療育でバランスボールを活用する方法とは?【ねらい・効果・サイズ・トレーニング・選び方】

バランスボールを用いた療育は、子どもの身体能力や発達を促すためのアプローチとして注目されています。柔軟性を高め、姿勢の改善や集中力の向上にもつながるバランスボールの療育は、遊び感覚で実践できるという魅力がありますよ。この記事では、バランスボールを用いた療育の効果や取り組み方について詳しく紹介します。「バランスボールを使った療育は、どのように取り入れるの?」「バランスボールを使った療育にどんな効果があるの?」と、このような疑問をお持ちの方は、是非この記事を参考にしてみてくださいね。

バランスボールが療育に向いている理由

運動が苦手な子どもでも簡単に取り組めるから

バランスボールが療育に向いている理由の1つ目は、運動が苦手な子どもでも簡単に取り組める点です。例えば、バランスボールの受け渡し競走やボール転がし競走などは、他のスポーツに比べて難しい技術や特別な運動能力を必要としません。そのため、運動が苦手な子どもでも、無理なく楽しみながら参加できますよ。このようなバランスボール療育は、物事に集中することが苦手な子どもや飽きっぽい子どもでも、簡単に続けやすく習慣にしやすいことが魅力です。また、バランスボール療育は、運動への苦手意識や抵抗感を減らす効果も期待できますよ。

運動が苦手な子どもでも体幹を鍛えられるから

バランスボールが療育に向いている理由の2つ目は、運動が苦手な子どもでも体幹を効果的に鍛えられるという点です。バランスボールに座ることで、姿勢を保つために体幹を使う必要があり、無意識のうちに体幹を強化することができます。難しい動きや特別な技術を必要としないので、特に運動が苦手な子どもでも、楽しみながら体幹トレーニングができますよ。このように、無理なく継続できることがバランスボール療育の特徴と言えるでしょう。体幹が鍛えられることで、姿勢の安定や転倒の防止にもつながり、日常生活に良い影響を与えます。

バランスボールを使った療育の効果

体幹の強化

バランスボールを使った療育の1つ目の効果は、体幹の強化です。バランスボールは表面的な筋肉だけでなく、体幹を強化するために重要なインナーマッスルを鍛えることができます。体幹周りの筋肉を鍛えることで、バランス感覚や姿勢の維持に役立ちます。これにより、日常生活での動作も安定するので、集中力や運動能力の向上が期待できますよ。また、楽しみながら体を動かし体幹を鍛えることは、子どもたちのモチベーションを高め、療育の効果をさらに引き出すことにつながるでしょう。

運動能力の向上

バランスボールを使った療育の2つ目の効果は、運動能力の向上です。バランスボール上での運動は、通常の運動よりも不安定な体勢で行われるため、子どもたちは体のバランスを取ることを意識するようになります。これにより、全身の筋肉や神経系が活発に働き、思い通りに体を動かす能力が鍛えられます。また、バランスボールを使った遊びや運動は、楽しみながら行えるため、子どもたちは無理なく運動に取り組むことができますよ。定期的に取り入れることで、持久力や柔軟性、リズム感などの運動能力がバランスよく向上するでしょう。

姿勢の改善

バランスボールを使った療育の3つ目の効果は、姿勢の改善です。バランスボールは不安定なため、体の中心を意識しながら座ったり動いたりする必要があります。これにより、背筋が伸び、正しい姿勢を保つ筋肉が鍛えられますよ。特に、姿勢を維持するために重要な体幹や背中の筋肉が強化され、日常生活でも良い姿勢を維持しやすくなります。このように姿勢が改善されると、集中力や呼吸が深くなることにもつながるので、学習や運動パフォーマンスの向上が期待できますよ。

社会性や自己表現力の向上

バランスボールを使った療育の4つ目の効果は、社会性や自己表現力の向上です。グループで行うバランスボール活動は、子どもたちとの協力が必要になります。例えば、二人一組でバランスボールを使用したキャッチボールなどの活動では、相手の動きに気を配り、協力する必要があります。これにより、コミュニケーション能力や協調性が自然に育まれます。また、音楽のリズムに合わせて弾む遊びでは、体を使って自分の感情を表現することができるため、自己表現力も向上します。特に、発達障がいを持つ子どもにとっては、体を動かすことで言葉以外の手段で自己表現する機会が得られ、社会的なスキルを楽しく学ぶことができるでしょう。

集中力の向上

バランスボールを使った療育の5つ目の効果は、集中力の向上です。バランスボールに座りバランスを取るためには、体全体の筋肉を使い、意識を集中させる必要があるため、自然と集中力が鍛えられます。特に発達障がいを持つ子どもは、じっと座っていることが苦手な場合が多いですが、バランスボールの動きに意識を向けることで、遊び感覚で楽しく集中する習慣を身につけられますよ。このように、バランスボールを使った療育は、日常生活にも役立つ集中力を高める効果を発揮します。

感覚統合が発達する

バランスボールを使った療育の6つ目の効果は、感覚統合の発達です。感覚統合とは、五感や固有受容感覚、前庭感覚など、さまざまな感覚を適切に処理し、体の動きや行動に反映させる能力です。バランスボールの不安定な動きにより、体全体を使ってバランスを取る過程で、感覚の調整が自然に行われます。特に発達障がいのある子どもたちにとって、感覚過敏や鈍感の改善に役立ち、日常生活での行動や適応力が向上しますよ。感覚統合の発達は、子どもの全体的な成長において重要な要素です。

