児童発達支援の人員配置基準を簡単に説明!【厚生労働省・新基準・令和3年度・児童発達支援センター】

児童発達支援を開設し運営するためには、人員配置基準に沿った人員配置を行う必要があります。そして児童発達支援の人員配置基準は、児童福祉法に基づいて厚生労働省が策定したものです。今回は厚生労働省の公式資料をもとに、児童発達支援の人員配置基準をわかりやすく解説していきますよ。児童発達支援施設を開業しようとしている方や、既に運営に携わっている方は要チェックの内容になっていますので、ぜひこの機会に確認しておきましょう。

児童発達支援の人員配置新基準はどこで確認できる?

厚生労働省のホームページ

初めにも紹介したように、児童発達支援の人員配置基準は厚生労働省が策定しています。人員配置基準を確認する際は、厚生労働省のホームページから新基準を確認するようにしましょう。一方で厚生労働省の公式文書は非常に長く、難しい文言も多くあります。今回の記事では大事な部分を抜き出して簡潔に説明していますので、ぜひ厚生労働省のHPと合わせて参照してくださいね。

厚生労働省:児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準

児童発達支援共通の人員配置基準

管理者1人以上

児童発達支援は児童発達支援センターと児童発達支援事業所の2種類に分けられます。この2種類の施設では人員配置基準が異なりますが、共通している基準もありますので初めにこちらから紹介していきますよ。

児童発達支援共通の人員配置基準

管理者 1人以上

児童発達支援センターと児童発達支援事業所に共通する人員配置基準の1つ目は、管理者1人以上の配置です。管理者は施設の経営者を代理して、事業所全体を運営・管理する責任者にあたります。

児童発達支援管理責任者1人以上

児童発達支援共通の人員配置基準

児童発達支援管理責任者 1人以上

児童発達支援センターと児童発達支援事業所に共通する人員配置基準の2つ目は、児童発達支援管理者の1人以上の配置です。児童発達支援管理者は管理者と同じく施設の責任者にあたります。一方管理者が主に施設運営の責任者であるのに対し、児童発達支援管理者は主にサービス管理の責任者にあたります。個別支援計画の作成と、利用児童・保護者への相談援助業務は児童発達支援管理責任者が行う決まりになっていますよ。

児童発達支援事業所の人員配置基準

児童指導員または保育士合わせて2人以上

ここからは児童発達支援事業所の人員配置基準について紹介していきますよ。児童発達支援事業所では、児童指導員または保育士を合わせて2人以上配置する必要があります。また障害児の数が10以上の場合、5の倍数を超えるごとに児童指導員または保育士をプラスで1人配置する必要があります。

児童発達支援事業所の人員配置基準

児童発達支援管理責任者 1人以上

児童指導員または保育士の人員配置基準の例

障害児の数児童指導員または保育士の数
10人まで2人以上
11人~15人3人以上
16~20人4人以上

嘱託医1人以上(一部)

児童発達支援事業所の人員配置基準
(重症心身障害児を預かる場合)

嘱託医 1人以上

ここからは児童発達支援事業所で重症心身障害児を預かる場合に必要な人員配置について紹介していきますよ。児童発達支援事業所において重症心身障害児を預かる場合、嘱託医の1人以上の配置が必須となります。また配置する嘱託医は、知的障害や精神科または小児科での診療に相当する経験を持つなど、障害区分に基づいた専門医である必要がありますよ。

看護職員1人以上(一部)

児童発達支援事業所の人員配置基準
(重症心身障害児を預かる場合)

看護職員 1人以上

児童発達支援事業所において重症新障害児を預かる場合、看護職員の1人以上の配置が必要です。一方で配置する看護職員の数は、上記で挙げた児童指導員または保育士の人員配置の合計数に含めることができます(※1)。

※1 看護師が指定児童発達支援の単位ごとにその提供を行う時間帯を通じて専ら当該指定児童発達支援の提供に当たる場合。

機能訓練担当職員1人以上(一部)

児童発達支援事業所の人員配置基準
(重症心身障害児を預かる場合)

機能訓練担当職員 1人以上

児童発達支援事業所において重症心身障害児を預かる場合、機能訓練担当職員を1人以上配置する必要があります(※2)。機能訓練担当職員は主にリハビリテーションの指導を行う、専門資格を持った職員です。機能訓練担当職員として認められるための資格として、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が挙げられますよ。また看護師と同様、機能訓練担当職員も児童指導員または保育士の人員配置の合計数に含めることができます(※3)。

※2 機能訓練(リハビリテーション)を行う時間帯のみ
※3 機能訓練担当職員が指定児童発達支援の単位ごとにその提供を行う時間帯を通じて専ら当該指定児童発達支援の提供に当たる場合。

児童発達支援センターの人員配置基準

児童指導員及び保育士それぞれ1人以上

児童発達支援センターの人員配置基準

児童指導員及び保育士 それぞれ1人以上

続いて児童発達支援センターの人員配置基準について紹介していきます。児童発達支援センターを運営するためには、児童指導員と保育士をそれぞれ1人以上配置する必要があります。児童発達支援事業所の配置基準が保育士または児童指導員を合わせて2人以上であるのに対し、児童発達支援センターではそれぞれ1人以上と規定されている点に注意しましょう。

