ストレングスモデルとは?保育に取り入れるメリットも解説!【簡単に・特徴・意味・いつ】

子ども一人ひとりの個性や可能性を伸ばすためには、苦手なことやできないことだけでなく、得意なことや強みに目を向けることが大切です。そこで注目したいのがストレングスモデルという考え方です。しかし、ストレングスモデルという言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのような考え方なのか、保育にどう取り入れればよいのか分からない方もいるでしょう。今回の記事では、ストレングスモデルの基本的な考え方や6つの原則、保育に取り入れるメリット、実践する際の注意点について詳しく解説します。子ども一人ひとりの良さを活かした保育を実践したい方は、ぜひ参考にしてください。

ストレングスモデルとは

本人の強みや可能性に着目する支援方法

ストレングスモデルとは、本人が抱える問題や苦手なことだけに注目するのではなく、持っている強みや能力、可能性を活かして支援を行う考え方です。ストレングス(Strengths)には強みという意味があり、本人の得意なことや興味・関心、これまでの経験、周囲の人間関係などを大切な資源として捉えます。従来の支援では、本人ができないことや困っていることを改善する視点が中心になりがちでした。一方、ストレングスモデルでは、本人ができることに目を向け、その力を活かしながら課題の解決や目標の実現を目指します。

ストレングスモデルが生まれた背景

1970年代にチャールズ・ラップ教授が提唱した

ストレングスモデルは、アメリカのカンザス大学でチャールズ・ラップ教授らによって開発された支援方法です。1970年代には、精神障がいのある人への支援において、病気の症状や本人のできないことに注目する考え方が中心となっていました。しかし、こうした支援だけでは、本人の希望や可能性を十分に活かせないという課題がありました。このような背景から、1980年代初頭にラップ教授らは、本人の強みや能力、希望に着目するストレングスモデルの開発を進めたそうです。問題や欠点を改善するだけでなく、本人が持つ力や地域の資源を活用し、自分らしい生活を実現できるよう支援することを重視しています。

ストレングスモデルの基本的な考え方

すべての人に強みや可能性がある

ストレングスモデルでは、すべての人に強みや能力、成長する可能性があると考えます。障がいや病気、生活上の困難を抱えている場合でも、その人が持つ得意なことや経験、興味・関心などに目を向けることが大切です。強みは特別な才能や優れた能力だけを指すものではありません。人と話すことが好き、物事に粘り強く取り組める、周囲の人を思いやれるといった日常的な特徴も、その人の大切な強みになります。支援者は、一人ひとりの個性や可能性を尊重し、本人が自分の強みに気づけるよう働きかけることが重要です。

本人の希望や目標を尊重する

ストレングスモデルでは、支援者の考えや判断だけで支援の方向性を決めるのではなく、本人の希望や目標を尊重することを重視しています。本人がどのような生活を送りたいのか、何に挑戦したいのか、どのようなことを大切にしているのかを丁寧に聞き取り、その思いを支援の中心に置きます。例えば、障がいのある人が自分で買い物に行きたいと希望している場合、支援者がすべてを代わりに行うのではなく、本人が安心して買い物できる方法を一緒に考えますよ。必要に応じて移動手段や買い物の手順を確認するなど、本人の希望を実現するための支援を行うことが大切です。

本人が持つ力を引き出す

ストレングスモデルでは、本人が持っている能力や経験を活かし、自分自身で行動できる力を引き出すことを大切にしています。支援者がすべての問題を解決したり、必要なことを代わりに行ったりするのではなく、本人が主体的に取り組めるようサポートすることが基本です。例えば、日常生活の中で苦手な作業がある場合でも、すぐに支援者が代わるのではなく、本人ができる部分を見つけて取り組めるようにしますよ。作業を細かく分けたり、得意な方法を取り入れたりすることで、本人が持つ力を発揮しやすくなります。

周囲の環境や社会資源も強みとして捉える

ストレングスモデルでは、本人の能力や性格だけでなく、周囲の環境や社会資源も重要な強みとして捉えます。社会資源とは、家族や友人、地域の支援機関、福祉サービス、公共施設など、本人の生活を支えるために活用できるものを指します。支援者は、本人が利用できる社会資源を把握し、必要に応じて関係機関との連携を図ることが重要ですよ。また、本人が安心して過ごせる環境を整えたり、地域とのつながりを広げたりすることも支援の一つです。本人の強みと周囲の資源を組み合わせることで、より幅広い支援の可能性が生まれます。

本人と支援者が協力して取り組む

ストレングスモデルでは、本人と支援者が対等なパートナーとして協力しながら、目標の実現に向けて取り組むことを重視しています。支援者が一方的に指導したり、本人の代わりに決定したりするのではなく、お互いの意見を尊重しながら支援を進めることが大切です。例えば、本人が新しい活動に挑戦したいと考えている場合、支援者は本人の希望を聞き取り、実現するために必要な準備やサポートを一緒に考えますよ。活動を進める中で困難が生じた場合も、本人の気持ちを確認しながら解決方法を検討することが重要です。

ストレングスモデルの6原則

障害者は回復し生活を改善して質を高めることができる

ストレングスモデルでは、障がいや精神疾患がある人も、適切な支援や環境があれば、自分らしい生活を取り戻し、生活の質を高めていけると考えます。ここでいう回復とは、必ずしも病気や障がいが完全になくなることではありません。本人が希望する暮らしを実現したり、社会とのつながりを持ったりするなど、自分にとって充実した生活を送れるようになることを意味します。支援者は、現在の状態だけで本人の可能性を判断せず、将来の成長や変化を信じて関わることが大切です。

