保育園の発達障害の疑いがある子どもへの対応は?【受け入れ・指摘・対応・トラブル】

保育の現場で、子どもの落ち着きのなさや、お友達との関わり方に悩むことはありませんか?もしかしたらそれは、わがままや努力不足ではなく、発達障害のサインかもしれません。子どもの発達障害にはASDやADHDなど様々な種類があり、その特性や困りごとは一人ひとり異なりますよ。大切なのは、周りの大人が特性を正しく理解し、その子に合ったサポートや環境を整えてあげることです。今回は、代表的な障害の特徴や、園と家庭でできる具体的な対応方法、就学の選択肢などを分かりやすくご紹介します。

子どもに見られる発達障害の種類は?

ASD(自閉症スペクトラム症)

子どもの発達障害の一つであるASDは、対人関係の苦手さや強いこだわりが特徴です。従来の自閉症やアスペルガー症候群などが統合された診断名です。生まれつきの脳の機能特性が原因であり、親の育て方は関係ありません。ASDのサインとして、目が合いにくい、言葉の遅れ、急な変更でのパニックなどがありますよ。知的障害を伴わない場合は、周囲が違和感を覚えるまで発見が遅れることもあります。早期に特性を理解し環境を整えることで、安心して得意なことを伸ばせます。

ADHD(注意欠如・多動症)

子どものADHDは、不注意、多動性、衝動性の3つの特性を持つ発達障害です。具体的には、忘れ物が多い、じっと座っていられない、順番が待てずに急に割り込む、すぐ感情的になるなどの行動が見られます。これらは幼児特有の落ち着きのなさと区別が難しく、診断が非常に難しい面もありますよ。しかし年齢が上がると、集団行動でのルールを守ることや、学習への集中に難しさを抱えやすくなります。生まれつきの脳の特性が原因であり、親のしつけや愛情不足は一切関係ありません。

DCD(発達性協調運動症)

DCDは、協調運動に困難がある障害です。身体機能に問題はありませんが、体を動かすことや指先を使った作業が著しく苦手な特徴がありますよ。全身の運動にぎこちなさが見られ、よく転ぶ、ボールをうまく扱えないなどの行動が目立ちます。日常生活でも、服のボタン留め、ハサミや箸などの道具を器用に使うことが難しい面もありますよ。生まれつきの脳の特性が原因であり、本人の努力不足や不器用さとは異なります。年齢が上がると、体育の授業や工作の時間に難しさを抱えやすくなります。

LD(学習障害)

LDは、特定の学習が極端に苦手な状態です。知的発達に遅れはありませんが、読む、書く、計算する、といった特定の分野に強い難しさが現れますよ。具体的には、教科書の文字を正しく読めない、文字の形が崩れる、簡単な計算の概念が理解できないなどの行動が見られます。幼児期には気づかれにくく、小学校に入学して本格的な学習が始まってから表面化する場合も少なくありません。本人の努力不足や親の教育不足は関係ありません。

発達障害のある子どもへの対応は?

保育園全体で対応する

発達障害のある子どもへの対応は、一人で抱え込まずに園全体で共有することが大切です。園長や他の保育士と相談し、全員で原因やヒントを考えることで、新しい工夫が見つかりやすくなりますよ。また、注意がそれる物を片付ける、話の前に活動を予告するなど、共通の対応を徹底することも重要です。園内で一貫した関わり方を続けることで、子どもは戸惑うことなく、安心して過ごせるようになります。

専門機関にアドバイスをもらう

保育士は保育のプロですが発達障害の専門家ではないため、専門機関を頼ることも大切です。園内だけで解決しようとせず、必要に応じて、外部にアドバイスをもらうようにしましょう。身近な相談先として、保健センターや児童発達支援センター、自治体の福祉窓口や医療機関などがありますよ。就学に関する悩みであれば、教育委員会に相談するのも一つの方法です。外部の力を借りて専門的な視点を取り入れることで、子どもに寄り添ったより良いサポートに繋がりますよ。

子どもに合った対応をする

発達障害の子どもには、一人ひとりの行動の理由を理解し、個別に合わせた対応が大切ですよ。例えば、偏食のある子は感覚過敏による食感が原因の場合もあり、理由が分かれば調理法を変えて対応できます。特性の現れ方は子どもにより異なるため、園での様子を観察し家庭での様子も保護者から聞くことが重要です。その子に合った支援を行うことで、子どもは安心して過ごせるようになるでしょう。

保護者と情報交換をする

子どもに気になる特徴が見られたら、保護者と積極的に情報交換をすることが極めて重要です。家庭での行動や困りごと、実践している対応方法などを聞くことで、子どもの理解がより深まりますよ。園と家庭の双方で様子を共有し合えば、一人ひとりに適したサポート方法が見えてくる面もあります。お互いに情報を持ち寄り、協力して見守る姿勢が、子どもの安心感に満ちた成長へと繋がります。

子どもに発達障害の疑いがある場合の保護者への伝え方

日頃から保護者との信頼関係を作っておく

子どもに発達障害の疑いがある場合、保護者への伝え方は非常にデリケートな問題となります。障害への受け止め方は人それぞれ異なるため、慎重なアプローチが求められますよ。日頃からあまり話したことがない相手から突然切り出されると、保護者は強い不信感を抱くかもしれません。だからこそ、普段から送り迎えの際などにしっかりとコミュニケーションを取り、信頼関係を築いておくことが重要です。お互いの信頼関係という土台があって初めて、こちらの言葉を安心して受け止めてもらいやすくなりますよ。どのようなタイミングでどのように切り出すべきか、園全体で十分に作戦を考えてから伝えるようにしましょう。

