子どもの睡眠障害とは?【病院・症状・睡眠時間・予防・対処法・寝ない】

子どもの健やかな成長に欠かせない睡眠。しかし、近年は睡眠障害と見られる子どもが増えているようです。この記事では、子どもの睡眠障害で見られる症状や子どもの睡眠障害を予防するための方法など、子どもの睡眠障害について解説します。日本の3歳以下の子どもたちは、世界で1番睡眠時間が短い子どもたちとも言われています。保護者の皆さんは子どもの睡眠について正しく理解し、日々の生活を見直してみましょう。

子どもの睡眠障害とは?

十分に眠れず生活や発達に影響が出る状態

子どもの睡眠障害とは、子どもが十分に眠れず生活や発達に影響が出る状態のことを指します。さまざまな症状が見られますが、睡眠に関連した病気をまとめて睡眠障害と呼んでいるそうです。子どもが睡眠障害を発症すると、記憶力や判断力、注意力、意欲が低下するなどの弊害が見られます。また、自律神経の乱れによる体調不良や体力の低下なども引き起こしますよ。こうした状態は、子どもの健康や発達に悪影響を及ぼします。そのため、子どもたちの健やかな成長には、十分で良質な睡眠が欠かせません。

子どもの睡眠障害・簡易チェックリスト

以下の項目に当てはまっていたら要注意

子どもの睡眠障害について、簡易的なセルフチェックをすることができます。以下の10項目のうち何項目に当てはまるのか確認しておきましょう。

  • 十分な睡眠時間をとっているにもかかわらず、朝なかなか起きてこない
  • 夜間はしっかり寝ているはずなのに、日中に我慢できないほどの眠気に襲われる
  • 寝ているときに大きないびきをかき、時折呼吸が止まる
  • 発熱や下痢などの症状はないが、食欲がない
  • 普段の寝る時間に寝付けなくなり、徐々に寝る時間が遅くなる
  • 夜間の異常行動や、入眠時に下肢のムズムズ感を訴える
  • 睡眠中にベッドから起き上がって歩き回る、もしくは悪夢を見る
  • 昼夜逆転してしまっている
  • 疲れていて元気がない
  • 身長や体重が周囲と比べて少なく、発育が遅れている
0~2つ当てはまる場合:睡眠障害の程度は軽症。生活習慣や睡眠環境を整備しても原因が見当たらない場合は、病気の可能性もあるため注意が必要です。
3~6つ当てはまる場合:睡眠障害を招くような、何らかの疾患に罹患している可能性があるため注意が必要。
7~10つ当てはまる場合:何らかの病気によって睡眠障害を発症している可能性が非常に高いため、医療機関を受診しましょう。
(参考:一般社団法人 起立性調節障害改善協会「【1分でできる】子どもの睡眠障害セルフチェック診断」)

子どもの睡眠障害で見られる症状は?

不眠症

睡眠障害と言っても、現れる症状はさまざまです。その中でも、代表的な症状の1つとして挙げられるのが不眠症です。不眠症は睡眠障害の中で最も多い症状で、具体的には寝つきが悪かったり夜中に何度も目が覚めてしまったりします。また、不眠症による睡眠不足が原因で、日中に眠くなり学校生活や仕事に悪影響が出てしまうこともあるでしょう。子どもの睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌が不足し、身長の伸びが少なくなること(低身長)もあります。

過眠症

2つ目は過眠症です。代表的なものには、日中に場所や場面を問わず強い眠気に襲われるナルコレプシーがあります。覚醒状態を維持するホルモンが低下することにより、日中にも関わらず過剰に眠くなってしまうのです。また、夜間の睡眠不足によって日中に眠気を感じてしまう、睡眠不足症候群も過眠症の1つと言われていますよ。睡眠不足症候群に関しては、睡眠時間や睡眠環境を改善するだけで症状を軽減させることができます。

睡眠覚醒リズム障害

3つ目は睡眠覚醒リズム障害です。人間は、本来25時間単位で体内時計が設定されていますが、食事や日光などの刺激によって24時間に矯正して生活しています。しかし、何らかの原因でその調整がうまくいかず、夜型の生活になったり寝つきが悪くなったりすることがあるのです。この睡眠覚醒リズム障害を発症してしまうと、朝になっても起きれないので日中に活動することが容易ではありません。そのため、学校生活に支障が出てしまうことも考えられるでしょう。

