「うちの子、小学生になってもおねしょをしている」と悩んでいませんか?それはおねしょではなく夜尿症の可能性があります。また、発達障害と夜尿症は関連があるという話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、夜尿症の基本や、夜尿症と発達障害の関係について解説します。夜尿症について詳しく知りたいと思っている方は是非、記事を読んで理解を深めてくださいね。
夜尿症とは
5歳以上で1ヶ月に1回以上おねしょをする

夜尿症とは、夜間の睡眠中に尿が漏れてしまう現象をいいます。同じ現象でおねしょがありますが、2つの違いを見極めるポイントは年齢です。生まれてから2歳ごろまでは毎晩おむつにおねしょをしますが、成長に伴い身体の発達と排尿習慣が身につくので、その回数はどんどん減っていきますよね。しかし、5歳を過ぎてもおねしょが月に1回以上する状態が3ヶ月以上続いたら、夜尿症と診断されます。症状は子どもによって違い、毎日起こる子もいれば週に1回以下の子もいます。
夜尿症は小学校低学年で約10%
夜尿症は小学校低学年で約10%という報告があります。特に男児に多く見られ、決して珍しい症状ではありません。小学校高学年になれば5%まで減少します。ほとんどの子どもは年齢とともに自然に治癒し成人するまでに治りますが、15歳以上になっても1%から2%の子どもは持続するという報告もあります。また、夜尿症は自己肯定感の低下にもつながると言われていますよ。焦らずに子どもの心に寄り添い、必要な場合は医療機関に相談しましょう。
夜尿症の原因
夜間の尿量が多い

人には睡眠中の尿の量を調整する抗利尿ホルモンというホルモンがあります。通常、睡眠中は抗利尿ホルモンが多く分泌され尿の量が調整されるので、おもらしをすることはありません。しかし、子どものうちは睡眠中の尿の量をコントロールする抗利尿ホルモンの働きが未熟なため、夜間に作られる尿の量が多くなりおねしょをしてしまうのです。成長に伴い抗利尿ホルモンの分泌が安定してくれば、夜間の尿の量が減り、おねしょもなくなります。
膀胱の機能が未熟
夜尿症の子どもの中には膀胱のサイズが小さい、膀胱の緊張が高いなどが原因で尿をためることができない子どももいます。このように膀胱の機能や発達に問題がある場合は、夜間に作られた尿を朝まで溜めておくことができず、おねしょとして漏れてしまうのです。しかし成長に伴い、膀胱が大きくなってくれば自然とおねしょの回数は減ってくるでしょう。また膀胱に問題がある子どもの場合、昼間のトイレの回数が多い傾向にあります。子どもの膀胱の機能が気になる方は1度、子どものトイレの回数を確認してみてはいかがでしょうか。
夜尿症と発達障害の関係は?
ADHDとの関係

