生活指導員とは?資格や業務内容について解説【資格・資格なし・仕事内容・給料】

みなさんは生活指導員という職業を聞いたことはありますか?福祉にかかわる職業に興味がある方や実際に働かれている方にはなじみがあるかもしれません。この記事では、介護施設などで重要な役割を担う生活指導員について詳しく解説していきます。この記事を読むことで、生活指導員がどんな職業なのかについてや必要な資格はあるのか、どんな職場で働くのかがわかるようになるので是非参考にしてみてくださいね。

生活指導員とは?

高齢者や障がい者の健康管理を行う仕事

生活指導員とは福祉施設で高齢の方や障がいを持っている方の生活を指導する仕事です。生活指導員には、現場にいるスタッフ間や利用者間のあいだに入って連携をとれるようにすることが求められます。その業務内容は非常に幅広いですが、施設の利用者が生活しやすいように生活環境を改善することに尽力しなければいけません。生活指導員の呼び方も様々で、特別養護老人ホームなどでは生活相談員と呼ばれ、老人保健事業所では「支援相談員」と呼ばれます。

生活指導員になるのに必要な資格は?

必要な資格や要件は定められていない

生活指導員には生活指導員というような名前の資格はありません。ですが、自治体によって必要となることが多い資格はあります。生活指導員を目指すのは簡単ではありませんが、可能性はゼロというわけではないのです。なぜなら、募集している自治体のなかには資格がなくても可としている場合があるからです。しかし、資格がなくても可と言っても介護保険サービスの知識が一切ない場合は少しでも事前に勉強をしておくことをおすすめします。

生活指導員になるのに必要となることが多い資格

社会福祉士資格

社会福祉士資格は、社会福祉専門職の国家資格のことです。社会福祉士資格を取得することで、福祉や医療の相談業務や支援業務を行うのに必要な知識や能力を有していることを証明することができます。社会福祉士の資格を取得するためには以下のいずれかの受験資格を満たした上で国家試験に合格しなければいけません。

・福祉系大学で指定科目を履修して卒業
・福祉系大学にて基礎科目を履修したのち短期養成施設等に6ヶ月以上
・一般大学等を卒業したのち一般養成施設等に1年以上

ここに挙げた条件のほかにも国家試験の受験資格は9種類あります。

社会福祉主事任用資格

社会福祉主事任用資格の社会福祉主事とは、都道府県や市町村の福祉事務所に配置され、社会福祉によるサポートを行う職員のことを言います。ここでいう任用資格は、特定の職業や職位につくために必要になる資格のことです。社会福祉主事任用資格は以下の条件をクリアすると取得することができます。

・大学等において社会福祉に関する科目を3つ以上修めて卒業する
・指定の通信教育課程を修了する
・指定の養成機関を修了する
・都道府県等の講習会を受講する
・社会福祉士、精神保健福祉士等を取得する

社会福祉主事任用資格は試験を受けなくても取得できるため、社会人から生活指導員を目指している方にとっては最短ルートと言えるでしょう。

精神保健福祉士資格

精神保健福祉士は福祉系の国家資格の1つです。精神に障がいがある方に対して訓練を行ったり、社会復帰を助けたりするのに専門的な知識や技術を有していることを証明することができます。精神保健福祉士の資格を取得するためには以下の受験資格を満たしたうえで国家資格に合格しなければいけません。

・保健福祉系の大学にて指定の科目を履修して卒業する
・保健福祉系の短大で指定科目を履修して一定の実務試験を積む
・保健福祉系の学校で基礎科目を履修して一定の実務経験を積み、短期育成施設に6ヶ月以上通学する
・保健福祉系以外の学校を卒業して一定の実務経験を積み、一般養成移設に1年以上通学する

これらを含め、国家試験の受験資格は11種類あります。

生活指導員の仕事内容は?

施設の利用に関連する手続き

生活指導員の1つ目の業務は、施設利用に関する手続きです。施設利用に関する手続きとは介護事業所の利用を検討している方に対して、施設の見学案内や説明を行ったり契約手続きを行ったりします。特に介護保険制度は内容に専門用語が多く一般の方には理解するのが難しいため、専門用語を使用せずにわかりやすい説明をすることが求められます。他にも、お客様がサービスの利用をやめる場合にも必要な手続きのサポートを行わないといけません。

相談援助

生活指導員の2つ目の業務は、相談援助業務です。相談援助業務とは、施設を利用する方やその家族に対して、利用にあたって不安なことがないかなど様々な相談に応じる業務です。相談内容をもとに、利用者それぞれの悩みや家庭の事情についての情報をまとめたアセスメントシートを作成します。より良い生活を送れるように利用者やその家族の状況を正確に把握し、一人ひとりに合わせたサービスを提案するのが目的です。

連絡の調整

生活指導員の3つ目の業務は、連絡調整業務です。連絡調整では主に利用者の受け入れのために主治医やケアマネジャーなど、関係者の方との連絡の調整を行います。主治医やケアマネジャーだけでなく、地域の行政機関や医療機関、地域のコミュニティなどとも連携を行うこともあるようです。主治医やケアマネージャーとの連絡を通して利用者の情報をしっかりと把握しておくことが、利用者に合わせたサービスの提供につながりますね。