睡眠時随伴症

4つ目は睡眠時随伴症です。睡眠中に無意識に起こる行動のことで、夜驚症や遊行症、悪夢症、夜尿症やレストレスレッグズ症候群(むずむず脚症候群)などが含まれます。睡眠時随伴症の具体的な症例としては、以下のような行動が考えられますよ。

  • 夜驚症:睡眠中に突然叫んで起き上がりパニックを起こしてしまう。
  • 遊行症:睡眠中に無意識に起き上がり歩き回る。夢遊病ともいう。
  • 悪夢症:怖い夢を見て夜中に起き出す。
  • 夜尿症:小学校入学以降もおねしょが続き、睡眠が妨害されてしまう。
  • レストレスレッグズ症候群:安静時に脚がむずむずして動かしたくなる衝動が強くなり、睡眠が妨害されてしまう。

乳幼児に必要な睡眠時間は?

0歳児

0歳児に必要な睡眠時間は13~20時間と言われています。0歳児は月齢によって理想とされる睡眠時間が異なりますよ。月齢ごとの睡眠時間と睡眠ペースは以下の通りです。

  • 新生児~生後2か月頃:16~20時間。一般的には1~2時間おきに目を覚まし、1~4時間の睡眠を繰り返す。個人差が大きく、生活リズムは定まっていない。
  • 生後3~5か月頃:14~15時間。3~4時間連続のまとまった睡眠をとるようになる。また、1回に起きている時間も次第に長くなる。
  • 生後6~11か月頃:13~14時間。6~8時間連続して眠れるようになる。2~4時間の昼寝を1~2回とり、夜はまとまって眠る。

1~2歳児

1~2歳児に必要な睡眠時間は11~14時間です。基本的には1~2時間程度の長めの昼寝が必要ですが、必要な昼寝時間には個人差があります。この頃の子どもたちは成長具合に大きな差があるため、それぞれの子どもに合わせた昼寝の時間を設定してあげると良いでしょう。1~2歳児の理想の生活スケジュールは以下の通りです。

         
8:00起床・朝ごはん
9:00室内遊び
11:00昼ごはん・室内遊び
13:00昼寝(2時間)
15:00公園に行く・おやつ
16:00帰宅・室内遊び
18:00お風呂
19:00夜ごはん
21:00就寝(11時間睡眠)

3~5歳児

3~5歳児に必要な睡眠時間は10~13時間です。この頃になると昼寝を必要としない子どもも増えてきます。保育園によっては、4歳児と5歳児のクラスでは昼寝をしない園も多いでしょう。しかし昼寝を必要とする子どもも中にはいるため、個人に合わせた対応が必要です。3~5歳児の理想の生活スケジュールは以下の通りです。

           
6:30起床・着替え
7:30朝ごはん
8:00登園
9:00保育園での活動(遊び・学び)
12:00お昼ごはん
13:00午後の活動(絵本や製作)
15:00おやつ
17:00帰宅・お風呂
18:00夜ごはん
19:00就寝準備
20:00就寝(10時間半睡眠)

子どもの睡眠障害を予防するには?

生活リズムを一定にする

子どもの睡眠障害を予防するためにすべきこととして、生活リズムを一定にすることが挙げられます。平日は早寝早起きをしているけど、休日だと遅寝遅起きになる子どももいますよね。平日と休日で生活リズムに違いがあると、平日の生活に戻るときにうまく適応できなくなってしまい、保育園での生活に支障が出てしまうこともあります。休日の朝でも平日と同じ時間に起きるなど、平日休日に関わらず生活リズムを一定にすることが重要ですよ。

日中にしっかり体を動かす

日中にしっかり体を動かして、1日の体力を使い切ることも大切です。子どもは就寝時に体力が有り余っていると、うまく寝付けなかったり夜中に何度も起きてしまうことがあります。まだ自分で歩けないような年齢の子どもでも、手足をバタバタさせたりハイハイするだけで体力の消耗に繋がります。しかし、就寝前に激しい運動をしてしまうと体温や心拍数が上がってしまい、かえって興奮状態になってしまいますよ。運動は就寝前を避け、適切なタイミングで行いましょう。

