児童発達支援管理責任者はどんな仕事?研修についても詳しく解説!【研修・平均年収・要件・保育士】

児童発達支援管理責任者とはどのような職業かご存知でしょうか。児童発達支援管理責任者になるには実務経験要件を満たし、いくつかの研修を受ける必要があります。ここでは児童発達支援管理責任者の仕事内容、実務経験要件、研修について詳しく紹介しています。児童発達支援管理責任者になりたいと思っている方も児童発達支援管理責任者にちょっとでも興味を持っている方もぜひ参考にしてみてください!

児童発達支援管理責任者とは

障がいをもつ子供の保育や療育に関わる現場のリーダー

児童発達支援管理責任者とは障がいをもつ子供の保育や療育に関わる現場のリーダー。児童発達支援管理責任者を略して児発管とも呼ばれています。児童発達支援施設では児童発達支援管理責任者を必ず1名以上配置することが義務付けられています。児童発達支援管理責任者は子供や保護者に対して支援するだけでなく、職員への指導も仕事の一つ。また、中にはサービス管理責任者と似ていると感じる方もいるかもしれません。サービス管理責任者は18歳以上の障がいを持つ方を対象とするのに対し、児童発達支援管理責任者は18歳未満の障がいをもつ子供を対象としています。

児童発達支援管理責任者の仕事内容

アセスメント・モニタリング

児童発達支援管理責任者は個別支援計画の作成のためにアセスメントモニタリングを行います。アセスメントとは利用者である子供や保護者と面談をし、利用者の情報を記録していくことです。内容は学校や保育所、家庭での様子や子供の得意なこと、苦手なこと、現状の課題など。モニタリングは定期的に行い、目標の達成度や子供の変化を確認します。そしてモニタリングの結果をもとに個別支援計画の見直しをします。

個別支援計画の作成

個別支援計画の作成は児童発達支援管理責任者のとても重要な仕事です。アセスメントでの記録をもとに個別支援計画を作成します。個別支援計画の内容は支援方針や具体的な支援内容、子供や保護者の希望、到達目標など。次にサービスに関係する担当者と会議を行い、会議で出た意見をもとに個別支援計画の修正をします。そして、個別支援計画の内容を利用者と保護者に説明し、同意を得てからサービスの提供を開始。サービスの開始後、定期的にモニタリングを行いその都度、個別支援計画の見直しをします。

保護者との相談支援

アセスメント以外でも保護者との相談支援をします。保護者は専門家ではありません。子供の障がいに対して不安や戸惑いを覚えている可能性があります。児童発達支援管理責任者は保護者が何に悩んでいるかを聞き、適切なアドバイスをします。保護者との関係を築き、不安や悩みを取り除くことも児童発達支援管理責任者の大切な仕事。普段から保護者と面談などで綿密に関わることで、保護者にとって何か困ったことがあった時にすぐに相談してもらえるようになります。

事務作業や技術指導

個別支援計画の作成や相談支援以外の業務は技術指導業務や事務作業などです。技術指導業務は他の職員に技術指導し、事務作業では教材の準備や書類作成などをします。通所施設では送迎業務があるところも。児童発達支援管理責任者が事業所の管理者と兼任している場合は、利用者との契約業務や見学対応などをしなければいけません。上記のような業務内容は事業所によって異なります。児童発達支援管理責任者として働く場合は、入職する前にあらかじめ業務内容を確認しましょう。

児童発達支援管理責任者の給料

平均年収約491万円

児童発達支援管理責任者の給料は平均年収約491万円です。児童発達支援管理責任者の給料は施設によって異なります。

                 

常勤(円)非常勤(円)
福祉型障害児入所施設5,662,1302,598,236
医療型障害児入所施設5,983,8240
児童発達支援3,990,8772,753,561
医療型児童発達支援5,876,4630
放課後等デイサービス3,298,5870
保育所等訪問支援4,658,9405,414,257

保育士の平均年収は約362万円なので、児童発達支援管理責任者は保育士よりも給料が高い傾向にあることがわかります。

児童発達支援管理責任者になるには

実務経験要件を満たし研修を受ける

児童発達支援管理責任者になるには実務経験要件を満たし、研修を受ける必要があります。実務経験要件は相談支援業務経験、直接支援業務経験、国家資格と業務経験のどれか1つでも満たしていれば研修を受けることができます。実務経験要件については少し複雑になっているので、わかりづらいと感じる方もいるかもしれません。研修については基礎研修と実践研修の修了が必要です。児童発達支援管理責任者になったあとも5年ごとの更新研修を受けなければいけません。実務経験要件と研修について後ほど詳しく紹介します。

