ダウン症とは?症状や特徴を詳しく解説!【染色体・症状・顔・接し方】

皆さんは、ダウン症の症状や特徴、原因をご存知でしょうか?ダウン症とは、染色体の異常により発生する先天性の疾患です。近年では医療やリハビリ技術の進歩により、ダウン症の方が安心して日常生活を送ることができるようになってきました。この記事では、ダウン症の特徴や診断方法、ダウン症の子どもとの接し方について詳しく解説します。「ダウン症ってどんな症状があるの?」「ダウン症の子どもとの接し方はどうしたらいいの?」と、疑問をお持ちの方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

ダウン症とは?

ある染色体が通常より1本多くあることが原因で起こる疾患

ダウン症とは、ある染色体が通常より1本多くあることが原因で、人種に関係なく全ての人に起こる可能性がある疾患です。人の細胞には通常46本の染色体が含まれていますが、ダウン症の方は21番目の染色体が3本あるため、合計47本となります。主に、精子や卵子が作られる際に染色体の不分離が起こることが原因ではないかと考えられていますが、どうして不分離が生じるのかは明らかになっていません。この染色体の異常により、知的発達の遅れや独特の身体的特徴が見られることが多く、学習や生活の面で特別な支援が必要になる場合があります。

ダウン症の種類

標準型

ダウン症の種類1つ目は、標準型です。標準型は、21番目の染色体が通常2本のところ3本に増えることが原因で発症し、ダウン症全体の約95%を占める最も一般的なタイプです。染色体の過剰が原因で、身体的特徴や知的発達に影響を及ぼします。また、標準型のダウン症は、親からの遺伝ではなく、染色体が分裂する過程で偶発的に発生することがほとんどです。そのため、家族にダウン症の人がいなくても発生する可能性がありますよ。

転座型

ダウン症の種類2つ目は、転座型です。転座型は、染色体が通常の配列から一部ずれて他の染色体に付着することが原因で発症すると言われており、全体の約4%を占めるタイプです。具体的には、21番目の染色体の一部が多くの場合は14番染色体に転座しているため、染色体の数自体は46本であっても、余分な21番染色体の遺伝情報を持つことになります。転座型は他のタイプと異なり、親の遺伝によって発生する場合もありますよ。

モザイク型

ダウン症の種類3つ目は、モザイク型です。モザイク型は、細胞の一部にのみ染色体の異常が見られることが原因で発症し、全体の約1〜2%を占める非常に稀なタイプです。通常の細胞は46本の染色体を持っていますが、モザイク型の場合は、一部の細胞が47本の染色体(21番目が3本)を持ち、他の細胞は正常な46本のままです。この混合状態が「モザイク」のように見えるため、モザイク型と呼ばれていますよ。モザイク型ダウン症の人は、身体的特徴や発達の程度が他のタイプと異なり、特徴が比較的軽い場合が多いとされていますが、個人差があります。

参考:https://h-navi.jp/column/article/35028655

ダウン症の子どもの症状や特徴は?

知的発達に遅れがある

ダウン症の子どもの1つ目の特徴は、知的発達に遅れがある点です。ダウン症の子どもは、学習や理解のスピードにおいて他の子どもと比べてゆっくりと進む傾向です。また、コミュニケーションスキルの発達が遅れることも多いため、日常生活の中でゆっくりと丁寧に話しかけ、積極的に言葉をかけることが効果的と言えるでしょう。一方で、記憶力や言語能力には個人差があり、適切な支援があれば自分のペースでぐんぐん成長していきます。そのため、早期から療育に取り組むことがおすすめですよ。

運動機能の発達に遅れがある

ダウン症の子どもの2つ目の特徴は、運動機能の発達に遅れがある点です。ダウン症の子どもは筋力が弱く関節が柔らかいため、首や体を支える力の発達が他の子どもと比べて遅れることがあります。そのため、首がすわる時期が遅かったり、歩き始めが遅かったりと、基本的な運動を習得するまでに時間がかかる傾向です。幼児期に、手を伸ばしておもちゃを引き寄せて遊んだり、ハイハイして誰かを追いかけたりすることが少ないため、周りの人や物への興味が薄いと感じられることがあるかもしれません。