日の光を浴びる

日中に日の光を浴びることは、体内の生活リズムを整えるうえで非常に重要です。光を浴びることで、生活リズムの調整に役立つメラトニンというホルモンの分泌が促され、自然な眠気や目覚めのリズムが保たれやすくなります。特に、朝起きてすぐに太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされ、昼夜逆転の生活リズムを防ぐ効果が期待できます。加えて、朝食をしっかりとることも生活リズムの安定に役立ち、心身ともに健康的な一日をスタートさせることができるでしょう。

部屋の温度を調節する

子どもの入眠を促し、快適な睡眠がとれるように部屋の温度を調節することも重要な取り組みです。子どもが快適に眠れる部屋の温度とは、夏場は25℃前後、冬場は16~19℃とされていますよ。暑すぎたり寒すぎたりすると、眠りが浅くなり途中で目が覚めてしまう原因にもなります。季節や天候に合わせてエアコンや加湿器、除湿器などを活用し、子どもが安心して眠れる快適な寝室づくりを心がけましょう。

短時間で質の良い昼寝をする

子どもが昼寝をする場合は、短時間で質の良い昼寝をすることを心がけましょう。日中に昼寝を取り入れることは、子どもの成長や集中力の向上に効果的です。しかし、その時間やタイミングには注意が必要ですよ。特に午後遅くに長時間昼寝をしてしまうと、夜の入眠が遅くなったり、睡眠の質が下がったりすることがあります。そのため、昼寝をする場合は30分から1時間程度の短時間にとどめ、なるべく午後3時までに終えるようにしましょう。適切な昼寝は疲労回復や気分の安定にもつながるため、質の良い昼寝を心掛けることが大切です。

ごはんやおやつの時間を前倒しにする

ごはんやおやつの時間を前倒しにすることも、子どもの睡眠障害の予防に効果的です。ごはんやおやつの時間を少し前倒しにすることで、就寝までにしっかりと食べ物が消化され、胃腸が落ち着いた状態で眠りにつくことができます。逆に、寝る直前に食事をとると消化にエネルギーが使われてしまい、寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりすることがありますよ。特に、夜遅い時間の食事は控え、就寝の2~3時間前までには食事を済ませるようにしましょう。ごはんやおやつの時間は子どもだけでは決められません。家族全員で意識して協力することが大切ですよ。

就寝時間の1~2時間前に入浴する

就寝時間の1~2時間前に入浴を済ませておくことで、子どもの寝つきが良くなります。人間は、体内深部の温度が下がると眠気が起こりやすくなります。また、深部体温がゆるやかに下がるとリラックスでき、自然な眠りにつながると言われていますよ。一方、寝る直前に入浴をすると、体温が高いまま就寝することになってしまい、眠りにつきにくくなる傾向です。リラックスできる入浴環境と入浴のタイミングを意識して、良質な睡眠につなげていきましょう。

寝る前のテレビやスマホを控える

寝る前のテレビやスマートフォンは控えましょう。テレビやスマートフォンのブルーライトは視神経を刺激します。視神経が刺激されると脳を興奮状態にしてしまうため、寝つきが悪くなったり睡眠の質が低下したりしますよ。特に子どもは影響を受けやすいため、就寝1時間前からはテレビやスマートフォンの使用を控えるようにしましょう。寝る前の時間は、親子で絵本を読んだり穏やかな会話を楽しんだりして、リラックスした雰囲気で過ごすことが大切です。

まとめ

子どもの睡眠障害を予防しよう!

いかがでしたか?今回は、子どもの睡眠障害で見られる症状や乳幼児に必要な睡眠時間、子どもの睡眠障害を予防するための方法など、子どもの睡眠障害について詳しく解説しました。子どもたちにとって睡眠は心身の成長に大きく影響するため、幼い頃から規則正しい生活を送ることがとても大切です。しかし、子どもの睡眠障害は生活の改善だけで治すことが難しい場合もあります。心配になる様子が見られたときは医療機関を受診して、適切な治療を受けましょう。子どもの健やかな成長につながりますよ。