嘱託医1人以上

児童発達支援センターの人員配置基準

嘱託医 1人以上

児童発達支援センターには1人以上の嘱託医を配置する必要があります。児童発達支援事業所においては重症心身障害児を預かる場合のみ嘱託医の配置が必要ですが、児童発達支援センターにおいては無条件で配置が必要になりますよ。また児童発達支援センターに配置する嘱託医も、知的障害や精神科または小児科での診療に相当する経験を持つなど、障害区分に基づいた専門医である必要があります。

栄養士1人以上

児童発達支援センターの人員配置基準

栄養士 1人以上

児童発達支援センターには栄養士1人以上を配置する必要があります。一方で施設に通わせる障害児の数が40人以下である場合、栄養士の設置は必須ではありません。加えて人員配置基準で定められている人員については基本的にその施設に専従である必要がありますが、栄養士に関しては併せて設置する他の社会福祉施設の職務と兼務させることができます(※3)。
※3 障害児の支援に支障がない場合

調理員1人以上

児童発達支援センターの人員配置基準

調理員 1人以上

児童発達支援センターには調理員を1人以上配置する必要があります。一方で栄養士と同じく、施設に通わせる障害児の数が40人以下である場合、調理員の設置は必須ではありません。またこちらも栄養士と同様、調理師は併せて設置する他の社会福祉施設の職務と兼務させることができます(※4)。
※4 障害児の支援に支障がない場合

言語視聴覚士1人以上(一部)

児童発達支援センターの人員配置基準
(主に難聴児を通わせる場合)

言語視聴覚士 単位ごとに4人以上

ここからは児童発達支援センターにおいて、主として難聴児を預かる場合に必要な人員配置について紹介していきますよ。児童発達支援事業所において難聴児を預かる場合、言語視聴覚士を単位ごとに4人以上配置する必要があります。言語視聴覚士は国家資格であり、聴覚障害者への支援を専門領域の一つとしています。

単位とは…運営を行う際クラスの単位

看護職員1人以上(一部)

児童発達支援センターの人員配置基準
(主に難聴児を通わせる場合や
重症心身障害児を預かる場合)

看護職員1人以上

児童発達支援センターで主として難聴児を預かる場合、看護師を1人以上配置しなければなりません。また、重症心身障害児を預かる場合にも看護職員1人以上の配置が必要です。ただし、ここで挙げた看護職員の数は、上記で挙げた児童指導員及び保育士の総数に含めることができますよ。

機能訓練担当職員1人以上(一部)

児童発達支援センターの人員配置基準
(主に難聴児を通わせる場合や
重症心身障害児を預かる場合)

機能訓練担当職員1人以上

児童発達支援センターで主として難聴児を預かる場合、機能訓練担当職員を1人以上配置しなければなりません。また、児童発達支援センターにおいて重症心身障害児を預かる場合にも、同様に機能訓練担当職員1人以上を配置する必要があります。機能訓練担当職員の数も、児童指導員及び保育士の総数に含めることができます。

人員配置基準を満たすためのポイント

例外措置を細かく確認する

施設の種類や通わせる障害児の数、また扱う障害の種類によって、人員配置基準に多くの例外措置が設けられています。例外措置によって必要な人員が増減しますので、注意しましょう。また人員配置基準を超過した人員配置は問題ありませんが、人員が不足している場合は運営を行うことができません。例外措置を細かく確認して運営に必要な最低限の人員配置を正しく把握しましょう。

令和3年4月の基準改定を確認する

令和3年度までは児童指導員、保育士又は障害福祉サービス経験者を合わせて〇人というように規定されていましたが、令和3年の基準改定によって障害福祉サービス経験者を基準人員に含めることができなくなりました。また令和3年3月までに障害福祉サービス経験者を配置した事業所に対する、2年間の経過措置も終了しています。令和3年度以降、障害福祉サービス経験者は特別な資格を持たないその他従業者として扱われますので注意しましょう。

採用活動を早めに始める

児童発達支援の人員配置基準には医師や看護師、児童発達支援管理責任者といった多くの専門職の配置が定められています。これらの専門職の採用は難しく、特定の職種の募集が間に合わないといったことも少なくありません。中でも、児童発達支援管理責任者の採用は非常に難しいといわれています。人員配置基準を満たさずに運営をスタートすることはできませんので、早めに採用活動を始めて運営に備えましょう!

人員配置基準を違反するとどうなる?

指定の取り消しや減点が行われる

児童発達支援施設が運営を始める際には、人員配置基準を満たして指定を受ける必要があります。運営開始後、人員配置基準を満たさずに運営を行っていた場合、施設の指定の取り消しが行われることもありますので気を付けましょう。また配置基準以上の配置を行うと、加点を受けることができますが、申告と異なっていた場合は減点や指定の取り消しが行われます。人員配置や加点の申請は慎重に行うようにしましょう。

加点とは:特定の条件や要件を満たした施設や事業所に対して、追加の支援や優遇措置を与えること

まとめ

基準に沿った職員配置で健全な施設運営を行おう!

今回の記事では、児童発達支援の人員配置基準について解説しました。児童発達支援センターと児童発達支援事業所にそれぞれ配置基準が定められており、どちらの規定も非常に複雑になっています。しかしながら、人員配置基準の遵守は施設運営の必須事項です。定期的に確認を行って、健全な施設運営に繋げましょう!