言語機能の発達に遅れがある

ダウン症の子どもの3つ目の特徴は、言語機能の発達に遅れがある点です。ダウン症の子どもは多くの場合、話す力や言葉を理解する力が他の子どもよりもゆっくりと発達する傾向です。言語機能の発達が遅れる要因は主に、口や舌の筋力が弱いことや、言葉を聞いたり覚えたりといった言語理解が遅れている点も影響しています。発語までに時間がかかることも多いため、手話やジェスチャーなどを取り入れたコミュニケーションを用いることも有効ですよ。また、日常生活の中で頻繁に話しかけて子どもが言葉に触れる機会を増やすことが、言語発達を促すための大切なサポートと言えるでしょう。

合併症などの健康問題を伴う

ダウン症の子どもの4つ目の特徴は、合併症などの健康問題を伴う点です。ダウン症の子どもは、心臓疾患や呼吸器の問題、消化器系の異常などの健康リスクを伴う場合があります。現在では医学の発達により、妊娠中から出産直後までに異常が発見できるようになりました。そのため、早期に治療を行い症状を軽くすることも可能です。これらの合併症の有無や程度は個人差がありますが、定期的な健康診断や医療的サポートは欠かせません。

ダウン症の子どもに発症する合併症

循環器の疾患

ダウン症の子どもに発症する可能性のある1つ目の合併症は、循環器の疾患です。主に次のような疾患が挙げられます。

・心室中隔欠損症
・心房中隔欠損症

これらの循環器の疾患は、穴が小さい場合は手術や内服治療なしで経過を見ますが、重症の場合は手術が必要になります。循環器の問題は、日常生活に影響を与える可能性があるため、早期発見と治療が重要です。多くの場合は手術や適切な治療によって改善が期待できます。

消化器系の疾患

ダウン症の子どもに発症する可能性のある2つ目の合併症は、消化器系の疾患です。主に次のような疾患が挙げられます。

・十二指腸閉鎖
・食道閉鎖

これにより、哺乳や消化がうまくできず栄養を十分に摂取できない場合があるため、手術が必要になるケースもあります。これらの疾患は、出生後すぐに診断できるわけではないため、日頃から唾液の嘔吐や哺乳中の反応を意識して見る必要がありますよ。

代謝や内分泌系の疾患

ダウン症の子どもに発症する可能性のある3つ目の合併症は、代謝や内分泌系の疾患です。主に次のような疾患が挙げられます。

・糖尿病
・高脂血症
・甲状腺疾患

特に、甲状腺機能低下症はダウン症の子どもに多く見られる合併症です。ホルモンの分泌が不十分になり、成長や発達に影響を及ぼすことがあります。また、この疾患は疲れやすさや体温調節の困難、体重の増加といった症状を引き起こします。筋肉量が少なく基礎代謝も低い傾向で、糖尿病を発症するリスクも高いため、日々の健康管理が重要です。

その他

ダウン症の子どもが発症する可能性のある合併症は、他にもいくつもあります。具体的には次のような疾患です。

・斜視
・白内障
・難聴
・滲出性中耳炎
・低身長
・扁平足
・白血病
・鉄欠乏性貧血
・てんかん
・発達障害
・尿道下裂
・停留精巣

これらの中でも、出生後すぐに判明する疾患と、ある程度成長してからでないと診断できない疾患があります。これらの合併症に早く気づくためにも、普段から子どもの様子をよく観察しておくことが大切です。

参考:https://dna-am.co.jp/media/4031/

ダウン症の人の身体的な特徴とは

顔つき

ダウン症の人の身体的特徴は、顔つきに現れます。生まれてすぐは気付かれにくいですが、成長するにつれて次のような特徴が現れます。

・鼻が低い
・つり上がった目
・耳が小さく丸い
・耳の位置が低い
・唇と舌が厚い
・頬が丸い

これらの顔つきの特徴は、顔の中心の成長よりも早く外側が成長することから現れます。こうした特徴は個人差が大きく、必ずしも全てのダウン症の人に見られるわけではありません。