ADHDの子どもの夜尿症の合併率は昼間の排尿には問題がない子どものうち、約17.6%~20.7%が合併しているという報告があります。原因として、ADHDの特性から夜間の水分制限や規則正しい排泄習慣を守ることが難しい、下着が濡れている感覚を脳でキャッチしにくいという原因が考えられています。また、ADHDの子どもに多く見られる睡眠障害も、尿意で目を覚ますことを妨げるため夜尿症に繋がりやすいという意見も。このような不注意や覚醒の弱さといった発達上の特性が、おねしょの長引く要因に関係しています。
ASDとの関係
ASDの子どもの夜尿症の合併率は16%~70%という報告があります。ASDの子どもは曖昧な表現が苦手という特性があります。例えば、寝る前はたくさん水分を取ってはダメなどの曖昧な言葉は理解しづらく、たくさん飲んでしまい夜尿症に繋がることも。ASDの子どもの夜尿症ケアでは、視覚で具体的に伝えることが重要です。対策として、青いマグカップの線までと数値や器で基準を明確に指定しましょう。さらに、飲むタイミングやトイレの時間をスケジュール化し、イラスト等の視覚支援を組み合わせることで見通しが立ちやすくなります。
夜尿症だからといって発達障害とは限らない
夜尿症と発達障害の関係についてお話しましたが、夜尿症だからといって発達障害というわけではありません。また逆に、発達障害だからといって必ず夜尿症になるわけでもありません。ただ、発達障害を持っている子どもは夜尿症になるケースが多いのも事実です。親御さんの中には、夜尿症が原因でストレスを感じたり、親子関係がぎくしゃくしたりしているという方もいらっしゃると思います。しかし、決して叱らずに長い目で子どもを見守ることが大切です。
発達障害以外の病気と夜尿症について
低形成腎・異形成腎などとの関係
夜尿症の多くはホルモン分泌や膀胱の未熟さが原因です。しかし、まれに腎臓が小さい低形成腎や腎臓が正しく形成されていない異形成腎であることが原因で、夜尿症になることがあります。また尿路が拡大している水腎症の可能性も。これらは尿を濃縮する力が弱かったり、尿の流れが滞ったりすることで夜尿につながります。夜だけではなく、昼間も尿が漏れることがある、尿の勢いが弱いなど尿のことで不安に感じることがあれば、早めに医療機関を受診して検査してもらいましょう。
アレルギーとの関係
アレルギーやアデノイド肥大の子どもは、睡眠時無呼吸症候群になることがあります。睡眠時無呼吸症候群が原因で、夜尿症になることも。理由は睡眠リズムの乱れや、低酸素血症による酸欠が体の排尿メカニズムに直接悪影響を与えてしまうからです。睡眠時無呼吸症候群は夜尿症だけではなく、日中の集中力の低下や身体の成長、脳の発達にも影響を及ぼしかねません。気になる方は耳鼻咽喉科に行き、子どもにどのような症状があるのか伝え適切な治療をしましょう。
便秘との関係
便秘が原因で膀胱を圧迫してしまい、夜尿症を引き起こしているケースがあります。直腸に溜まった便がすぐ前にある膀胱を押しつぶすため、ためられる尿の量が減ってしまうからです。改善方法として、食物繊維を意識したバランスの取れた食事や水分補給、適度な運動を心掛けて便秘を解消させましょう。生活習慣を見直してもなかなか便秘が改善されない場合は、放置せず小児科に1度相談し薬などを用いた適切な便秘の治療を検討してみましょう。
覚醒障害との関係

夜尿症の原因の1つに覚醒障害があります。起きてすぐはぼーっとしてしまうということ、ありますよね。覚醒障害とは、睡眠中に脳がはっきり目が覚めずぼーっとした状態が続くことをいいます。覚醒障害の子どもは、寝ている間に膀胱が満タンになって尿意を脳が感じても眠りからしっかり目が覚めないため、そのままおねしょをしてしまいます。覚醒障害の子どもには、無理やり起こしてトイレに連れて行くことは睡眠のリズムを壊してしまい、逆効果になります。まずは医療機関を受診して相談しましょう。
自宅でできる夜尿症の改善方法
食生活の改善

