子どもの不安障害は、成長過程における自然な心の反応と捉えられがちです。一方で、過度な不安や心配が日常生活に支障をきたす場合は、専門的なサポートが必要となることがあります。家庭や学校で見られる些細な変化が、子どもの心の中で大きな不安に繋がることもありますよ。今回の記事では、子どもの不安障害の兆候や原因、症状などについて解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
子どもの不安障害とは
強い不安を原因とした精神障害

子どもの不安障害は、強い不安や恐怖が原因となって発症する精神的な障害です。一般的に、成長過程において子どもはさまざまな不安を感じることがありますよね。一方で、それが過度になり、日常生活に支障をきたす場合は不安障害と診断されることがあります。学校や社会生活で今までできていたことができなくなったり、友達や家族との関係に悪影響を与えたりすることもあります。子どもの不安障害は早期に適切な対応をすることで、症状の改善が期待できるため、注意深い観察と適切な支援が重要だと言えるでしょう。
子どもの不安障害の種類
パニック障害

ここからは、子どもの不安障害の種類について見ていきましょう。まず初めに挙げられるのがパニック障害です。パニック障害は、予期せずに強い不安感や恐怖感が襲ってくる状態を指します。パニック障害の症状の1つとして、何の前触れもなく突然に発作が起こるということがあります。発作は心臓の動悸や息切れ、めまいなど様々です。子どもがパニック障害を持っている場合、発作が起きた場所や状況を避ける傾向があるため、日常生活に支障をきたすことも考えられるでしょう。
社交不安症

社交不安症は、他人と接する際に強い不安や恐怖を感じる状態を指します。他人からの評価を意識するあまり、人前で発言することを避け、ときには学校行事に参加することに強い不安を抱いてしまう場合があります。また、社交不安症は吐き気や震えといった症状を発症することもあるため、他人と関わること自体が恐くなってしまう子どもも多いです。こうした状態は結果的に、集団の中で孤立状態に陥ったり友達関係に大きな悪影響を及ぼしたりする可能性につながるでしょう。
強迫性障害
子どもの強迫性障害は、望んでいない特定の考えや行動が繰り返し頭に浮かんで不安になり、それを防ぐために同じ行動を繰り返し不安を軽減しようとする状態です。強迫性障害の主となる強迫観念とは、嫌悪感や不安を引き起こすイメージが頭に浮かんでしまうことです。例えば「家のドアをきちんと閉めなかったら家が火事になるかもしれない」と、繰り返し考えてしまい扉やスイッチを何度も確認したり、「手が汚れていると病気になってしまう」との考えから、手を何度も洗ったりすることが挙げられるでしょう。こうした強迫観念や強迫行動に時間を費やすと、学校や友人との活動に支障をきたす可能性があります。また、子ども自身に強迫性障害の自覚があっても強迫行動を繰り返さないと不安が増すため、その行動を辞めたくても止められないというジレンマに悩むこともありますよ。
子どもの不安障害の症状
発作

子どもの不安障害の症状としては発作が挙げられます。一般的にはパニック発作や不安発作と呼ばれ、突然強い恐怖や不安を感じたときに動悸や息切れ、大量の発汗や吐き気、悪寒などの体の症状が現れることがあります。発作は突然起こり、数分から長くても20分ほどで収まることが多い一方で、子どもの場合は発作が起きると、自分でもその理由が分からないことが多いため、不安や恐怖がさらに強まることがありますよ。
頭痛

不安障害の症状の1つとして、子どもは頭痛を感じることがあります。頭痛と聞くと、一般的には風邪や熱などの体調不良を疑いますよね。不安障害による頭痛は、頭全体に圧迫感や締めつけ感を感じることが特徴です。また、ストレスや不安が積み重なることで、身体にさまざまな症状を引き起こすことがありますので、頭痛の他に腹痛や吐き気、眠れないといった症状も一緒に現れることがありますよ。
腹痛

子どもの不安障害には腹痛が症状として現れることもあります。不安やストレスが原因で消化不良などが起こる腹痛は、心因性腹痛と呼ばれます。例えば、学校に行くこと自体に強い不安を抱いている子どもは、朝学校に行く準備をしている時点で腹痛を訴えることがあります。また、人前に立つことに緊張や不安を感じる子どもは、学校の授業中に腹痛が引き起こされてしまうこともあるでしょう。場合によっては食欲不振や便秘、下痢などの消化器系の問題も伴うことがありますよ。
吐き気

吐き気も子どもの不安障害の症状の1つです。不安やストレスが体に与える影響として、吐き気や消化不良が起こることは珍しくありません。特に強い不安や緊張があると、体は交感神経が活性化され、消化器系の動きが抑制されてしまうことがあります。それによって胃腸の動きが鈍くなり、吐き気につながることがあるのです。テストや発表の前、学校に行く前など、頻繁に吐き気を訴える場合は不安障害の症状と考えて良いでしょう。
子どもが不安障害かどうかをチェックする方法
集中力が低い

ここからは、子どもが不安障害かどうかを確認できるチェック項目について紹介していきます。まず判断材料になる項目として、集中力の有無があります。不安障害がある子どもは、強い心配や過度の不安を抱えていますよね。例えば、学校のテストや発表、友達との関係や社会的な場面に対して常に不安になってしまうため、目の前の課題や活動に集中できなくなることがあります。また、不安によって現れる腹痛や吐き気、頭痛などの身体的な症状が、集中力を妨げる原因になることもありますよ。心配事を相談される頻度が増えたうえに、子どもの集中力が著しく下がったと感じたら、不安障害の可能性があります。
睡眠が浅い

