療育と発達支援の違いとは?【施設・種類・内容・方法・職種】

障がいのある子どもが生活や学習で自立できるよう支援することを療育と言います。療育を行う施設にはさまざまな種類があります。また、療育とよく混同される発達支援との違いをご存じでしょうか?今回の記事では、療育と発達支援の違いを、対象の幅や法律的な観点から解説しています。さらに、療育の概念、実施施設の種類や方法についても詳しく紹介します。療育に関わる職種も多数取り上げているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

療育と発達支援の違いとは?

対象の幅が異なる

療育と発達支援の違いは、対象の幅にあります。療育は、主に発達に遅れや障がいのある子どもを対象に、生活や学習の自立を促す支援を行います。一方、発達支援は障がいの有無に関わらず、発達に課題を抱える子ども全般を対象とし、成長を促す支援を指します。療育は専門的な訓練や療法が含まれることが多いのに対し、発達支援はより広い視点から子どもの発達をサポートします。そのため、発達支援のほうが対象の幅が広いと言えます。

法的規定の有無

療育は、発達に遅れや障がいのある子どもを対象に、医療・福祉・教育の観点から発達を促す支援のことです。一方で発達支援は、障がいの有無に関わらず、発達に課題のある子どもを対象に広く行われる支援のことを指します。法的には、療育は児童福祉法や障害者総合支援法に基づき、自治体や事業所が提供します。しかし、発達支援は必ずしも法的枠組みに基づかず、教育機関や民間団体が独自に行う場合も多いですよ。

療育を行う施設

児童発達支援センター

児童発達支援センターは、障がいのある子どもや発達に特性のある子どもが適切な支援を受けながら成長できる施設です。専門のスタッフが、個々の発達状況に応じた療育や訓練を提供し、子どもの社会性や生活能力の向上をサポートします。また、保護者への相談支援や地域の関係機関との連携も行い、子どもが安心して成長できる環境を整えます。自治体が運営する場合が多く、利用には市町村の相談窓口を通じた手続きが必要です。

児童発達支援事業所

児童発達支援事業所は、発達に遅れや特性のある未就学児を対象に、個々の成長を支援する施設です。専門のスタッフが子ども1人ひとりの発達段階に応じた療育を行い、社会性やコミュニケーション能力の向上を目指します。言語や運動、認知機能の発達を促すプログラムを提供し、家庭や保育園・幼稚園と連携しながら子どもの自立をサポートしますよ。また、保護者支援も重視しており、子育ての悩み相談や助言を行うことで、家庭全体の安心につなげる役割を担っています。

放課後等デイサービス

放課後等デイサービスは、障がいや発達に特性のある子どもたちが放課後や長期休暇中に利用できる福祉サービスです。個別支援計画に基づき、学習支援や社会性の向上、日常生活の自立をサポートします。専門スタッフが子ども1人ひとりに寄り添い、安心して過ごせる環境を提供しますよ。家庭や学校と連携しながら成長を支援し、将来の自立や社会参加につなげることを目的としています。楽しく学びながら成長できる場として、多くの家庭に利用されています。

医療機関

療育を行う施設において、医療機関は重要な役割を果たします。発達に課題を持つ子どもたちに対し、医師や看護師、作業療法士、言語聴覚士などの専門家が診察やリハビリを提供し、個々の状態に応じた適切な支援を行います。定期的な健康管理や医療的ケアの提供に加え、保護者への助言や多職種連携を通じて、子どもたちの成長を総合的にサポートします。医療機関との連携を強化することで、より質の高い療育が実現し、子どもたちの可能性を広げることができます。

障害児入所施設

障害児入所施設は、障害のある子どもが必要な支援を受けながら生活できる福祉施設です。医療的ケアやリハビリ、日常生活の支援を提供し、子どもの発達や自立を促します。施設の種類には福祉型と医療型があり、福祉型は生活支援を重視し、医療型は医療ケアを必要とする子どもを対象とします。家庭での養育が難しい場合に利用され、専門職による個別支援を受けられるのが特徴です。地域や学校との連携も重視し、社会とのつながりを保つ支援を行います。

療育の種類や方法

個別での療育

個別療育は、子ども1人ひとりの発達や特性に合わせた支援を行う療育方法です。専門職が子どもの発達段階や課題を評価し、個別のプログラムを作成します。具体的には言語療法や作業療法、感覚統合療法などがあり、コミュニケーション能力や運動機能、社会性の向上を目指します。また、成功体験を積み重ねることで自信を育み、自己肯定感を高めることも目的としていますよ。保護者と連携しながら進めることで、家庭でも継続した支援が可能になります。