夜尿症には食事の改善が大切です。まず朝食と昼食はしっかり食べましょう。そしてポイントは夕食です。夕食は就寝の3時間前までに終わるように生活リズムを整えましょう。食事の内容は塩分を控えて薄味にしてください。また、便秘になると夜尿症が悪化する可能性があるので食物繊維を多くとり、便秘予防もしましょう。夕食後のジュースや牛乳、カフェインを含む飲料も控えるようにしてくださいね。
寝る前の水分を減らす
夜尿症の改善には寝る2~3時間前の水分の制限がとても重要です。寝る前の水分制限を守らなければ、どんな治療を行っても効果があまりでない可能性があります。例えば21時に就寝する場合は、19時からは水分を摂取しないようにしましょう。飲みたい場合はコップ1杯を目安に利尿作用があるカフェインを含む緑茶やコーヒー、紅茶などを避けてくださいね。また、夕飯の時の味噌汁など味の濃い汁物も避けた方がより効果があります。朝昼に関しては自由に水分をとっても問題ありません。
就寝時は室温に気を付ける
就寝時、室内が冷えすぎるとトイレに行きたくなりますよね。体が冷えると血管が縮小し、膀胱が縮んで尿をためられる量が減り、夜尿症を引き起こす原因になります。そのため就寝時の室温はとても重要です。適正な温度に調整しましょう。また寝具やパジャマも環境にあったものを選択し、体が冷えないように工夫しましょう。子どもの場合、布団を蹴ってしまう子もいます。そんな子には腹巻きやスリーパーなどを上手に活用し、朝まで暖かく寝られる環境を整えましょう。
子どもの夜尿症に対して親が心がけることとは
宿泊行事の時の心のケア
小学校高学年になると自然の家や修学旅行などの宿泊行事があります。夜尿症の子どもの中にはおねしょがバレるのが恥ずかしいので、行きたくないという子どもも。夜尿症の子どもが安心して宿泊行事に行くには、学校の先生と事前に打ち合わせしておくことが重要です。夕食後の水分摂取の制限や、就寝前のトイレなど学校の先生に可能な限り協力してもらいましょう。また、他の子との別室での就寝ができないかも確認してください。
必要な場合は医療機関を受診

夜尿症の子どものうち、医療機関を受診しているケースは4割程度にとどまります。おねしょと聞くと、どうしてもよくあることと思い、受診に行くのに躊躇してしまいがちになりますよね。しかし、おねしょが続くことが原因で子どもの自尊心が傷つき、周囲に叱られることで強いストレスを抱えている場合も少なくありません。おねしょは本人の努力や親の育て方のせいではなく、治療ができる立派な病気です。放置せず、適切な受診を通して正しいケアを始め、子どもの大切な心に傷をつけないように守っていきましょう。
夜尿症の治療方法
アラーム療法
アラーム療法には夜尿アラームという機器を使います。夜尿アラームは小さなセンサーで、下着に取り付けおねしょをしたら、アラームが鳴るという仕組みです。アラームが鳴ることで、脳に尿が溜まったら起きるという感覚を覚えさせていきましょう。それを繰り返すことで睡眠中の膀胱の容量が増え、夜間の尿量が減るという効果があります。特に膀胱容量の小さい子どもには効果的な治療法です。有効率は70%で再発率も低く、副作用もありません。
薬物療法
夜尿症には薬物治療が有効です。よく使われるのが抗利尿ホルモン薬で、夜間の尿の量を減らす効果がある薬です。服用方法は舌の上に薬を置いて溶かし、水なしで服用します。この薬にはいくつか注意点がありますよ。まず、服用前後に水分を取りすぎてしまうと水中毒になる危険があるので注意してください。また、食事やおやつを食べると効果が弱まるので、夕飯後1時間以上あけて服用してくださいね。
その他の治療方法

その他の治療法として、漢方薬や便秘治療がよく使われます。漢方薬は冷え性がある子どもの夜尿症に効果的で、本人の体質に合わせて他の治療と組み合わせながら補助的に使うといいでしょう。便秘治療は便秘があると直腸に溜まった便が膀胱を圧迫し、夜尿症を悪化させてしまいます。そのため、正しい排便指導や生活習慣、場合によってはお薬を用いた薬物療法で便秘を根本から改善させていきましょう。
まとめ
焦らずゆっくり見守ろう
夜尿症の治療には、家族の理解と協力が必要不可欠です。毎日布団を掃除したり洗濯したりするご家族も本当に大変ですよね。ついつい子どもを叱ってしまうこともあるかもしれません。しかし、子ども本人もわざとおねしょをしているわけではないため、叱られると強いストレスを感じ、かえって夜尿症が悪化してしまう可能性があります。いつか必ず治ると焦らずに長い目で見守っていきましょう。おねしょがない日があったり、量が減ったりと、少しでも改善されればたくさん褒めてあげ、自信となる成功体験を一緒に積み重ねていきましょう。


