解離性健忘とは?【子ども・原因・治療・チェック・症例・いじめ・一時的】

皆さんは、解離性健忘という障害をご存知ですか?解離性健忘は、心的外傷やストレスなどが原因で、子どもから大人まで年齢に関係なく発症してしまう可能性がある障害です。日常生活に大きな支障が出ることもある解離性健忘は、周囲の理解が必要不可欠です。そこで今回の記事では、解離性健忘の種類や症状、原因や治療法を詳しく解説していきます。解離性健忘についての知識を身につけたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

解離性健忘とは?

心的外傷やストレスなどが原因の記憶障害

解離性健忘とは、心的外傷や強いストレスが原因で記憶が失われる障害です。特に、心理的な衝撃やトラウマが関与することが多く、自分にとって耐えがたい記憶を無意識に封じ込めてしまうことがあります。日常生活に必要な基本的な記憶は保たれるものの、特定の出来事や個人情報を思い出せなくなるのが特徴です。また、この症状は一時的な場合もあれば長期間にわたることもあります。解離性健忘の治療には、心理療法やカウンセリングが有効とされていますよ。

解離性健忘の種類は?

限局性健忘

解離性健忘の1つ目の種類は、限局性健忘です。これは、特定の期間の記憶が部分的または完全に失われる現象を指します。限局性健忘は、いじめや虐待などの強いストレスやトラウマを経験した際、その出来事に関連する記憶だけが抜け落ちて思い出せなくなってしまいます。また、事故や災害などの衝撃的な体験後に発症することも多く、本人は記憶が抜けていることに気づかない場合がありますよ。このように限局性健忘は、脳の損傷が原因ではなく精神的な要因が大きいため、精神療法や薬物療法、催眠療法などの心理的な治療が重要とされています。

選択的健忘

解離性健忘の2つ目の種類は、選択的健忘です。これは、特定の出来事の中でも特に辛い部分だけを思い出せなくなる現象を指します。例えば、事故や虐待などのトラウマ体験の一部は覚えていても、最も苦痛を伴う瞬間の記憶だけが抜け落ちるということがあげられます。限局性健忘よりも記憶の喪失範囲が狭く、部分的に思い出せる点が特徴です。また、限局性健忘と同時に発症する場合もありますよ。適切なカウンセリングや心理療法によって、記憶を取り戻す可能性があるとされています。

全般性健忘

解離性健忘の3つ目の種類は、全般性健忘です。全般性健忘は、自分の名前や過去の出来事など、人生で経験してきた記憶を全体的に忘れてしまう現象を指します。全般性健忘の多くは突然発症して、自分が何者なのか、どこにいるのかも分からなくなり日常生活に多大なる影響を及ぼします。例えば戦争や性的暴力など、非常に強いストレスやトラウマが引き金となり発症すると考えられていますよ。全般性健忘は他の健忘よりも症状が深刻なケースが多く、完全には記憶が回復しない傾向です。しかし、時間の経過や適切な治療により部分的に記憶が戻る可能性があります。本人にとって負担の無いペースで体調に配慮しながら支援をしましょう。

系統的健忘

解離性健忘の4つ目の種類は、系統的健忘です。系統的健忘とは、特定の人物や出来事、あるいは特定の情報に関する記憶だけが失われる現象を指します。例えば、ある特定の人との思い出や、特定の場所に関する記憶だけが抜け落ちることなどがあげられます。他の記憶は正常に保たれているため、本人や周囲の人が気付きにくいことも特徴ですよ。系統的健忘は心理的な防衛反応の1つと考えられており、ストレスやトラウマに関連する情報を無意識に遮断することで心を守ろうとする仕組みであるとされています。

持続性健忘

解離性健忘の5つ目の種類は、持続性健忘です。持続性健忘は、発症後の新しい記憶を保持できず、出来事を覚えてもすぐに忘れてしまう現象を指します。通常の物忘れとは異なり、過去の記憶は残っているものの新しい情報が定着しにくいため、日常生活に支障をきたします。脳の損傷が原因ではなく、心理的な要因によって引き起こされるため、過去に経験したストレスやトラウマが関係していることが多いと考えられますよ。適切な心理療法や環境調整によって、症状の改善が期待できる場合もあります。

参考:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/08-%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%A7%A3%E9%9B%A2%E7%97%87%E7%BE%A4/%E8%A7%A3%E9%9B%A2%E6%80%A7%E5%81%A5%E5%BF%98

解離性健忘の原因とは?

事件や事故などの外傷的な体験

解離性健忘の1つ目の原因は、事件や事故などの外傷的な体験です。事件や事故などにより強い衝撃や極度の恐怖を伴う出来事が発生すると、心がその記憶を遮断し、思い出せなくなることがあります。例えば、交通事故の被害者が事故の瞬間だけを覚えていない場合や、犯罪被害者が事件に関する記憶だけを失うケースなどがあげられますよ。これは、精神的な自己防衛の一環として起こる現象であり、脳が意図的に苦痛を避けようとする結果と考えられています。

虐待やDVなど家庭内で受けたストレス

解離性健忘の2つ目の原因は、虐待やDVなど家庭内で受けたストレスです。長期間にわたり家庭内暴力や心身への虐待を受けると、その強い恐怖や苦痛を伴う記憶が遮断され、思い出せなくなることがあります。特に幼少期の虐待では、成長してからも当時の記憶が欠落していることが多く、フラッシュバックや解離症状として現れる場合もありますよ。これは、心が自らを守るために記憶を封じ込める防衛反応と考えられています。