焦点は病理でなく個人の強みである

ストレングスモデルでは、病気の症状や障がいによる困難だけでなく、本人が持つ強みや能力に焦点を当てることを重視しています。苦手なことやできないことを改善する視点だけでは、本人が本来持っている可能性を十分に引き出せない場合があります。そのため、得意なことや興味・関心、これまでの経験などに目を向け、それらを支援に活かすことが大切ですよ。例えば、人との会話が苦手な人でも、絵を描くことや文章を書くことが得意であれば、その能力を活かして他者と交流する機会を作ることができます。本人の強みを活用することで、自信や達成感を得られる可能性があります。

地域は資源のオアシスとして捉える

ストレングスモデルでは、地域社会を本人の生活や成長を支える豊かな資源の集まりとして捉えます。保育においても、園内での活動だけでなく、地域の施設や人々との交流を通して、子どもの経験や学びの機会を広げることが大切です。例えば、地域の図書館を訪れて様々な絵本に触れたり、公園で自然や生き物を観察したりすることで、子どもの興味・関心を深められますよ。また、地域の高齢者や商店の人々との交流を通して、様々な世代の人と関わる経験を積むこともできます。

本人が支援の方向を決める

ストレングスモデルでは、本人の希望や意思を尊重し、自分自身で選択することを大切にしています。保育現場においても、保育士がすべての活動や行動を決めるのではなく、子ども自身が考え、選択できる機会を設けることが重要ですよ。例えば、自由遊びの時間に、保育士が遊びを指定するのではなく、子どもが自分の興味に合わせて遊びを選べる環境を整えます。また、製作活動では、使う色や材料を子ども自身が選べるようにすることで、自分の考えを表現する楽しさを感じられます。

本人と支援者の関係を大切にする

ストレングスモデルでは、本人と支援者の信頼関係を大切にしています。保育現場においても、子どもが安心して自分の気持ちを表現したり、新しいことに挑戦したりするためには、保育士との信頼関係が欠かせません。例えば、子どもが遊びの中で失敗したときに、できなかったことを責めるのではなく、挑戦した気持ちや努力を認めることが大切です。また、子どもが不安や悲しさを感じているときには、その気持ちを受け止め、安心できるように寄り添う必要があります。

実際の地域生活の中で支援する

ストレングスモデルでは、支援を特定の施設や相談室の中だけで行うのではなく、本人が実際に生活する地域の中で実践することを重視しています。保育現場でも、園内での活動に限らず、日常生活や地域社会との関わりを通して、子どもの成長を支えることが大切です。例えば、散歩の際に交通ルールを学んだり、地域の公園でほかの子どもと交流したりすることで、実際の生活に必要な経験を積むことができますよ。また、地域の行事に参加することは、自分が暮らす地域への親しみを感じたり、様々な人との関わり方を学んだりする機会になります。

ストレングスモデルを取り入れるメリット

自己肯定感や自信を育める

ストレングスモデルを保育に取り入れることで、子どもの自己肯定感や自信を育むことが期待できます。子どものできないことや苦手なことに注目するのではなく、得意なことや興味・関心を積極的に認めることで、自分には良いところがあると感じられるようになります。例えば、運動が苦手な子どもでも、絵を描くことや歌うことが得意な場合がありますよ。保育士がその子の得意なことを見つけ、活動の中で活かせる機会を設けることで、達成感や喜びを味わえるでしょう。また、結果だけでなく、挑戦した過程や努力を認めることも大切です。

本人の主体性を引き出せる

ストレングスモデルを取り入れることで、子どもが自分で考え、選択し、行動する主体性を育むことにもつながります。保育士が一方的に活動内容や方法を決めるのではなく、子どもの興味や希望を尊重することで、自ら進んで活動に取り組む意欲を引き出しやすくなります。自分で選んだことに取り組む経験を積み重ねることで、子どもは自分の考えを大切にしながら行動する力を身につけていきますよ。保育士は子どもの意思を尊重しつつ、必要に応じて助言や援助を行い、一人ひとりが主体的に活動できる環境を整えることが大切です。

ストレングスモデルを取り入れる際の注意点

本人の課題や困りごとを無視しない

ストレングスモデルでは、子どもの強みや得意なことに注目しますが、苦手なことや困っていることを無視しないよう注意が必要です。強みを伸ばすことだけに意識を向けてしまうと、子どもが抱えている不安や困難に気づけず、適切な支援につながらない可能性があります。例えば、集団活動が苦手な子どもに対して、得意な遊びを取り入れるだけでなく、なぜ集団活動に参加しにくいのかを丁寧に観察することが大切ですよ。周囲の音が気になる、活動の内容が理解しにくいなど、困りごとの背景を把握することで、その子に合った支援方法を考えやすくなります。

支援者の価値観を押し付けない

ストレングスモデルを取り入れる際は、保育士自身の考えや価値観を子どもに押し付けないことが大切です。保育士が良いと考える活動や目標が、必ずしも子どもの興味や希望と一致するとは限りません。そのため、大人の理想を優先するのではなく、子ども自身の気持ちや考えを尊重する姿勢が求められます。保育士は、子どもの表情や言葉、行動などから興味や関心を丁寧に読み取り、本人が選択できる機会を設けることが重要です。

まとめ

ストレングスモデルを活用して一人ひとりの可能性を広げよう

いかがでしたか?ストレングスモデルは、本人のできないことや苦手なことだけでなく、強みや得意なこと、可能性に目を向ける支援方法です。ストレングスモデルを取り入れることで、子どもの自己肯定感や自信を育み、主体的に行動する力を引き出すことが期待できます。また、子どもの強みを見つけるためには、日々の遊びや生活の様子を丁寧に観察し、小さな成長や変化を見逃さないことが重要です。ストレングスモデルの考え方を日々の保育に活かし、一人ひとりが自分らしく成長できる環境を整えていきましょう。