就労移行支援とは?サービス内容をわかりやすく解説!【A型・B型・対象者】

皆さんは、就労移行支援がどのようなサービスかご存知でしょうか?就労移行支援とは、就職を目指す障害のある方に必要な支援を行うサービスのことです。就労移行支援では、就労相談から就労のためのトレーニング、就職後の職場定着支援まで幅広くサポートを行いますよ。今回の記事では、就労移行支援で働く職員やサービス内容、その他に関連するサービスなどについて詳しく紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

就労移行支援とは

就職を目指す障害のある方に必要な支援を行う

就労移行支援とは障害福祉サービスの1つで、通所型の就労支援施設です。就労移行支援は、障害のある方の就職活動における具体的なサポートだけでなく、職場で安定して働き続けるための準備を手助けすることを目的としています。この支援は、障害者総合支援法に基づいて提供されており、一定の条件を満たすことで利用が可能ですよ。就労移行支援では、障害のある方が自分らしく働ける環境を整え、長期的に職場定着できるようにサポートします。

就労移行支援の対象者

障害や難病を持っている65歳未満の方

就労移行支援は、障害や難病を持ちながらも一般企業への就職を目指している原則65歳未満の方が対象となる福祉サービスです。平成30年4月からは65歳以上の人でも要件を満たせば利用可能になりました。具体的な要件は以下の通りです。

・身体障害者手帳を持っている方
・療育手帳を持っている方
・精神疾患を持っている方(診断書・意見書が必要)
・発達障害を持っている方(診断書・意見書が必要)
・難病を持っている方

ただし、障害者手帳は必ずしも持っている必要はありません。障害者手帳を持っていない方は、代わりに福祉サービス受給者証という証明書が必要です。この福祉サービス受給者証は、障害を証明できる書類を各市区町村に提出をすることで発行してもらいます。

就労移行支援の利用できる期間

原則24ヶ月

就労移行支援を利用できる期間は原則24ヶ月(2年間)です。24ヶ月の間に就職できなかった場合は、利用期間の延長をすることができます。ただし、申請すれば誰でも延長できるというわけではありません。利用期間を延長することで就職できると自治体に認められた場合に限り、最長12ヶ月の延長ができます。一方で、早期に就職が決まった場合には24ヶ月を待たずに支援が終了することもあります。

就労移行支援の利用にかかる料金

基本は自己負担なし

就労移行支援の利用料金は、前年の世帯収入で決まります。ただし、就労移行支援は障害者総合支援法に基づく福祉サービスであるため、基本的には利用者の自己負担はありません。具体的には、負担上限月額は以下のように決められています。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村税非課税世帯0円
一般1市町村税課税世帯(収入が概ね600万円以下)9300円
一般2上記以外37200円

利用料金は、9割を自治体が負担して残りの1割を利用者が負担します。

就労移行支援で働くスタッフ

管理者

就労移行支援事業所の中で中心的な役割を担うのが管理者です。管理者は事業所全体の運営を統括しながら、利用者に提供される支援が適切で質の高いものとなるように管理をします。また、スタッフの指導や業務の調整、行政との連携など、幅広い業務を担当しますよ。また、管理者の中にはサービス管理責任者という役職もあります。サービス管理責任者は、個別支援計画書を作成して支援を行います。本人や家族と定期的にモニタリングを行い、状況に応じて支援内容の見直しをします。

就労支援員

就労支援員は、利用者が一般企業への就職を目指す際に直接サポートを行うスタッフです。就労支援員になるために必要な資格は特にありません。主な就労支援員の役割は、利用者一人ひとりの特性や目標に応じた支援計画を立てることと、就職活動や職場実習のサポートを行うことです。さらに、就職後の定着支援も重要な業務ですよ。職場での悩みや課題に対応して、長期的に安定して働けるようなフォローも行います。

生活支援員

生活支援員は、利用者の日常生活をサポートして就労に向けた基盤作りを手助けするスタッフです。主な生活支援員の役割は、利用者が安定した生活を送りながら、就職活動やスキル習得に専念できるように支援することです。具体的には、時間管理や金銭管理、健康維持のアドバイスやストレスの対処方法など、生活全般にわたるサポートを行いますよ。利用者やその家族からの相談に対応し、場合によっては関連機関とも連携をとりながら支援を行います。

職業指導員

職業指導員は、利用者が職業スキルを身につけて実際の仕事に適応できるようにサポートを行うスタッフです。主な職業指導員の役割は、利用者の適性や希望に応じた職業訓練を提供して、就労に必要な実務スキルを習得させることです。具体的には、パソコン操作や軽作業、接客対応や清掃などの業務を指導しますよ。利用者が自信を持って就職に挑めるように、実践的な学びを提供するのが特徴です。さらに、指導の際には利用者の特性や進捗を丁寧に観察し、成長に合わせたサポート計画を調整します。

就労移行支援のサービス内容

就労相談

就労移行支援では、まず利用者一人ひとりの状況や希望を把握するための就労相談を行います。障害や難病の特性、これまでの経験、就労に対する不安や課題について話し合い、利用者に合った支援計画を一緒に立てていきます。この相談では、利用者の得意なことや苦手なことを明確にして、適切な目標設定を行うことが目的です。また、就労に向けた準備が進む中で新たな悩みや疑問が出た場合にも、その都度相談が可能です。就労相談は、利用者が安心して次のステップに進むための重要なサポートと言えるでしょう。

