知的障害児施設【施設の例・職種・必要な資格・志望動機など】

みなさんは知的障害児施設についてご存知でしょうか。言葉は聞いたことがあっても、詳細には知らないということもあるでしょう。知的障害を持つ子供たちの支援を行なっているのが知的障害児施設です。一概に知的障害児施設と言っても種類や特徴は様々です。今回はそんな知的障害児施設について解説していきます。また、実際に働いている職種や採用されるための条件などについても紹介していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。

知的障害児施設とは

知的障害がある児童の支援をする施設

知的障害児施設は、知的障害を持つ子供たちに対して一人一人に応じてサポートを行なっている施設です。細かくは、生活を送っていく上で必要である自立支援や練習のサポート、時にはその症状に対する治療などを提供している施設ですね。実際に、知的障害児は全国に20万人以上いるとされていて、社会的にみても非常に重要な施設と言えるでしょう。18歳未満の障害者児童のサポートや支援の方法は児童福祉法によって定められていて、これに従った支援や療育などがなされています。

障害児施設の種類

施設の特徴によって通所型と入所型に分けられる

障害児施設は施設の特徴と提供するサービスの内容が分かれており、これによって分類されています。施設の特徴という点では通所型と入所型に分かれていますね。通所型では児童が施設に通って保育や療育を受け、入所型では子供たちが施設内で日常生活を送りながら支援を受けるという違いがあります。主に、症状によって自宅で日常生活を送ることが難しい場合に入所型の施設を利用することが多く、入所型の施設では一日中職員が生活を管理、支援しています。もう一つのサービスの内容という点では福祉型と医療型に分かれていますね。福祉型では子供たちが日常生活や集団生活のためのトレーニングや指導を提供しています。一方で、医療型は子供たちに対して発達支援だけでなく、症状の治療も提供しています。

通所型×福祉型:福祉型児童発達支援センター

福祉型児童発達センターは障害を抱えた、もしくは可能性がある子供たちに対して専門的な知識を用いて支援がなされる施設です。児童福祉施設に区分されており、保育所支援や療育支援事業などの実施が求められているように各地域の主要な支援機関と言えるでしょう。知的障害児を受け入れるために、精神科の嘱託医(専門の知識を持っていて施設から任せられている医師)が配備されています。福祉施設であるので、児童だけでなくその家族など周囲の人に対して支援を行うこともあることも特徴と言えるでしょう。

通所型×医療型:医療型児童発達支援センター

医療型児童発達支援センターは、上で述べた福祉型児童発達支援センターが提供しているサービスに加えて医療型の特徴である症状の治療や医学的な支援も提供しています。福祉型児童発達センターと同様に児童福祉施設という区分に位置していますが、医療法の規定か羅見ると診療所レベルとも言える人員や設備が整っているのが特徴でしょう。一般的な知的障害児施設に比べても、医療に関する専門的な知識、設備を兼ね備えた施設であると言えそうですね。

入所型×福祉型:福祉型障害児入所施設

福祉型障害児入所施設は、知的障害に加えて身体や精神に障害を抱えている子供たちが入所し生活を行うための施設です。この福祉型障害児入所施設では、子供たちが日常生活を送るための指導を受けたり、知識技能を学んだりしています。抱えている障害が重度であったり、複合していたりするケースにも対応しています。また、家庭内の問題など様々な事情で子供の保護が必要な場合にも対応できて、門戸が広いこともこの施設の特徴と言えるでしょう。入所型障害児施設が利用可能なのは基本的に満20歳までですが、その後の生活への支援も行っていることも多いようですね。

入所型×医療型:医療型障害児入所施設

医療型障害児入所施設は、上で述べた福祉型障害児入所施設と同様に障害を抱えた児童たちが生活を行なっています。子供たちが抱える障害の特徴や特性に合わせて支援を行なっていることは福祉型と同様と言えるでしょう。福祉型との違いは、医学的な治療や継続した看護などのサポートが行われていることですね。医療的な治療などを必要としている重度な障害児を多く受け入れており、成人後も支援を行なう必要があるケースも少なくないようです。それゆえ、療養介護事業所を併設していて、成人後はそちらで引き続き支援を行うこともあるようで、安心して任せやすいと言えるでしょう。

知的障害児施設の例

児童発達支援

知的障害児施設の例として、児童発達支援の事業所が挙げられるでしょう。児童発達支援には毎日通うものと数日ごとに通うものがあり、子供たちの発達度合いや症状によって選ぶことができます。児童発達支援ガイドラインからも分かる通り、以下の5つの領域に関する支援を行っています。
(1)健康・生活:心身の健康や生活に関する領域
(2)運動・感覚:運動や感覚に関する領域
(3)認知・行動:認知と行動に関する領域
(4)言語・コミュニケーション:言語・コミュニケーションの獲得に関する領域
(5)人間関係・社会性:人との関わりに関する領域
これらを見て分かる通り支援の範囲は非常に広いので、子供たちの特徴に合った支援が提供できる施設と言えるでしょう。