指や手

ダウン症の人の身体的特徴は、指や手にも現れます。主な特徴は、横幅が広く短い形状になっている手や、手のひらに見られるシワの形が挙げられます。一般的な手相に見られる感情線や頭脳線のように、両端から中央に向かって伸びる2本の線があるのではなく、手のひらを横切るように1本の直線が走っていることが特徴的です。また、手の小指の関節が通常より1つ少なく、内側に曲がっていることも多いです。他にも、足の親指と人差し指の間が広く開いている場合がありますよ。

身長や筋力

ダウン症の人の身体的特徴は、身長や筋力にも現れます。一般的に、ダウン症の方は成長が緩やかで、平均的な身長よりやや低い傾向です。また、筋力が弱く筋肉の緊張が低い低緊張症が見られることが多く、姿勢を保つ力やバランス感覚が発達するのに時間がかかる場合もあります。そのため、ハイハイや歩くなどを習得するまでに時間を要することも多いです。また、肥満のリスクも高いとされています。こうしたリスクを避けるためにも、運動機能の発達に向けたリハビリやトレーニングが重要とされており、日常生活に必要な筋力や運動機能を習得するための支援が欠かせません。

ダウン症の子どもとの接し方

じっくりと向き合う

ダウン症の子どもと接するときは、じっくりと向き合う必要があります。ダウン症の子どもは、物事の理解や新しいことの習得に時間がかかるので、焦らずに子どものペースに合わせることが求められます。また、ダウン症の子どもにも反抗期があり、最初の反抗期は2歳頃に訪れると言われています。この反抗期は、自分の考えていることを伝えるための言語能力が発達していないことが原因で起こると考えられていますよ。どんなに反抗されても、ひとつひとつの行動や表情に対して温かく見守りましょう。その中で適切な声かけをしたり、具体的なサポートをしたりすることが大切です。

否定しない

ダウン症の子どもに接するときは、否定しないことが大切です。ダウン症の子どもはこだわりが強く、頑固な面があります。例えば、決まった場所に決まった順番でおもちゃをしまったり、決まった場所でないと服を着替えなかったりなどです。その行動を否定しないことが非常に大切です。ダウン症の子どもは自分のペースでゆっくりと理解して表現するため、時には周囲の大人が予期しない反応を見せることがあります。ですが、そのひとつひとつに対して否定的な態度を取ってしまうと、不安や自信の喪失を招きやすくなりますよ。

好きなことを伸ばせるようにする

ダウン症の子どもに接するときは、その子どもが好きなことを伸ばしてあげられるようにしましょう。ダウン症の子どもにも、それぞれ異なる個性や性格があります。例えば、筋緊張の低下が見られる場合や心臓に持病がある場合は、通常の運動が難しいことがあります。しかし、健康状態に問題がなく知的障害が軽度であれば、日常生活での制限がほとんどないことも多いですよ。音楽や絵、運動など、子どもが夢中になれる活動を積極的に取り入れることは、その子ども自身の個性や可能性が開花するきっかけにもなるでしょう。このように、子どもが好きなことや得意なことを一緒に見つけて、それを存分に伸ばしてあげることが大切です。

まとめ

ダウン症について深く理解して子どもに寄り添った支援をしよう

いかがでしたか?今回はダウン症について詳しく解説していきました。ダウン症とは、21番目の染色体が通常より1本多いことによって生じる遺伝的な症状です。ダウン症は、知的発達や運動機能の発達に遅れが見られるほか、健康面でのリスクも高まる傾向です。また、ダウン症のある子どもたちは、一人ひとりが異なる個性を持っており、成長や発達の速度、得意なことや関心ごとも様々です。ダウン症の子どもへの理解を深めて、適切な支援につなげていきましょう。