就労に向けたトレーニング

次に、職場で求められるスキルを習得するためのトレーニングを提供します。このトレーニングは、利用者の特性や目指す職種に応じて内容が調整されます。例えば、パソコン操作や事務作業、軽作業などの実務スキル、またはコミュニケーション能力や報連相などの対人スキルを磨くプログラムがありますよ。さらに、時間管理やストレスコントロールといった働き続けるための基本的な能力を育てる支援も行います。このトレーニングを提供することにより、利用者は職場に適応して自信を持って働ける力を身につけられます。

職場見学や実習

トレーニングによって一定の知識やスキルが身についたあとは、実際の職場環境を体験する職場見学や職場実習を行います。職場見学では、企業の雰囲気や仕事の流れを直接見ることで、自分に合った職場のイメージを具体化できます。一方、職場実習では、実際の業務を短期間経験して自分の適性やスキルを確認しますよ。また、企業側も実習を通じて利用者の能力や適応力を評価する機会となるため、マッチングの精度が高まります。こうした体験は就職後のギャップを減らし、安心して働き始める準備につながります。

就職活動のサポート

就労移行支援では、利用者が就職活動を円滑に進められるように様々なサポートを提供します。具体的には、履歴書や職務経歴書の書き方指導、面接練習や求人情報の提供などが含まれます。また、利用者の強みや適性を企業に効果的にアピールするためのアドバイスも行いますよ。さらに、企業とのやり取りや面接スケジュールの調整など、実務的なサポートも担当します。これらの支援を通じて、利用者は自信を持って就職活動に取り組めます。また、利用者に寄り添った就職活動のサポートを行うことで、適切な企業との出会いを実現するための環境も整えられるでしょう。

職場定着支援

就職がゴールではなく、その後の職場定着までサポートすることも就労移行支援の重要な役割です。就労移行支援では、原則として就職後6ヶ月間は職業定着のためのアフターフォローを行います。6ヶ月以降は就労定着支援が役割を引き継ぎます。ただし、任意で就労移行支援事業所が6ヶ月を超えて定着支援を継続する場合もありますよ。利用者が安定して働き続けられるように職場での課題や悩みについての相談に乗り、具体的な解決策を一緒に考えます。

就労移行支援に関連するサービス

就労継続支援A型事業所

就労継続支援A型事業所は、一般企業での雇用が難しい障害のある方に対して雇用契約を結び働く場を提供する福祉サービスです。A型事業所での最低定員は10名以上です。事業所によっては一般の労働者と一緒に働く場合もあります。主な業務内容は、軽作業や製造、サービス業などで、支援員が常にサポートを行いますよ。働く経験を積みながらスキルを向上させて、将来的に一般企業への就職を目指すためのステップとして利用されます。

就労継続支援B型事業所

就労継続支援B型事業所は、雇用契約を結ばずに働く場を提供する福祉サービスです。利用者は、体力や障害の特性に応じて無理のないペースで作業を行います。B型事業所は、一般企業での就労が難しい方でも、生産活動を通じて収入を得ながら社会参加を実現できる環境を提供しています。サポート内容は利用者に合わせて柔軟に調整され、生活リズムを整えたり、社会的スキルを習得したりする場としても活用されますよ。

就労定着支援事業所

就労定着支援事業所は、利用者が一般企業へ就職した後、職場に長く定着できるようにサポートを行う事業所です。利用対象者は、就労移行支援や就労継続支援、自立訓練や生活介護の利用を経て一般企業へ就職した方です。利用者が抱える不安や悩みを相談できる場を提供して、問題が発生した際には企業側と調整を行います。この支援は、就職後6ヶ月から最大3年間提供され、利用者が職場で安定して働き続けることを目指しますよ。

自立訓練

自立訓練とは、日常生活や社会生活の基盤を整えるための訓練です。身体機能や生活スキルの向上を目指し、利用者が自立した生活を送れるようにサポートします。例えば、生活リズムを整える訓練、金銭管理や健康管理の方法などを指導しますよ。自立訓練は、身体機能のリハビリテーションを行う機能訓練と、生活能力の維持と向上を目指す生活訓練の2種類があります。利用期間は、機能訓練は1年6ヶ月、生活訓練は2年となっています。

まとめ

就労移行支援の仕事を理解してサポートしよう!

就労移行支援は、障害を持つ利用者が一般企業への就職を目指し、安定して働き続けられるように支援する重要なサービスです。その仕事内容には、利用者の特性を理解するための就労相談や、スキルを身につけるためのトレーニングなどがあります。これらのサポートを通じて利用者が社会の一員として自信を持ち、自立した生活を送れるようにすることが就労移行支援の目標です。利用者が就職して自立した生活が見通せた場合には、スタッフも一緒になって喜びを感じ、やりがいも感じられますよ。ぜひ仕事選びをする際は、就労移行支援事業所を就職先の1つとして考えてみてはいかがでしょうか。