えられないことがあります。そのため、「遊びたい」「お腹が空いた」といった単純な欲求でも、伝わらないもどかしさからストレスが溜まりやすいです。その結果、泣く・叫ぶ・物を投げるなどの癇癪として表れることがあるでしょう。また感情を言葉で整理できないため、思い通りにならない状況では強く感情を爆発させやすいのも特徴のひとつです。

以下の記事では、発達障害と遺伝との関係について解説しています。合わせて参考にしてみてくださいね。

普通の癇癪との違いや見極め方

普通の癇癪との違いは、発生する頻度や持続時間に注目すると見極めやすいです。癇癪を起こす頻度が高く、一度発生すると1時間以上続く場合は、発達障害の特性が関係している可能性があります。以下では、ADHD・ASD・知的障害の癇癪との違いを表にまとめました。見極める際に、チェックリストとして活用してみてくださいね。

観点普通の癇癪ADHDの癇癪ASDの癇癪知的障害の癇癪
発生頻度時々、特定の場面で発生頻繁に、予測困難なタイミングで発生特定のパターンやこだわりが崩れた時に発生発達段階に応じて頻繁に発生
持続時間数分程度長時間になることもある数分〜長時間、同じ行動を繰り返すことが多い比較的長く、自己制御が難しい場合あり
誘因欲求が通らない、眠い、疲れた欲求不満、刺激過多、注意が向けられないこと環境の変化、予定の変更、感覚刺激欲求不満や困難な課題、理解できない状況
表現の仕方泣く、叫ぶ、地面に寝転ぶ急に暴れる、物を投げる、手が出ることもこだわった動作の繰り返し、感情表出が極端泣く・叫ぶ・物を投げるなどが多い、説明しても理由を理解しにくい

まとめ

一人で抱え込まず無理なく対応しよう

いかがでしたか。子どもの癇癪に向き合う際は、一人で抱え込まないことがとても大切です。もし、自分や周りの人を傷つけてしまう行動が見られたり、生活や学習に困りごとが出ていたりする場合は、専門の施設に相談してみましょう。少し勇気がいりますが、早めに頼ることで安心につながります。そこまでではなくても、子どもの癇癪に悩んだときは、身近なところに相談できる場所がありますよ。癇癪そのものについての悩みは、子育て支援センターや児童相談所が力になってくれます。発達の様子が気になるときには、発達障害支援センターや児童発達支援センターなどに相談してみるのもひとつの方法です。子ども一人ひとりの理由に寄り添って、無理なく対応していきましょう。