貧困などによる経済的困窮

解離性健忘の3つ目の原因は、貧困などによる経済的困窮です。極度の生活苦や将来への不安が続くと、心が大きなストレスを受け、記憶を失ってしまうことがあります。例えば、借金問題や突然の失業に直面して精神的に追い詰められた結果、特定の出来事や期間の記憶が抜け落ちてしまうことがあります。また、日々の生活に必死になるあまり、過去の辛い体験を無意識に忘れようとする場合もありますよ。こうした症状には、専門的なカウンセリングや支援を受けることが重要です。そして、心から安心できる環境を整えることも回復への鍵となります。

いじめや離婚などの対人的なストレス

解離性健忘の4つ目の原因は、いじめや離婚などの対人的なストレスです。人間関係における強い精神的苦痛が続くと、心が耐えきれずに記憶の一部を遮断することがあります。例えば、深刻ないじめを受けた人がその期間の出来事を思い出せなくなったり、離婚による精神的ショックで結婚生活の記憶が抜け落ちたりするケースなどがあげられます。これは、心を守るための無意識の防衛反応と考えられており、心理的なサポートを受けることで安心感を取り戻し、少しずつ記憶が回復する可能性がありますよ。

解離性健忘の治療法は?

支援に適した環境を用意する

解離性健忘の治療をするためには、支援に適した環境が必要不可欠です。安心できる場所や理解のある人々に囲まれることで、精神的な安定を取り戻しやすくなりますよ。特に、トラウマや強いストレスが原因の場合は無理に記憶を取り戻そうとする必要はありません。まずは、信頼と安心を感じられる環境で、本人のペースに寄り添うことが重要です。カウンセリングや心理療法を受けられる環境を整えることで、徐々に記憶が回復することもあります。

記憶想起法

解離性健忘の治療には、記憶想起法という治療方法もあります。これは、欠落した記憶が回復しない場合や、早期に記憶を取り戻す必要がある場合に用いられます。記憶想起法では、催眠と薬を活用した面接を行います。医師は安全な環境で患者をサポートしながら、無理のない範囲で記憶を呼び戻す手助けをします。ただし、無理に思い出させることは逆効果になる場合があるため、慎重に進める必要がありますよ。患者は適切な治療を受けることで、徐々に記憶を回復し精神的な安定を取り戻せると期待されています。

精神療法

解離性健忘の症状が改善された後に、精神療法を行うこともあります。この療法では、患者がストレスやトラウマと向き合い、適切な対処法を学ぶことを目的としています。認知行動療法や支持的療法などが用いられることが多いです。過去の経験を整理し、心の傷を癒すことで、より安定した生活を送ることが可能になりますよ。精神療法による効果は以下の通りです。

・病気の原因である出来事について理解する
・その出来事や問題を解決する方法を見出す
・将来のトラウマ体験をあらかじめ避ける

解離性健忘の合併症

うつ病

解離性健忘の合併症として、うつ病があげられます。特に、強いうつ症状や不安症状が現れた際に、解離性健忘を合併することがあるのです。強い精神的ストレスや感情の負担により、脳が防衛反応として特定の記憶を遮断し、思い出せなくなります。そのため、治療ではうつ病や不安症状への対処も重要になりますよ。適切な精神療法や薬物療法を併用し、心の負担を軽減することで、解離性健忘の症状とうつ病の改善が期待できます。

パニック障害

パニック障害も解離性健忘の合併症の1つです。パニック障害の発作時には、突然の強い不安や恐怖を感じ、身体的な症状とともに強いストレスが生じます。その影響で、脳が防衛反応として特定の記憶を遮断し、健忘が発生することがありますよ。特に、発作が繰り返されると、記憶の欠落が広がる可能性もあります。そのため治療では、パニック障害への対処も重要です。精神療法や薬物療法を組み合わせて不安やパニック発作を軽減しながら、記憶の回復を目的とした治療が行われる場合があります。

社会不安障害

解離性健忘の合併症には、社会不安障害もあげられます。社会不安障害は、人前での緊張や対人関係において強い不安や恐怖を感じる点が特徴です。そのストレスが原因で健忘が発生することがありますよ。特に、人との関わりに極度の恐怖を感じた際に脳が防衛反応として記憶を遮断し、一部の出来事を思い出せなくなることがあるのです。そのため治療では、社会不安障害の症状にも対応し、不安や恐怖を軽減させる必要があります。

解離性健忘の症状かもと思ったら

精神科や心療内科で相談しよう

日常生活の中で大切な記憶が抜け落ちたり、特定の出来事を思い出せなくなったりした場合は、解離性健忘の可能性があります。強いストレスや精神的な負担が原因で発症することがあるため、放置せずに適切な対応をとることが大切ですよ。そのため「もしかしたら解離性健忘かも?」と思ったら、精神科や心療内科で相談してみましょう。専門の医師が症状を詳しく診察し、必要に応じた治療やサポートを提供してくれますよ。早めの受診が、早期回復への第一歩になるでしょう。

まとめ

解離性健忘の症状は適切な治療で改善できる

いかがでしたか。今回は、解離性健忘について詳しく解説していきました。解離性健忘は、脳機能に損傷などがなくても、心的外傷やストレスが原因で記憶を失ってしまう病気です。解離性健忘を発症している人のなかには、記憶を失っていることに気づいていない方もいますよ。解離性健忘の症状は適切な治療で改善することが期待できます。そのため、身近な人や子どもと会話をするなかで「解離性健忘かも?」と感じた場合は、この記事を参考に話を聞いてみてくださいね。