子どもの育てにくさや学習面でのつまずきが気になったとき、「どうして苦手が多いのだろう?」「どんなサポートが必要なのかな?」と悩む保護者の方は少なくありません。そんなとき、子どもの認知の特徴を知る手がかりとなるのがウィスク検査です。ウィスク検査では、言語理解や記憶、処理の速さなど、普段は見えにくい力を詳しく調べることができますよ。得意・不得意がわかることで、困りごとの背景が見え、支援の方向性を考えやすくなります。本記事では、ウィスク検査の内容や結果の活用方法についてわかりやすく解説していきます。お子さんへの関わり方に迷っている方や支援のヒントを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ウィスク検査とは?
子どもの知的発達を測る検査

ウィスク検査は、5歳から16歳11か月の子どもを対象にした知能検査で、心理学者デイビッド・ウェクスラーによって開発されました。名称は Wechsler Intelligence Scale for Children の頭文字を取ったものです。ウェクスラー式の知能検査には年齢ごとに種類があり、幼児向けのWPPSI、成人向けのWAISなどがありますよ。その中でもWISCは、学齢期の子どもの認知発達を詳しく調べられる代表的な検査です。IQだけでなく、得意・不得意の傾向や、学習や生活でつまずきやすい部分を知ることができ、支援方法を考えるための大切な手がかりになりますよ。
長い歴史を持つ信頼性の高い知能検査
ウィスク検査は、世界20か国以上で実施されている代表的な知能検査です。1939年にウェクスラーによって発表されて以来、70年以上にわたって改定を重ねながら活用されてきました。現在の最新版はWISC-Ⅴですが、日本ではまだ普及が進んでおらず、多くの機関ではWISC-Ⅳが用いられていますよ。本記事では、国内で一般的に実施されているWISC-Ⅳを中心に、検査内容や結果の活用方法について分かりやすく解説します。長い歴史と実績がある検査だからこそ、子どもの特性を把握するための信頼できる指標として広く使われている知能検査です。
知能検査とはどんなテスト?
知的能力を調べるための心理テスト
知能検査とは、子どもの知的能力や認知の特徴を客観的に把握するために行われる心理検査のことです。知能検査は、どれくらい賢いかを測るものではありません。言葉の理解、推理する力、記憶のしやすさ、作業スピードなど、学習や生活に関わるさまざまな力をバランスよく確認します。目に見えにくい子どもの得意・不得意を可視化できるため、学校でのつまずきの原因や、行動の背景にある特性を理解しやすくなります。検査結果は診断だけでなく、子どもに合った支援方法や環境調整を考える手がかりとしても活用されますよ。
ウィスク検査の診断項目は?
言語理解

言語理解は、言葉の意味を理解したり、状況を言葉で説明したりする力を測る指標です。ウィスク検査では、この力を確認するために類似、単語、理解といった基本検査を行います。類似では2つの言葉の共通点を答え、単語では絵や概念の意味を説明。理解では日常的な問題の解決方法や社会的ルールへの理解を問います。また、必要に応じて補助検査となる、知識、語の推理を実施し、より詳しい言語面の特性を把握します。これらの結果から、語彙力の伸ばし方や指示の伝え方など、子どもに合った支援方法を考えていくことができますよ。
知覚推理
知覚推理は、目で見た情報をもとに理解したり、形の特徴をとらえて考える力を測る指標です。この力を調べるために行われる基本検査には積木模様、絵の概念、行列推理がありますよ。積木模様では見本と同じ模様を積木で作り、絵の概念では複数の絵の中から共通点を持つものを選びます。行列推理では、空欄に当てはまる図形を選択肢から選び、視覚的な法則性を読み取る力を確認します。また、必要に応じて補助検査として、絵の完成が行われ、欠けている部分を見つけることで観察力を確かめますよ。図や絵を使った課題が多く、視覚認知や空間把握の得意・不得意を知るために役立つ指標です。
ワーキングメモリー

