近年どんどん進化していっているデジタル技術。そんなデジタル技術を使ってスポーツを行うデジタルスポーツに注目が集まっています。特に話題となっているのが、療育でデジタルスポーツを行う取り組みです。「普通のスポーツ療育と何が違うの?」「デジタルスポーツ療育にはどんな効果があるの?」そんな疑問に答えるために、この記事ではデジタルスポーツ療育について説明していきます。デジタルスポーツ療育に興味がある人や、療育事業に携わっている人はぜひ参考にしてみてください。
デジタルスポーツとは
先端技術を活用したスポーツのこと
まずは、デジタルスポーツとは何かについて説明していきます。デジタルスポーツとは、先端技術を活用したスポーツのことです。一般的なスポーツは、ボールやラケットなどの道具を使って体を動かすものですよね。中には道具を使わず身一つでできるものも多いでしょう。一方で、デジタルスポーツはデジタル技術を用いて運動を行います。プロジェクションマッピングやVR空間などの先端技術をスポーツに取り入れるのがデジタルスポーツの特徴です。
eスポーツとは異なる
ここまでの説明を聞いて、「デジタルスポーツってeスポーツのこと?」と思った人もいるのではないでしょうか。eスポーツは、電子機器で行うコンピューターゲームをスポーツ競技として捉えるものです。電子機器を操作してゲームを行うことが基本なので、自分の体全体を動かすことはほとんどありません。一方で、デジタルスポーツは自分で体を動かして運動を行うものです。ボールやラケットの代わりにデジタル技術を道具として使って運動をするものなので、eスポーツとは異なる点に注意しておきましょう。
デジタルスポーツ療育とは?
デジタルスポーツを利用した運動療育のこと
ここからは、デジタルスポーツ療育についての紹介をしてきます。デジタルスポーツ療育とは、デジタルスポーツを利用した運動療育のことを指します。運動療育は、数ある療育の種類の中でも多く取り組まれている方法ですよね。体を動かしたり、チームで目標に向かったりする経験が脳に良い刺激を与えるとされています。そんな運動療育を、デジタルスポーツで行う取り組みが注目されています。先端技術を導入したデジタルスポーツ療育によって、運動療育の可能性を広げることが期待できますね。
デジタルスポーツ療育が注目されている理由
子供が楽しみながら取り組める
デジタルスポーツが注目されている理由としては、子供が楽しみがながら取り組めるということが挙げられるでしょう。プロジェクションマッピングやVR空間を使った運動は、普段から気軽に取り組めるものではありません。先端技術×スポーツの組み合わせを初めて経験する子供も少なくないでしょう。次々と映し出される画面や、新しい世界へ没入できる仮想空間は、子供たちにとって楽しめる要素が盛りだくさんです。一般的な運動療育のメニューに飽きてしまった子供にもぴったりの療育だと言えるでしょう。
様々な運動に応用が可能
様々な運動に応用が可能であるというのも、デジタルスポーツ療育が注目されている理由の1つです。デジタルスポーツは、利用する先端技術や、その使い方によって様々な運動メニューを作ることができます。療育においては、1つの決まった動きだけではなく、様々な動きを取り入れる方が好ましいとされています。限られた運動メニューだけでなく、様々な運動に取り組むことが理想ですよね。デジタルスポーツであれば、新しい道具や場所を用意することなく、気軽に違うスポーツに取り組むことができます。1つの機材で様々な運動に応用することができるのが魅力です。
楽しみ方の幅が広い
デジタルスポーツは、楽しみ方の幅が広いのも魅力の1つです。新しい一般的な運動療育では、ボールやラケットなどの道具によって、ある程度遊び方が決まってしまいますよね。子供たちが飽きてしまったり、新しい遊び方を考えるのが難しかったりする場合もあるのではないでしょうか。一方で、デジタルスポーツは、表示させる画面を変えたり、技術を使った新しい遊びを考えたりすることで、楽しみ方の幅を簡単に広げることができます。子供が飽きずに楽しめるのは、デジタルスポーツ療育の良い点だと言えるでしょう。
デジタルスポーツ療育の効果
社会性を身に付けることができる
ここからは、デジタルスポーツ療育の効果について紹介していきます。初めに挙げられるのが、社会性を身に付けることができるということです。デジタルスポーツは1人で楽しむこともできますが、療育で取り組む場合は何人かのチームで行うことも多いでしょう。チームでスポーツに取り組むためには、ルールを理解して仲間と協力する必要があります。社会に出るためには、一定の社会のルールに従って周りとコミュニケーションを取る必要がありますよね。デジタルスポーツを行うことで社会で必要とされるスキルを身に付けることができますよ。
自己肯定感を上げることができる
デジタルスポーツを行うことで、自己肯定感を上げることができます。自己肯定感を上げるためには、できなかったことができたという成功体験が必要ですよね。デジタルスポーツでは、運動を通してちょっとした成功体験を重ねることができます。療育に通う子供たちの中には、周りができるのにできないことが多く、普段から自己肯定感が低い子供も少なくありません。デジタルスポーツでは、簡単な動きからスポーツを始めるため、運動が苦手な子でも少しずつ体を思うように動かすことができるようになります。デジタルスポーツでの「できた!」という経験が、自信につながっていくことが期待できますよ。
ストレスを軽減させることができる