集団での療育

集団療育は、複数の子どもが一緒に活動しながら発達を促す療育方法です。コミュニケーション力や社会性の向上を目的とし、遊びや学習、運動などを通じて協調性や自己表現の力を育みます。集団生活の中でルールを学び、友達との関わり方を身につけることができますよ。また、模倣を通じた学習や成功体験を積む機会にもなります。専門のスタッフが子どもたちの発達段階に応じた支援と安心して取り組める環境を提供することで、子どもの健やかな成長を促すことができるでしょう。

療育に関わる職種

保育士

保育士は、療育の現場で子どもの発達を支援する重要な役割を担います。日常生活のサポートをはじめ、遊びや学習を通じて社会性やコミュニケーション能力の向上を促します。1人ひとりの特性に応じた関わりを大切にし、安心できる環境を提供することが求められますよ。また、保護者と連携しながら、家庭での支援方法について助言することもあります。他の専門職と協力しながら子どもの成長を多角的に支えることが、療育における保育士の大きな役割と言えるでしょう。

児童指導員

児童指導員は、発達に課題を持つ子どもたちを支援する専門職です。児童福祉施設や放課後等デイサービスなどで、子どもの成長を促す活動や生活支援を行いますよ。資格要件には、大学で心理・教育・福祉系の学科を修了するか、特定の実務経験を積むことが必要です。主に、子どもたち1人ひとりの発達段階に応じた適切な支援を提供します。また、保護者や他の専門職と連携しながら、子どもが安心して成長できる環境づくりを担う重要な役割を果たします。

児童発達支援管理責任者

児童発達支援管理責任者(児発管)は、障害のある子どもや発達に特性のある子どもを支援する施設で、支援計画の作成や職員の指導・管理を担う重要な役職です。子どもの発達状況や家庭環境に応じた個別支援計画を作成し、保護者や関係機関と連携しながら最適な支援を提供します。資格要件には、一定の実務経験や研修の受講が必要です。児童発達支援管理責任者は、子どもの成長を支える専門職として、療育現場で中心的な役割を果たしています。

看護師

看護師は療育において、医療的ケアを必要とする子どもたちを支える重要な役割を担います。呼吸管理や経管栄養、服薬管理などの医療的ケアを行いながら、子どもの健康状態を把握して適切な対応をしますよ。また、保護者への支援や他職種との連携を通じて、子どもが安心して成長できる環境を整えます。医療的視点と福祉的視点を併せ持ち、子どもたち1人ひとりに寄り添ったケアを提供することが求められる職種です。

言語聴覚士

言語聴覚士(ST)は、発語や聞こえ、飲み込みの問題を持つ人を支援する専門職です。主に発達障害のある子どもや脳卒中後の高齢者などを対象に、発声や発語訓練、聴覚リハビリや摂食嚥下訓練を行いますよ。療育の現場では、コミュニケーション能力の向上を目的としており、保護者や他職種と連携しながら支援を行います。言語聴覚士は言語能力の発達を促すことで、社会生活の質を高める重要な役割を担っています。

理学療法士

理学療法士(PT)は、発達障害や肢体不自由のある子どもを対象に、運動機能の向上を支援する専門職です。療育の現場では、姿勢保持や歩行訓練、筋力強化などを通じて、子どもが日常生活をより自立して送れるようにサポートをします。また、保護者や他の支援者と連携して、家庭や学校での適切な運動支援のアドバイスを行うことも重要な役割ですよ。個々の発達段階に応じたプログラムを提供し、子どもの成長を長期的に支えていきます。

作業療法士

作業療法士(OT)は、心身に障がいのある人が日常生活をより自立して過ごせるように支援をする専門職です。リハビリテーションの一環として、食事や着替え、移動などの基本動作の支援を行います。また、仕事や趣味活動につながる訓練も行いますよ。特に発達障がいのある子どもには、遊びを通じた感覚統合療法や手先の巧緻性を高める支援を提供します。作業療法士は医療・福祉・教育分野で活躍し、子どもたちのニーズに合わせた療育を行う重要な役割を担っています。

心理指導担当職員

心理指導担当職員は、発達に課題を抱える子どもやその家族を支援する専門職です。主に、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの福祉施設で勤務しています。心理学的な視点から子どもの行動や感情の理解を深め、適切な療育を提供しますよ。また、個別支援計画の作成やカウンセリング、保護者への助言なども行い、子どもの発達を促す環境づくりに貢献しています。心理指導担当職員には、公認心理師や臨床心理士などの有資格者が就く傾向です。

まとめ

子どもや家庭に合わせた適切な療育等の支援を選ぼう

いかがでしたか。今回の記事では、療育と発達支援の違いや療育の概念、実施施設の種類や方法について詳しく紹介しました。療育の利用者は年々増え続け、それに伴い療育施設も急増しているそうです。療育施設では、専門的な知識や経験が求められる場面が多くあります。障がいを持つ子どもとの関わりの中で成長する姿を見て、やりがいを感じながら働けるのが療育の仕事の魅力です。児童福祉に興味がある方や療育の経験を積んでキャリアアップしたいと考えている方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。