ワーキングメモリーは、聞いた情報を一時的に記憶し、必要に応じて処理する力を測る指標です。基本検査には数唱と語音整列があり、数唱では読み上げられた数字を順番通りに答え、語音整列では数字とかなを並べ替えて答えます。どちらも記憶と注意を同時に使うため、学習のつまずきにつながりやすい部分を把握するのに役立ちますよ。補助検査の算数では、口頭で出された問題に答えることで、聞いた情報を保持しながら処理する力を確認します。これらの結果から、子どもに合った支援の方向性を考えることができますよ。
処理速度
処理速度は、視覚情報を素早く読み取り、手を動かして作業する力を測る指標です。基本検査には符号と記号探しがあり、符号では数字に対応する記号を書き写し、記号探しでは複数の記号の中から同じものを見つけて答えます。いずれも素早さと正確さが求められ、書き取りや細かな作業がどれほど得意かを知る手がかりになりますよ。補助検査の絵の抹消では、決められた時間内に特定の絵に線を引き、注意を向け続ける力や作業のスピードを確認します。これらの結果から、作業量の調整や環境づくりなど、子どもに合った支援が考えられますよ。
全検査IQ
全検査IQは、言語理解や知覚推理など四つの指標を総合して算出される、子どもの知的な水準を示す数値です。ウィスク検査ではIQ100が平均とされ、70以下や130以上など、平均から大きく離れた数値になるほど該当する子どもは少なくなりますよ。このため、非常に高い場合や低い場合には、学校生活や周囲との違いに悩むこともあります。ただし、全検査IQはあくまで大まかな指標で、同じIQでも四つの指標の得点に差があるケースも多いため、支援を考える際には結果全体を総合的に見ることが大切ですね。
ウィスク検査で分かる子どもの特性は?
子どもの考え方や行動の特徴が見えてくる
ウィスク検査を受けることで、子どもがどのように考え、どんな場面でつまずきやすいのかといった認知や行動の特性を知ることができます。これらの特性を理解するために用いられるのが、言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度の四つの指標です。さらに、これらを総合して算出される全検査IQが全体的な知的水準を示しますよ。複数の指標から子どもの認知の特徴を細かく見ることで、得意な部分や苦手な部分がより明確になります。こうした情報は、支援方法を考えるうえで大切な手がかりになりますよ。
ウィスク検査を受けるメリットは?
日常での関わりづらさの要因がつかめる

「どうして話すのが苦手なんだろう」「なぜ指示が通りにくいのだろう」など、子どもの関わりに悩む場面は少なくありません。原因が分からないままでは、どのように対応すればよいか迷ってしまいますよね。ウィスク検査を受けると、子どもの認知や行動の特性が明らかになり、その特性が関わりづらさにつながっている場合は原因を理解しやすくなります。ただし、すべての育てにくさがウィスク検査で説明できるわけではありません。まずは医師や公認心理師などの専門家に相談し、検査が必要かどうか判断してもらうことが大切ですよ。
子どもに合った支援を考える手がかりになる
子どもの行動面の困りごとや発達のつまずきが気になる場合、ウィスク検査で原因の一部を明らかにすることで、どのような支援が必要か考えやすくなります。学校や園に配慮をお願いしたいときにも、検査結果があると状況を簡潔に説明しやすくなり、周囲の理解を得やすくなりますよ。また、保護者が悩んでいるときは、子ども自身も気づかない生きづらさを抱えていることがあります。検査を受けるだけで終わりにせず、特性に合わせた支援につなげることが、子どもが安心して過ごすための第一歩になりますよ。
ウィスク検査の結果からつながる支援は?
言語理解を伸ばすための支援
言語理解の得点が低い子どもは、言葉を使ったコミュニケーションが苦手なことがあります。大人が言葉で指示を出しても、内容をすぐに理解できなかったり、状況を言葉で説明するのが難しかったりします。そのため、伝えるときはゆっくり話すことや、短く区切って伝えることが効果的ですよ。また、言葉だけでなく、絵や写真、身ぶりなど目に見える情報を使うことで理解しやすくなります。子どもが言葉に詰まっても急かさず、落ち着いて待つ姿勢も大切です。安心できる関わり方が、言語面の力を伸ばす土台になりますよ。
知覚推理を伸ばす支援