デジタルスポーツ療育は、子供たちのストレスを軽減させることにもつながります。適度な運動は、脳に良い刺激を与えて、心身に良い影響を与えるとされています。特に、デジタルスポーツでも取り組むことが多い有酸素運動は、ストレスを軽減させる神経伝達物質の分泌を促してくれますよ。療育に通う子供たちは、こだわりの強さや注意力不足から、ストレスを感じやすいという特徴もあります。デジタルスポーツを療育として行うことで、情緒を安定させることができるでしょう。
体力をつけることができる
体力をつけたい場合にも、デジタルスポーツ療育は効果的です。デジタルスポーツで行われることが多いのは、デジタル技術を利用しながら体全体を動かす運動です。そのため、体力をつけるために必要な有酸素運動を効果的に行うことができますよ。療育に通う子供の中には、運動が苦手な特性があったり、生まれつき体が丈夫でなかったりと、なかなか体力がつきにくい子もいます。デジタルスポーツを療育に取り入れることで、楽しみながら体力作りができると良いですね。
視覚の使い方を学ぶことができる
デジタルスポーツ療育の効果としては、視覚の使い方を学ぶことができるということも挙げられます。発達障害の中でも認知障害の特性を持つ子供は、視界に入る多くの情報を一度に処理することが苦手なことがあります。図形やジェスチャーを適切に読み取れなかったり、相手の動きを読む必要がある運動が苦手だったりすることもあるでしょう。デジタルスポーツでは、画面いっぱいに映し出された様々な色や形を識別しながらスポーツを行います。そのため、どこを意識して見るべきか、視覚の使い方を学ぶ良い機会になりますよ。
デジタルスポーツ療育の例
デジタルタッチ
ここからは、デジタルスポーツ療育では具体的にどのようなことを行っているのか、具体例を紹介していきます。初めに紹介するのは、デジタルタッチです。デジタルタッチは、プロジェクションマッピングを活用したデジタルスポーツ療育の例です。壁に映し出される図形を、次々とタッチしていく遊びです。部屋の広さが限られていても、壁にプロジェクションマッピングを映すことができればできるデジタルスポーツ療育ですよ。映す図形の種類を増やしたり、光った図形だけをタッチするというルールを作ったり、遊び方の幅も広いのが魅力です。
デジタルけんけん
2つ目に紹介するのは、デジタルけんけんです。これは、床にプロジェクションマッピングを映して行うデジタルスポーツ療育です。一般的にけんけんの遊びをするときは、外にチョークで輪を描いたり、目印となる道具を使ったりして遊びますよね。デジタルけんけんは、プロジェクションマッピングで輪を作るので準備も簡単です。輪の大きさを子供に合わせて変えることで、取り組みやすくすることもできますよ。
デジタルボール当て
デジタルボール当ても、デジタルスポーツ療育で行われている取り組みの1つです。デジタルボール当ては、壁に映したプロジェクションマッピングに向かって、ボールを投げる遊びです。本格的な的の絵を映したり、世界観作りをしたりすることで、子供たちも楽しんで取り組むことができますよね。道具を使って取り組む運動なので、体の動かし方や視覚の使い方を効果的に学ぶことができますよ。
デジタルスポーツ療育はどこで行っている?
デジタルスポーツ療育を行っている施設は少ない
ここまでの説明を聞いて、「デジタルスポーツ療育を受けさせたいけど、どうすれば良いの?」と思った人もいるのではないでしょうか。実は、デジタルスポーツ療育を行っている療育施設は少ないのが現状です。デジタルスポーツ自体が、注目され始めて間もないこともあり、療育として取り入れるまでに至ってないということです。デジタルスポーツは、一度導入してしまえば様々な運動に汎用できるのが魅力である一方、機材の導入やデジタル人材の確保など、導入までの壁もあります。今後デジタルスポーツへの注目がもっと高まり、療育として取り入れる施設も増えると良いですね。
デジタルスポーツを行っている施設
Liiスポーツスタジオ
ここからは、デジタルスポーツを行っている施設を紹介していきます。現状、デジタルスポーツを行っている施設はあまり多くはありません。そのためここでの紹介をぜひ参考にしてみてください。初めに紹介するのは、国内でも珍しくデジタルスポーツを療育に取り入れているLiiスポーツスタジオです。ここでは運動療育を中心に療育を行っている施設で、中でもデジタルスポーツに特化しています。未就学児を対象としているため、子供が小さい頃から通うことができます。全国に店舗があるため、自宅付近の施設に通うことができますよ。
埼玉県スポーツ60&スマート
2つ目に紹介するのは、埼玉県スポーツ60&スマートです。この施設は療育に特化した施設ではありませんが、デジタルを活用した様々なデジタルスポーツを楽しむことができます。アーチェリーやスキー、野球など、普段では取り組むことが難しいスポーツにも、気軽に取り組むことができますよ。大人でも楽しめる内容が盛りだくさんの施設なので、親子で一緒に行ってデジタルスポーツを楽しむことができるでしょう。
まとめ
デジタルスポーツ療育は運動療育の新たな方法として注目されている
ここまで、デジタルスポーツ療育について、その効果や具体例などを紹介してきました。デジタルスポーツ療育は、先端技術を用いたスポーツで、近年話題になっています。療育として取り入れている施設は少ないものの、デジタルスポーツ療育ができる施設には注目が集まっています。一般的な運動療育としての効果を得ることができるのはもちろん、汎用性が高い点や、子供が飽きずに楽しめる点が人気の理由です。デジタルスポーツの導入が広がり、今後はさらに多くの施設でデジタルスポーツ療育が受けれるようになると良いですね。