低緊張とは?症状や相談先を解説【赤ちゃん・子ども・原因・見分け方・治療】

皆さんは、低緊張という言葉をご存知ですか?初めて聞くという方も多いかもしれません。低緊張は、身体の緊張が通常より弱い状態のことを指し、子どもの発達において様々な影響を及ぼします。この記事では、低緊張の症状や原因、治療法などを詳しく解説していきます。「低緊張という言葉を初めて聞く」「低緊張ってどんな症状なのかな?」など、疑問や悩みをお持ちの方は、是非参考にしてみてくださいね。

低緊張とは?

筋肉の緊張が通常よりも弱い状態のこと

低緊張とは、筋肉の緊張が通常よりも弱い状態のことです。例えば、適度な緊張状態は次の動作にスムーズに移るために必要ですが、スポーツの試合前や進学の面接時などに肩や腕に過剰な力が入ることがあります。これは過緊張の状態です。一方で、筋肉が弛緩しやすく、簡単な運動や椅子に座る姿勢の維持などが難しい状態を低緊張と言います。こうした低緊張の子どもは、歩行や運動の発達に遅れが見られる場合があります。また、姿勢が不安定になりやすく、ちょっとした動作でも疲れやすいといった特徴が見られることもありますよ。

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低緊張の症状は?

運動能力の遅れ

低緊張の1つ目の症状は、運動能力の遅れです。これにより筋力が十分に発揮できず、子どもは様々な動作が苦手になることがあります。例えば、乳児期に首のすわりや寝返り、はいはいや歩行などの発達が同年代の子どもより遅れる場合があります。また、体幹の安定性が低いため、姿勢を保つことが難しく、転びやすいことも特徴ですよ。このような運動能力の遅れは、日常生活や遊びにおいても影響を及ぼすため、早期に適切な対処を行うことが大切です。

姿勢の問題

低緊張の2つ目の症状として、姿勢に関する問題が挙げられます。低緊張の子どもは筋肉の緊張度が不足しているため体幹の安定を維持しにくく、正しい姿勢を保つことが難しい傾向です。例えば、椅子に座っている際に体が傾いたり猫背になったり、机に伏せるような姿勢になったりします。また、立ったときに腰が引けていたり、足の筋力が不十分で歩きだすときにふらついたりすることも少なくありません。これらの姿勢の問題は、長時間の集中が困難になりやすく、学習や遊びの妨げになる場合があります。

疲れやすい

低緊張の3つ目の症状として、疲れやすいという点が挙げられます。低緊張の子どもは、筋肉の緊張度が低いため、日常的な動作でも通常より多くのエネルギーを使います。例えば、歩く、走る、物を持つといった基本的な動作でも、体を支えるための力が必要になるため、短時間で疲労を感じやすくなるのです。その結果、遊びや運動を途中でやめてしまうことがあり、体力や持久力の向上が遅れる傾向も見られますよ。このような疲れやすさを軽減するためには、日常習慣に適切なペースで運動を取り入れたり、こまめに休憩を挟む工夫が重要です。

筋肉の弛緩

低緊張の4つ目の症状は、筋肉の弛緩です。筋肉の弛緩とは、身体の筋肉が必要な緊張を保てず、全身が柔らかく力が入っていない状態を指します。筋肉の弛緩がある子どもを抱っこをすると身体がぐにゃぐにゃとして安定せず、体勢を整えるのが難しい場合がありますよ。また、筋肉が緩いために動作が遅れたり、関節が過剰に動くことで怪我をしやすいことも、筋肉の弛緩がある子どもの特徴と言えるでしょう。さらに、筋肉が十分に使われないことで体力が低下し、日常生活の動作や運動にも影響を及ぼす可能性もあります。

低緊張の原因とは?

遺伝的要因

低緊張の1つ目の原因は、遺伝的要因です。低緊張は、特定の遺伝子異常や遺伝的疾患が関与しているケースがあると言われています。例えば、ダウン症やプラダー・ウィリー症候群などの先天性疾患の一部では、低緊張が主要な症状の一つとして現れることが知られています。また、遺伝的要因が原因の場合は、低緊張だけでなく他の身体的、または発達的な特徴を併発することもありますよ。そのため、低緊張の原因を特定するためには、専門的な診断や遺伝子検査が重要となります。

中枢神経系の障害

低緊張の2つ目の原因は、中枢神経系の障害です。中枢神経系は、脳や脊髄を含む身体の司令塔としての役割を果たしており、この神経機能に障害があると筋肉の緊張を適切にコントロールできなくなると考えられています。例えば、神経系に関わる脳性麻痺やASDなどの病気では、低緊張が主要な症状として現れる場合がありますよ。このような障害が原因の場合、筋肉そのものに問題がなくても、神経から筋肉への信号が正しく伝わらないために筋力が低下したり、動作が不安定になったりします。

発達障がい

自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動性障がい(ADHD)などの発達障がいを持つ子どもたちの中には、筋肉の緊張が低い傾向が見られることがあります。これには、感覚処理が困難であることや神経系の発達の遅れが関係していると考えられています。例えば、身体の感覚情報を適切に処理できないことで、姿勢を保つ筋肉を効率的に使えず、低緊張の症状が現れることがありますよ。また、発達障がいを持つ子どもたちの中には、ボタンを閉める細かい指先の動作は得意だけど、全身を使ったジャンプなどの大きな動作が苦手な子どももいます。このように身体の動かし方や筋肉の使い方にばらつきが出やすいのも、発達障がいの特徴です。この特徴をきっかけに、低緊張を引き起こす可能性があるとも言われています。

低緊張の治療法は?