保育園での困りごとを伝える

保護者へ園での困りごとを伝える際は、必ずできていることもセットで伝えるようにしましょう。できていない部分ばかりを指摘されると、保護者は責められているように感じて冷静さを失ってしまいますよ。伝えるときの表現をポジティブに言い換える工夫も、相手の受け止め方を和らげるために、とても有効です。例えば、友達に執拗に関わる行動は友達が大好き、集中が続かない姿は好奇心が旺盛、と表現すると印象が変わります。なお、まだ医療機関で受診をしていない段階であれば、発達障害だと断定するような表現は絶対に避けなければなりません。園での具体的なエピソードを事実として共有し、一緒に見守っていく姿勢を伝えることが大切ですよ。

保護者の気持ちに寄り添う

保護者によって特性の捉え方は異なり、中にはすぐには受け入れられない方も当然います。最終的に受容できるとしても時間がかかるので、決して焦らせてはいけません。一般的に障害の受容には、ショック期から始まり、否認期、混乱期を経て、適応への努力期、そして適応期へと向かう過程があると言われています。保護者がいまどの心の段階にいるのかを保育士側が正しく理解し、その気持ちに寄り添い続けることが何より大切です。時間をかけて一緒に子どもの成長を支えていく、心強い味方である姿勢を示していきましょうね。

保育園以外でも受けられる発達支援

療育

保育園に通いながら、療育と呼ばれる発達支援を受けることが可能です。これは障害のある子の困りごとを減らし、将来の自立に向けて個別の支援を行うプログラムのこと。マンツーマンの個別療育と、複数人で行う集団療育があり、子どもの特性に合わせて選択できます。具体的には、手先の動作練習、言葉遊び、気持ちのコントロール、集団でのコミュニケーションなどを学びますよ。なお、この児童発達支援は就学前の子どもが対象であり、民間の事業所や地域のセンターなどで受けられます。

加配制度

保育園に関わる大切な発達支援として、保育士の加配制度が挙げられます。加配とは、園が障害のある子どもを受け入れる際、通常の人員配置にプラスして専任の保育士を配置することですよ。加配保育士は主に対象となる子どもの対応を担当し、日常生活のサポートや周囲との交流を手助けしてくれます。この制度を利用するためには保護者からの申請が必要ですが、入園後に必要性を感じてから申請することも可能です。園全体で手厚い見守り体制が整うことで、子どもは集団生活の中でも安心して過ごせるようになりますよ。

ペアレントトレーニング

家族を対象とした大切な発達支援として、ペアレントトレーニングが挙げられます。これは保護者が子どもの行動を理解し、適切なほめ方や指示の出し方を学ぶプログラムですよ。大人の関わり方が整うことで、子どもの困った行動が減り、望ましい行動が増えていきます。親自身の育児スキルの向上だけでなく、日頃のストレスや不安を和らげる効果も期待できますよ。地域の児童発達支援センターや専門の事業所など、身近な場所で広く実施されています。

発達障害の子どもの就学の選択肢は?

通級

発達障害のある子どもの就学先の選択肢として、通級指導教室があります。これは通常学級に在籍しながら、一部の授業時間だけ障害の特性に合わせた別クラスで指導を受ける仕組みですよ。ADHDやASD、SLDなどの特性による困りごとを軽減し、学校生活を送りやすくするための学びを行います。通級指導教室には、自分が通う学校に設置された教室で学ぶ自校通級と、他の学校に移動して受ける他校通級の2つの種類があります。子どもの得意や苦手に合わせ、無理のないペースで専門的なサポートを受けられますよ。

特別支援学級

特別支援学級は、通常の小中学校の中に設置されている少人数の学級で、知的障害や発達障害のある子どもなどが対象になります。少人数制のため、一人ひとりの特性や学習のペースに合わせた、きめ細かな指導やサポートが受けられるのが大きな特徴。また、音楽や体育、行事などの時間には通常学級の子どもたちと一緒に活動し、交流を深める機会も多く設けられていますよ。子どもの自立を促しながら、無理なく学校生活を楽しめる環境が整っています。

特別支援学校

特別支援学校は、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由などのある子どもたちを専門的に受け入れている学校です。一人ひとりの障害の状態に合わせた、非常に手厚く専門的な教育や生活のサポートを受けられるのが大きな特徴。少人数のクラス編成となっており、教科の学習だけでなく、将来の自立や社会参加に向けた自立活動にも力を入れてくれます。専門の設備や教材が充実した環境のなかで、子ども自身の力を安心してじっくり伸ばしていけますよ。

まとめ

一人ひとりにあった対応をしよう!

子どもの発達障害やその対応については、子ども一人ひとりに合ったサポートを行うことが何より大切。ASDやADHDなど、特性の現れ方や生活での困りごとは子どもによって全く異なります。園内での見守りだけでなく、専門機関を頼ったり、保護者と密に情報交換をしたりして多角的に支えていきましょう。周りの大人が正しく理解し環境を整えることで、子どもは安心して得意なことを伸ばしていけるでしょう。