サービスの提供内容の見直し

生活指導員の4つ目の業務は、サービスの提供内容の見直しです。利用者の日々の状態を観察し、変化がみられる際にはほかの職員とも相談をしながらサービスの内容を検討しなおします。ここで重要なのは、そのサービスが利用差に適切なものかを判断することです。提供しているサービスが利用者にどのような影響を与えているのかを日々モニタリングすることも生活指導員の業務の1つなのです。

その他

ここまで挙げた業務のほかにも、生活指導員は職場によって様々な業務を行います。

・利用者の送迎
・介護業務
・給付管理
・苦情受付
・行事の企画や運営
・事故やヒヤリハットの対応
・学生の実習
・インターンシップ等の受け入れ

これらの業務はすべて行うわけではなく、働く施設によって業務内容に違いがあります。生活指導員の仕事内容はこれまでに挙げたような連絡調整や事務業務が主なため、基本的には常勤で働きます。残業や夜勤の有無は事業所や仕事内容によって異なるでしょう。

生活指導員の職場は?

介護老人福祉施設

介護老人福祉施設は、常時介護が必要な方や自宅での生活が困難な方を対象としている施設です。この施設では入浴や排泄、食事などの介護や機能訓練や健康管理などのサービスを受けることができます。主なサービス内容をまとめると下記のとおりです。

・食事や入浴、排泄などの日常生活の介護
・リハビリテーションなどの機能訓練
・バイタルチェックなどの健康管理
・相談援助やレクリエーションなど

介護老人福祉施設は老人福祉法で特別養護老人ホームと呼ばれています。

介護老人保健施設

介護老人保健施設(老健)とは、介護を必要としている高齢者の自立を支援する施設です。この施設では、家庭への復帰を目指すために医師の医学的管理の下で看護や介護を行います。老健の活用方法は人によってさまざまで、短期間だけ入所したり、定期的に通ったりと様々な活用方法があります。主なサービス内容は下記のとおりです。

・リハビリ
・医療や看護
・介護と生活支援サービス
・栄養管理

老健は利用者やその家族が快適に日常生活を送れるように支援しています。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームとは、24時間介護スタッフが常駐しており介助サービスを受けることができる介護施設です。主に民間の企業が運営しており、料金が高めな高級な施設もあれば低価格な施設もあるようです。主なサービス内容は下記のとおりです。

・一般的な介護
・生活の支援
・健康管理や医療行為、緊急対応
・食事
・リハビリテーション
・レクリエーションやイベント

看取りまで対応している施設が多く、最期を過ごす場として利用する方も多いようです。

通所介護施設(デイサービス)

通所介護施設(デイサービス)とは、施設に入所せずに日帰りで利用することができる通所介護サービスのことです。老人ホームのように入浴や食事、排泄などの介護だけでなく体操やクイズといったレクリエーションを楽しむこともできます。通所介護施設の主なサービス内容は下記のとおりです。

・食事の提供
・入浴
・機能訓練
・レクリエーション
・送迎

デイサービスには認知症対応型デイサービスやリハビリ特化型デイサービス、お泊りデイサービスなどの様々な種類のサービスがあります。

老人福祉センター

老人福祉センターとは、無料または低価格で高齢者の健康促進やレクリエーションを支援する機関です。目的によって特A型・A型・B型の3種類に分かれており、それぞれ以下のような違いがあります。

・特A型:保険関係部門を強化した施設

・A型:無料または低額な料金で老人に関するあらゆる相談に応じ、健康の増進や共用の向上及びレクリエーションのための機械を総合的に与える施設

・B型:基本となっているA型の機能を保管する施設

医療機関

生活指導員は、病院やクリニックなどの医療機関にも配置されます。医療機関で活躍している生活指導員は患者さんが医療を安心して受けられるように相談に乗ることが目的です。わかりやすく表現すると、病院と患者さんの橋渡し役と言えるでしょう。医療機関に配置される生活指導員は主に以下のような業務を行います。

・相談、サポート
・入退院の調整
・退院後の環境整備
・福祉用具業者との調整
・自宅の設備改修、生活スタイルの提案
・転院先や老人ホームへの転居の提案

このように、病院に配置される生活指導員は社会福祉の立場から患者さんのサポートを行うのです。

生活指導員の給料は?

平均月収は約34万円

生活指導員を含めて、介護スタッフの給与はほかの職業の給与に比べて低いというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?そんな介護スタッフの処遇の改善を目的としている、介護職員等特定処遇改善加算という制度が始まりました。厚生労働省の資料によると、令和4年度の介護職員等特定処遇改善加算を取得している事業所に所属する生活指導員の平均月給は、約34万円となっています。その他にも、介護関係の職業についている方の給与に関する援助はたくさんあるので、給与アップの見込みがあると言えるでしょう。

参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf

まとめ

生活指導員について詳しく知ろう!

この記事では、生活指導員について詳しく紹介してきました。ここまでの内容をまとめると、生活指導員とは、施設の利用者が快適に生活できるように支援することが仕事です。生活指導員は、利用者本人はもちろん、その家族や担当医と連携しながらサービスを提供しなければいけません。生活指導員になるための明確な資格や決まりはないため、施設や事業所によっては未経験でも可としているところがあるでしょう。また、生活指導員以外の職業についても紹介しているので、介護関係の職業に興味のある方は、是非この記事を参考にしてみてください。