理学療法を受ける

低緊張の1つ目の治療法は、理学療法を受けることです。理学療法とは、運動機能に改善の余地がある人に施術を施し、運動機能を向上させる治療のことです。主に、日常生活を送るうえで欠かせない基本的な動きをスムーズに行えるようにリハビリを行います。例えば、乳児には寝返りやハイハイなどの動作をできるようになるための訓練を行いますよ。これらのリハビリを行うことで、全身の筋肉をスムーズに動かせるように促し、運動能力や血流の改善を目指します。

作業療法を受ける

低緊張の2つ目の治療法は、作業療法を受けることです。作業療法とは、作業活動を用いて得た情報を脳が受け取った際に、作業療法士がサポートしながら脳内を適切に整理整頓できるように訓練することです。例えば、身体の感覚情報を適切に処理できないために姿勢を保つ筋肉を効率的に使えず、低緊張の症状が現れることがあります。そうした症状のある子どもたちの中には、遊具を使って遊ぶことが苦手な子どももいます。その際、作業療法士がサポートしながら一緒に遊具で遊ぶことで、感覚のバランスをつかめるようにするのです。また、子どもたちの症状に合わせて音楽や絵画を用いる場合もありますよ。

適度な運動をする

低緊張の3つ目の治療法は、適度な運動をすることです。低緊張の子どもは筋力が弱く運動能力の発達が遅れがちなため、運動を通じて筋肉を鍛えて身体の安定性を向上させることが重要ですよ。特に、体幹を強化する運動やバランス感覚を養う活動が効果的とされています。例えば、バランスボールやトランポリンを使った遊び、簡単なストレッチやヨガなどが適度な運動に含まれます。これらの運動を楽しみながら行うことで、筋力だけでなく、持久力や協調性も向上しますよ。

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教育的な支援を受ける

低緊張の4つ目の治療法は、教育的な支援を受けることです。毎日通う学校で適切な教育を受けることで習慣化できるため、運動能力の向上に役立ちますよ。低緊張の子どもは、身体の使い方が不器用だったり動作が遅れることが多いので、日常生活や遊びを通じて運動機能を促す取り組みが重要です。例えば、学校では体幹を鍛える簡単な運動や、バランスを取る遊びをカリキュラムに取り入れることで、楽しみながら筋力や協調性を向上させることができます。

家庭でできる支援を行う

低緊張の5つ目の治療法は、家庭でできる支援を行うことです。学校などだけではなく、家庭でも適度な運動を取り入れることで、運動能力の発達を支えることができますよ。家庭では、子どもが無理なく運動に取り組めるような環境を整え、前向きな言葉で励ましながら動作の練習を促すことが効果的です。また、適切な目標を設定して達成する喜びを共有することで、自己肯定感を高め、運動への意欲を引き出すことができます。このような家庭での支援は、低緊張の影響を少しずつ緩和して、日常生活をより豊かにすることが期待できます。

子どもの低緊張が心配な場合の相談先は?

小児科

子どもの低緊張が心配な場合の1つ目の相談先は、小児科です。医学的な診察や診断を受けたい場合は、小児科に行くとよいですよ。小児科医は、成長や発達に関する専門的な知識を持っており、低緊張の症状やその原因についての初期評価を行います。さらに、小児科医は家庭でできる簡単な運動や生活習慣のアドバイスを提供してくれることもあります。また、子どもの筋力や運動能力、姿勢などを観察して、必要に応じてさらなる検査や専門機関への紹介もしてくれます。

児童相談所

子どもの低緊張が心配な場合の2つ目の相談先は、児童相談所です。児童相談所は0歳〜17歳までの子どもの健康や発達、育児に関する幅広い相談を受け付けており、低緊張についても適切な支援を提供してくれる施設です。必要に応じて発達検査を行うこともあり、医師や心理士、保健師などから無料でアドバイスや支援を受けることもできますよ。児童相談所は基本的に予約制なので、あらかじめ居住地を管轄している市区町村のWebサイトなどを確認しておきましょう。

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児童発達支援施設

子どもの低緊張が心配な場合の3つ目の相談先は、児童発達支援施設です。児童発達支援施設は、小学校就学前の6歳児までを対象に発達の遅れや特性を持つ子どもたちの療育や支援を提供する専門機関であり、低緊張に対する支援も行っています。主に、日常生活の自立支援や機能訓練を行ったり、学びや遊びの場を提供したりといった支援を目的にしています。この施設は利用料金が必要ですが、発達支援に詳しい専門の職員が子どもの身体機能や運動能力を評価し、個々の特性に合わせたプログラムを作成してくれますよ。

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地域子育て支援センター

子どもの低緊張が心配な場合の4つ目の相談先は、地域子育て支援センターです。地域子育て支援センターは、行政や自治体が主体となって行っている事業です。子育て中の親子が気軽に利用できる施設で、育児に関する幅広い相談を受け付けています。低緊張についても、経験豊富な職員が保護者の悩みに耳を傾け、適切なアドバイスを提供してくれます。また、地域子育て支援センターでは専門機関や療育施設への橋渡し役を担うことも多いので、子どもに適した支援へスムーズにつなげてくれるでしょう。

まとめ

症状が気になる場合は専門機関へ相談しよう

いかがでしたか。今回は、子どもの低緊張について詳しく解説していきました。低緊張は、筋肉の緊張が低下することで運動能力や姿勢に影響を与える状態のことです。その原因には、遺伝的要因や中枢神経系の障害、発達障がいなどが含まれます。治療法としては理学療法や作業療法、適度な運動、教育的支援が有効です。また、子どもが低緊張かも?と悩んでいる方は、小児科や児童相談所、児童発達支援施設や地域子育て支援センターといった相談先を活用することで、適切な支援を受けることができますよ。