知覚推理の得点が低い子どもは、図や表といった視覚的な情報を読み取ったり、必要なものを見つけることが苦手なことがあります。目で見た情報を処理するのに時間がかかるため、理解が追いつくまでゆっくり待ってあげることが大切ですよ。また、視覚情報を言葉で説明して補ってあげると理解しやすくなります。さらに、周囲の様子を見て行動することが難しい子どももおり、何をすればよいのか分からず置いていかれることも。そのため、こまめに声をかけたり、必要なときは周囲に助けを求める習慣をつけるなど、見通しを持てる関わり方が支援につながりますよ。
ワーキングメモリーを伸ばす支援
ワーキングメモリーの得点が低い子どもは、一時的に情報を覚えておくことが苦手で、暗算が難しかったり、頼まれごとをすぐに忘れてしまったりします。このような場合には、メモを取る習慣を身につけてもらうことが効果的ですよ。スマートフォンが使える環境であれば、リマインダー機能やメモアプリを活用するのも良い方法ですね。ただし、最初のうちはメモを取ること自体を忘れてしまうことも多いため、習慣化するまでは周囲の大人がサポートする必要があります。会話の中で聞き返されたときは、責めずにゆっくりと同じ内容を伝え直すことで、安心して行動できる環境が整っていきますよ。
全検査IQの得点が高い場合は?
特性に合わせた柔軟なサポートが必要
全検査IQが高い子どもは、理解が早く興味のある分野を深く学びたい気持ちが強いため、通常の授業だけでは物足りなさを感じることがあります。学びのペースが合わないと意欲を失うこともあるため、得意分野を伸ばす機会を用意することが大切ですよ。例えば、専門的な習い事に通わせたり、発達段階に合った難しい教材に挑戦させるなどの工夫が効果的です。海外ではIQの高い子ども向けの教育プログラムや飛び級制度もあり、特性に合った学び方を選べる環境も整っています。
ウィスク検査の実施場所と料金の目安は?
専門の施設や医療機関で実施している

ウィスク検査は、主に三つの場所で受けることができます。一つ目は病院で、児童精神科や小児科、思春期外来などで取り扱われています。医師が必要と判断した場合に実施されるため、診断を希望する場合には病院が適していますよ。二つ目はカウンセリングルームや心理相談室で、比較的予約が取りやすく、早めに検査を受けたい方に向いています。ただし医療機関ではないため、診断書や薬の処方は行われません。三つ目は市町村の教育支援センターで、学校復帰の支援を目的とした公的な機関です。学校との連携を前提とした支援につながりやすい一方、こちらでも診断書の発行はできません。
実施する機関によって料金が変わる
ウィスク検査の費用は、受ける場所によって大きく異なります。医療機関で受ける場合は保険適用となり、自己負担は約1,350円です。市町村の教育支援センターでは無料で受けられることが多く、費用を抑えたい家庭に向いていますよ。一方、カウンセリングルームや心理相談室は保険が使えないため、1〜2万円ほどの料金が必要になります。ただし、ウィスク検査は専用の検査キットと実施マニュアルに沿って行われるため、どこで受けても検査内容に違いはありません。また、検査者は定められた資格を持つ専門家に限られているため、質の面でも安心できますよ。なお、検査後のフィードバック内容やアドバイスの丁寧さは機関によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
まとめ
ウィスク検査で子どもに合った支援へつなげよう
子どもの育てにくさや生きづらさに悩んでいる場合、ウィスク検査を受けることで原因の手がかりが見つかることがあります。検査では認知や行動の特性が明らかになり、支援の方向性を考えるうえで役立ちます。また、得点の低い部分だけに注目しがちですが、子どもの強みをどう伸ばすか考えることも大切ですよ。ウィスク検査は特性を知るための一つの指標