2019年の制度改正について

条件の緩和や更新研修の追加

児童発達支援管理責任者の研修制度が2019年から見直されたのはご存知でしょうか。従来は相談支援従事者初任者研修とサービス管理責任者等研修が実施されていました。変更後は、相談支援従事者初任者研修とサービス管理責任者等研修が基礎研修として1つに。またOJT、実践研修、5年ごとの更新研修が新しく創設されました。実務経験要件は一部緩和され、直接支援業務経験が10年以上から8年以上に短縮されました。そして、実務経験要件が2年満たない段階から基礎研修を受講できるように。従来よりも多くの方が児童発達支援管理責任者を目指しやすくなったということですね。

児童発達支援管理責任者の複雑な実務経験要件

相談支援業務経験

実務経験要件について詳しく紹介します。相談支援業務では下記の施設で通算5年以上従事する必要があります。

(a)相談支援事業に従事する者
地域生活支援事業
障害児相談支援事業
身体障害者相談支援事業
知的障害者相談支援事業

(b)相談機関等において相談支援業務に従事する者
児童相談所
児童家庭支援センター
身体障害者更生相談所
精神障害者社会復帰施設
知的障害者更生相談所
福祉事務所
発達障害者支援センター

(c)施設等において相談支援業務に従事する者
障害児入所施設
乳児院
児童養護施設
児童心理治療施設
児童自立支援施設
障害者支援施設
老人福祉施設
精神保健福祉センター
救護施設
更生施設
介護老人保健施設
介護医療院
地域包括支援センター

(d)就労支援に関する相談支援の業務に従事する者
障害者職業センター
障害者就業・生活支援センター

(e)学校教育法第1条に規定する学校(大学を除く)において相談支援の業務に従事する者
幼稚園
小学校

中学校
義務教育学校
高等学校
中等教育学校
特別支援学校
高等専門学校

(f)医療機関において相談支援業務に従事するもので、次のいずれかに該当する者
病院
診療所
※社会福祉主事、相談支援専門員等、保育士、児童指導員、障害者社会復帰指導員であって、a~fの実務経験年数が1年以上の方が対象

下線を引いている施設で従事していた場合は、その他の施設での実務経験年数が通算3年以上必要です。

直接支援業務経験

直接支援業務では下記の施設で通算8年以上従事する必要があります。

(a)施設等において介護業務に従事する者
障害児入所施設
助産施設
乳児院
母子生活支援施設
保育所
幼保連携型認定こども園
児童厚生施設
児童家庭支援センター
児童養護施設
児童心理治療施設
児童自立支援施設
障害者支援施設
老人福祉施設
介護老人保健施設
介護医療院
病院又は診療所の療養病床関係病室

(b)事業所等において介護業務に従事する者
障害児通所支援事業
児童自立生活援助事業
放課後児童健全育成事業
子育て短期支援事業
児童養育事業
小規模住居型児童養育事業
家庭的保育事業
小規模保育事業
居宅訪問型保育事業
事業所内保育事業
病児保育
子育て援助活動支援事業
障害福祉サービス事業
老人居宅介護等事業

(c)医療機関等において介護業務に従事する者
病院
診療所
薬局
訪問看護事業所

(d)障害者雇用事業所において就業支援の業務に従事する者
特例子会社
助成金受給事業所

(e)学校教育法第1条に規定する学校(大学を除く)
幼稚園
小学校

中学校
義務教育学校
高等学校
中等教育学校
特別支援学校
高等専門学校

下線を引いている施設で従事していた場合はその他の施設での実務経験年数が通算3年以上必要です。

国家資格と業務経験

以下の資格を有している場合は直接支援業務経験の従事期間が通算5年以上かつ高齢者分野以外の業務に従事した期間が通算3年以上必要です。
(1)社会福祉主事任用資格
(2)相談支援の業務に関する基礎的な研修を修了する等により相談支援の業務を行うために 必要な知識および技術を習得したものと認められるもの
(3)保育士
(4)児童指導員任用資格者
(5)精神障害者社会復帰指導員任用資格者
また、以下の国家資格に関わる業務に従事した期間が5年以上の場合は、高齢者分野以外の施設で相談支援業務または直接支援業務の経験年数が通算3年以上必要です。
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士
※実務経験要件に含まれる業務の範囲は都道府県によって異なる場合があります。申し込みをする際は必ず各都道府県のホームページを確認してください。