放課後等デイサービス

放課後等デイサービスも知的障害児施設の1つと言えるものでしょう。放課後等デイサービスという名前の通り、子供たちは放課後や長期休みに通い、自身に合った発達支援を受けます。児童発達支援との違いは対象年齢で、小中高校に通う子供たちは放課後デイサービス、未就学児は児童発達支援が対象となっています。日常生活に必要な動作の訓練など基本的な発達支援に加えて、創作・表現活動や地域の方との交流など活動内容が幅広いことも特徴と言えるでしょう。近年では、運動系の療育に特化した施設やIT企業と連携してパソコンやタブレットを使用する施設などがあり、多様化しています。それぞれに合わせた支援を受けられる上に、ある分野に特化した施設まで現れており、選択肢が非常に広がっていますね。

知的障害児施設における職種

施設保育士

施設保育士は児童福祉施設で働く保育士のことを指し、保育園で働く保育士とは別の職種に区別されています。児童福祉施設は今回のテーマである知的障害児施設に加えて、児童更生施設や児童養護施設など児童福祉法で定められている14の施設のことを指します。児童福祉施設は総じて子供たちに対して心身のサポートを提供し、日常生活の確保を行なっています。ですから、子供たちに対する支援の仕事を担うのが施設保育士となるわけですね。

児童指導員

児童指導員とは児童福祉施設において養護や療育を行う職員のことを指し、保護者の代わりに子供たちの成長を支援していく仕事です。基本的に18歳未満を対象年齢としてサポートを行い、親代わりとしての側面が強い仕事と言えるでしょう。保育や医療面の支援に加えて、子供たちの精神面の支えとなることが勤務内容の主要な部分ですね。児童指導員の職務内容や待遇などは、働く施設によって大きく異なっているので自分の求める環境に合わせて選べます。

知的障害施設で働くためには?

施設保育士になるには保育士資格が必須

上で述べた入所型・通所型の児童発達センターなどの施設で働く場合にはこの施設保育士になることになります。施設保育士として働くためには、保育士資格を持った上で各施設の求人に応募する必要があります。加えて、社会福祉士や保健児童ソーシャルワーカーなど、その他の資格を持っておくことが推奨されるケースもあるようです。働き方や待遇、仕事内容なども施設によるので志望する職場の求人を確認して、それに合わせた資格を準備する必要がありますね。

児童指導員は指導員任用資格を得ると名乗ることができる

児童指導員には、保育士資格のような試験に合格して取得するような資格は必要ありません。しかし、児童指導員と名乗り、仕事をするためには任用資格を得る必要があります。この児童指導員の任用資格は、児童福祉に関わる仕事を一定期間務め、一定の条件を満たした場合に得られるものです。任用資格の取得条件は以下です。
(1)児童福祉施設とその他対象の職員の養成施設を卒業していること。
(2)大学や大学院で所定の専門課程を修了していること。
(3)教員免許状を所有していること。
(4)社会福祉士と精神保健福祉士のいずれかの資格を所有していること。
(5)児童福祉事業で2年以上の実務経験があること。
基本的にはいずれかの条件を満たすことで、児童指導員と名乗り働くことができます。ただし公立の児童福祉施設に勤務する場合は、地方公務員試験の合格は別途必要なので注意が必要ですね。

知的障害児施設で働くメリットとデメリット

メリット:子供にとって大切な時期でありやりがいが大きい

知的障害児施設で働くメリットとして挙げられるのは、大きなやりがいを感じられるという点でしょう。施設にいる子供たちは、何かしらの障害を抱えながらも将来に向けて成長しています。そのような子供たちの人生にとって大事な時期に立ち会い、サポートするという仕事は非常に重要な仕事と言えますね。子供たちの成長を間近で感じたり、うまく人と関われていない子供たちが徐々にコミュニケーションが取れるようになったりする姿を目にしたりできることでしょう。知的障害児施設で働く方たちが感じられる働くモチベーションにもなりますね。

デメリット:子供の将来にも大きく関わる仕事で負担が大きい

知的障害児施設で働く上で懸念しなければいけない点として、責任や負担が大きいという点でしょう。働く上でやりがいを感じる点でもありますが、それと同時に非常に責任が伴う仕事で、精神的にも身体的にも負担を感じることになるでしょう。これまで保育園など他の施設で働いていた方からすると、変化に対応できず仕事がハードだと感じることもあるかもしれません。現に、早期離職してしまう職員も多くいるようで、なぜそこで働きたいのか自分の中で考える必要があるでしょう。

まとめ

やりがいのある知的障害児施設で働こう

いかがだったでしょうか、今回は知的障害児施設について解説しました。障害児施設の種類や例などに加えて、周辺の職種についても触れてきました。責任が大きく大変な仕事ではある一方で、非常にやりがいも大きく子供たちと関わる時間も長いという仕事を担うことができます。保育園で担う仕事とは異なる環境で異なる仕事内容を経験することができます。ぜひ、興味を持った場合は知的障害児施設も働く選択肢に入れてみてくださいね。