バランスボールを使った療育トレーニング

バランスボールに乗る

バランスボールを使った療育トレーニングの1つ目は、バランスボールに乗ることです。やり方はとてもシンプルで、バランスボールに座るだけです。座る際は、背筋が丸まってしまわないように腰などに手を添えて支えてあげると良いですよ。座るのに慣れてきたら、音楽などを流して、リズムに合わせて体を左右に揺らしたり、上下にはずんだりするのも楽しくておすすめです。バランスボールに座るトレーニングは、筋肉の緊張が低いと言われがちな知的障がいや発達障がいの子どもたちも、楽しみながら筋肉を鍛えることができます。

バランスボールに座りながらキャッチボール

バランスボールを使った療育トレーニングの2つ目は、バランスボールに座りながら行うキャッチボールです。バランスボールに座ったままのキャッチボールでは、体のバランスを保つために手をいろいろな方向に動かすため、ただ座るだけよりも体幹が必要になります。キャッチボールを通して視覚と手の動きの連動が促され、空間認識力や反射神経が鍛えられますよ。また、体のバランスを保ちながらボールを取るという動作は、集中力の向上にもつながります。このように、バランスボールに座りながらキャッチボールを行うことで、体幹だけでなく、集中力や反射神経なども鍛えることができるのです。

バランスボールを叩く

バランスボールを使った療育トレーニングの3つ目は、バランスボールを叩く運動です。この運動方法も簡単で、音楽に合わせてバランスボールを手の平で叩くだけです。バランスボールを叩く運動では、手の平から振動や刺激が伝わることで手の平の感覚が刺激され、固有受容感覚や触覚を育むことができますよ。また、強弱や速さを調整しながら叩くことで、自分の動きに対して物をコントロールする力が養われます。運動内容はシンプルながらも、楽しく全身を使えるトレーニングとして効果的です。

バランスボールでお腹や背中をゴロゴロ

バランスボールを使った療育トレーニングの4つ目は、バランスボールの上でお腹や背中をゴロゴロと動かす運動です。子どもがバランスボールの上にうつ伏せやあおむけになり、大人が前後に揺らしてあげましょう。この運動では、手を頭の上に伸ばすことで肩甲骨の可動域が広がり、上半身をスムーズに動かすことができます。ほかにも、体をボールに預けながら前後に転がることで、体幹の強化や柔軟性も養われますよ。

バランスボールを足でキャッチボール

バランスボールを使った療育トレーニングの5つ目は、バランスボールを足でキャッチするトレーニングです。このトレーニングはボールのサイズによっては難しいかもしれません。トレーニング方法は次の通りです。

・仰向けに寝転がって、両足でボールを挟む
・膝を伸ばしてボールを前の人にパスする
・パスされたボールを足でキャッチする

このトレーニングでは、腹筋や体幹、足の筋力が強化されます。ほかにも、ペアになって行うトレーニングのため、協調性も養われますよ。

バランスボールの選び方

サイズで選ぶ

バランスボールを選ぶ際に注目すべき点は、ボールのサイズです。バランスボールはただ大きければ良いというわけではありません。子どもが安全にトレーニングを行うためには、身長にあったサイズのボールを選ぶ必要があります。一般的には次のサイズが推奨されていますよ。

・身長が130cm未満 直径30〜45cm
・身長が135〜154cm 直径45cm
・身長が155〜169cm 直径55cm
・身長が170〜184cm 直径65cm

身長に対して大きいサイズのボールを使用すると、転倒などの事故が起こる危険性があります。必ず子どもの身長に合ったサイズのバランスボールを選んでくださいね。

参考:https://mirai-park.com/balanceball-child-size

形を見て選ぶ

バランスボールを選ぶ際には、ボールの形にも注目して選びましょう。ボールの形やその特徴は次の通りです。

丸形
丸形は一般的なバランスボールです。この記事でも紹介したように、様々な運動を行うことができます。
ピーナッツ型
ピーナッツのような形をしているバランスボールです。この形のバランスボールは安定感があるため、座って行う運動をするときに適しています。
ドーナツ型
ドーナツのような形をしているバランスボールです。この形のバランスボールはピーナッツ型と同じく安定感があります。ピーナッツ型と比べて低いため、座って行うだけでなく、うつ伏せや仰向けなど、様々な体勢の運動が安全に行えます。

療育にバランスボールを取り入れる際の注意点

必ず大人が見ているときに行う

療育にバランスボールを取り入れる際の注意点は、必ず大人が見守っている状況で行うことです。バランスボールは、子どもたちの体幹を鍛えたりバランス感覚を養ったりするのに効果的です。しかし、誤った使い方をすると転倒や怪我のリスクがあります。特に、発達障がいを持つ子どもは、自分だけでバランスを保つのは難しいため、予測できない動きをすることがあります。そのため、安全に配慮して、常に大人がそばで見守り、適切な指導やサポートを行うことが必要不可欠と言えるでしょう。

周りに物を置かない

療育にバランスボールを取り入れる際の2つ目の注意点は、周囲に物を置かないことです。バランスボールを使った運動は、子どもが大きく動いたり、予測できない動きをする可能性があるため、周囲に物があると衝突や転倒の原因になります。特に硬い家具や尖った物が近くにあると、怪我につながる危険度が高まります。例えば、怪我を避けるために十分な広さや柔らかいマットを敷くことで、安全性を向上させることができますよ。このように安全なスペースと環境を確保することは、安心して療育を提供するために最も重要です。

まとめ

バランスボールを活用して楽しく療育に取り組もう!

いかがでしたか。今回は、バランスボールを使った療育について詳しく解説していきました。障がいを持つ子どもにとって必要な療育とは言え、本人が嫌だと感じることを無理やりやっても継続することは難しく、良い効果は期待できないですよね。しかしバランスボールは、運動が苦手な子どもでも楽しんで取り組むことができる運動療育です。この記事を参考にバランスボールを療育に取り入れて、子どもが「楽しいからもっとやりたい!」と思えるような活動を実践してみてくださいね。