児童発達支援管理責任者の研修について

基礎研修(講義を聴く)

基礎研修は相談支援従事者初任者研修とサービス管理責任者等研修の2つがあります。基礎研修は講義を聴くのがメイン。基礎研修の内容は以下の通りです。

相談支援従事者初任者研修講義部分>…計11時間
1.障害者の地域支援と相談支援従事者(サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者)の役割に関する講義
…5時間
2.障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の概要並びにサービス提供のプロセスに関する講義
…3時間
3.相談支援におけるケアマネジメント手法に関する講義
…3時間
サービス管理責任者等研修>…計15時間
1.サービス管理責任者・児童発達管理責任者の基本姿勢とサービス提供のプロセスに関する講義
…7.5時間
2.サービス提供プロセスの管理に関する演習
…7.5時間

OJT(通算で2年以上従事)

基礎研修を修了した後は相談支援業務または直接支援業務で通算2年以上従事することが義務づけられています。OJTという言葉を聞いたことがあるという方もいるのではないでしょうか。OJTとはOn the Job Trainingの略です。OJTとは実際に業務に従事し、働きながら学んでいくこと。これにより、実践的なスキルをみがき経験を積んでいくことができます。2年以上の実務経験を終えると実践研修を受講できるようになります。

実践研修(演習が主体の講義)

基礎研修を修了し2年以上の従事を終えると実践研修を受講できます。実践研修とはサービス管理責任者等実践研修のこと。実践研修の内容は以下の通りです。

サービス管理責任者等実践研修>…計14.5時間
1.障害福祉の動向に関する講義
…1時間
2.サービス提供に関する講義及び演習
…6.5時間
3.人材育成の手法に関する講義及び演習
…2.5時間
4他職種及び地域連携に関する講義及び演習
…3.5時間

講義だけの時間は1時間だけであとは演習が主体の講義となっています。

更新研修(資格取得後5年ごとに受ける)

児童発達支援管理責任者になった後も5年ごとの更新研修を受講する必要があります。更新研修はサービス管理責任者等更新研修のこと。更新研修の内容は以下の通りです。

サービス管理責任者等更新研修>…計13時間
1.障害福祉の動向に関する講義
…1時間
2.サービス提供の自己検証に関する演習
…5時間
3.サービスの質の向上と人材育成のためのスーパービジョンに関する講義及び演習
…7時間

児童発達支援管理責任者の働く場所

通所系サービス

児童発達支援管理責任者は児童福祉法で定められている施設で1名以上の配置が義務づけられています。児童発達支援管理責任者が義務付けられている施設には通所系サービスと入所系サービスの2つに分かれています。通所系サービスの施設は以下の通り。

通所系サービス:障害児通所支援施設>
・児童発達支援
・医療型児童発達支援
・放課後等デイサービス
・居宅訪問型児童発達支援
・保育所等訪問支援

第一種自閉症児施設や肢体不自由児施設、重症心身障害児施設は医療の提供を行っている施設です。

入所系サービス

入所系サービスは医療型障害児入所施設と福祉型障害児入所施設の2つに分かれています。入所系サービスの施設は以下の通りです。

入所系サービス:障害児入所支援>
・知的障害児施設
・第一種自閉症児施設
・第二種自閉症児施設
・盲児施設
・ろうあ児施設
・肢体不自由児施設
・肢体不自由児療護施設
・重症心身障害児施設

第一種自閉症児施設や肢体不自由児施設、重症心身障害児施設は医療の提供を行っている施設です。

まとめ

実務経験や研修をクリアして児童発達支援管理責任者になろう

いかがでしたか。児童発達支援管理責任者の実務経験要件や研修について理解できたでしょうか。2019年の制度改正により複雑だと感じる方もいるかもしれません。自分が実務経験要件に該当しているかどうか今回の記事で確認してみてください。児童発達支援管理責任者は専門性の高い職業です。そのため、今までの専門職の経験を活かしさらなるスキルアップをすることができます。ぜひ目指してみてはどうでしょうか。(参考:https://www.mhlw.go.jp/content/12204500/000547331.pdfhttps://www.pref.chiba.lg.jp/shoji/kenshuu/soudan/documents/sabi202011.pdf)