不安障害があると、強い不安感や心配事、恐れなどが睡眠に悪影響を与え、眠りが浅くなることがあります。不安や悩みがあると、特に寝る前に心配事を思い出したり未来のことを考えたりしてしまいがちですよね。こうしたネガティブな思考が感情を占めてしまうとリラックスできません。寝つきが悪くなり深い眠りに入る前に目が覚めてしまい、結果として寝不足になってしまうことがあるでしょう。また、不安感が強いと、子どもは常に警戒しているような状態になります。そのため、寝ている間も完全にリラックスできず睡眠が断続的になり、深い眠りに入れないことがあります。子どもが不眠を訴えてきた場合は、何か強く不安に感じていることがないか注意してみましょう。
過度な緊張をしている

子どもが日常生活で緊張することはよくあることです。しかし、緊張が日常生活に影響を及ぼすほど強い状態で長期間続いている場合は、不安障害の可能性があります。例えば、常に緊張状態で、体が固まったり呼吸が浅くなったりする場合は注意が必要ですよ。また、学校に行くことを嫌がったり、特定の人と会うことを避けたりするなど、その場から逃げ出そうとするほどの緊張を抱えている場合も不安障害の可能性があります。このように、過度の緊張で社会的な行動に支障が出るようになったら、不安障害のサインと捉えて良いでしょう。
特定のものを怖がる

子どもは発達過程において、動物や暗闇など特定のものや場所に対して恐怖を感じることはよくあります。一方で、実際にはリスクが全く無いにも関わらず過度に恐怖を感じている場合や、恐怖の度合いが異常に強い場合は不安障害の可能性があると考えられています。一般的には、子どもは最初に恐怖を感じたものに対して、危険性がないことを知ることで恐怖を克服していきます。しかし、いつまでも恐怖心が収まらず、発達段階に応じた自然な変化が見られない場合や、その恐怖心が身体的な症状に現れている場合は、不安障害の兆候と言えるでしょう。
子どもの不安障害の原因
特性

子どもの不安障害の原因は、特性と環境の2つに分けることができます。特性に関しては遺伝的な要因とも関連しており、親や兄弟など家庭内に不安障害を持つ人がいる場合は、その子どもが同じような障害を発症するリスクが高くなるとされています。また、元々の脳の構造や神経伝達物質の働きが不安を感じやすくさせてしまうこともありますよ。生まれつきの性格も原因の1つとされており、慎重で内向的な性格の子どもは不安障害が起こる可能性が高いとも言われています。
環境

特性の他に、環境的な要因によって不安障害が引き起こされることもあります。例えば、親の離婚や虐待、過保護など、抑圧的で不安定な家庭環境が子どもの不安を引き起こすことは、よくある事例です。また、学校生活でのいじめや孤立など、社会的な場所で自信を喪失するような環境に置かれている場合も当てはまります。さらに、急な引っ越しや親しい人の死など、子どもにとって受け入れがたい大きな生活環境の変化も、不安障害の原因になると言えるでしょう。
子どもの不安障害の治し方
薬物療法

ここからは、子どもの不安障害を治すために行うアプローチについて紹介していきます。まず薬物療法は、不安障害の症状が特に重度なときに用いられるアプローチです。薬物療法だけでは根本的な解決にはなりません。しかし、他の療法と組み合わせることで効果的に症状を抑えることができますよ。不安を感じる頻度や強さを低減し、子どもが日常生活を支障なく送れるように抗うつ薬や抗不安薬が使われます。副作用が起こる場合があるため、医師の指導のもと適切な調整を行いながら服用することが大切です。
認知行動療法

認知行動療法とは、子どもが自分の思考や行動パターンを認知して、それらを整理しながら不安を管理する方法を学ぶ治療法です。子どもの不安障害の治療において、認知行動療法は非常に効果的な心理療法とされています。認知行動療法では、何に恐怖を感じているのか、なぜそう感じるのかを子ども自身が認識し、その恐怖心を現実的で適切な思考に置き換える練習を行いますよ。置き換える練習で、子どもは不安を和らげる方法や適応するための行動を学び、不安や恐怖心に対処する力を身につけることができるのです。子どもによって不安を抱く対象や原因は異なります。そのため、個別の治療計画を用いたうえで、発達段階に合わせた内容で治療が行われることが一般的です。
保護者へのアプローチを行うこともある

子どもの不安障害の治療には、保護者のサポートが非常に重要です。子どもの不安障害の回復において、保護者の理解と対応力が大きな影響を与えるため、保護者の存在は決して軽視できません。例えば、専門のセラピストが子どもだけでなく保護者にもアプローチすることで、親子で不安障害に対する理解を深めることが可能になります。また、子どもへの適切な声掛けの方法や、家庭での生活リズムなどに対しての指導が行われることもありますよ。このように保護者が子どもの不安障害について理解を深め、適切にサポートすることで治療は効果的に進みます。
まとめ
子どもの不安障害には様々な種類と症状がある
ここまで、子どもの不安障害の種類や症状、原因について解説してきました。子どもの不安障害は、強い不安や恐怖によって引き起こされる精神障害です。パニック発作や吐き気、頭痛などが伴う場合が多く、学校生活や友達との関係など、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。発達過程において子どもが恐怖や不安を感じることは一般的です。しかし、恐怖心が長期間続く場合や過度な不安によって子どもの行動が大きく制限されている場合は、不安障害の可能性が考えられます。生まれ持った特性が原因になることもありますが、認知療法などの適切な治療を行うことで改善が見込めるでしょう。