近年、”マイナンバー”や”マイナポータル”といった言葉をよく耳にしますよね。これらは、私達の生活に欠かせないものとなってきているようです。その中でも今回は、国家資格等のオンライン・デジタル化について紹介します。オンライン・デジタル化が進むことによって、さまざまなことが簡単にできるようになるそうです。国家資格等のオンライン・デジタル化についての知識を深め、さまざまな機能を使いこなせるようになりましょう!(※本記事に掲載する情報は、2024年11月27日時点での情報です。)
国家資格等のオンライン・デジタル化とは?
国家資格等の各種手続きをオンライン上で行えるようになること
国家資格等のオンライン・デジタル化とは、84の国家資格等の各種手続きをオンライン上で行えるようになることです。2024年の8月から、デジタル庁によって開始されました。今までは、多くの国家資格等に関する手続きは紙媒体で行うことが前提でした。しかし、近年インターネットが著しく発達していることを受け、より便利に手続きを行うことができるように国家資格等のオンライン・デジタル化が取り入れられました。引き続き紙媒体での手続きも可能ですが、資格保有者にとっても行政機関等にとってもたくさんのメリットがあるため、オンライン・デジタル化の活用が推進されています。
オンライン・デジタル化の対象資格は?
2024年8月に開始した資格
各種国家資格等がオンライン・デジタル化の対象となる時期は、各資格によって異なります。2024年8月6日に開始となったのは、以下の4つの資格です。
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 公認心理師
2024年11月・2025年1月・2025年夏以降に開始予定の資格
2024年11月から2025年夏以降に順次オンライン・デジタル化の対象となる予定の資格は以下の通りです。
- 社会保険労務士
- 保険医
- 保険薬剤師
- 税理士(登録)
- 行政書士
- 海技士
- 小型船舶操縦士
現時点では、上記7つの資格は近いうちにオンライン・デジタル化の対象となる予定です。しかし、今後運用開始時期が大きく変更になる可能性もあるでしょう。変更があった場合は、デジタル庁『国家資格等のオンライン・デジタル化』のサイトが更新されるため、随時確認してみてくださいね。
2025年秋以降に開始予定の社会保障に関する資格
2025年秋以降に順次オンライン・デジタル化の対象となる予定の社会保障に関する資格は以下の通りです。
- 医師
- 医師臨床研修修了者
- 歯科医師
- 歯科医師臨床研修修了者
- 薬剤師
- 看護師
- 准看護師
- 保健師
- 助産師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 視能訓練士
- 義肢装具士
- 言語聴覚士
- 臨床検査技師
- 臨床工学技士
- 診療放射線技師
- 歯科衛生士
- 歯科技工士
- あん摩マッサージ指圧師
- はり師
- きゅう師
- 柔道整復師
- 救急救命士
- 管理栄養士
- 栄養士
- 保育士
- 介護支援専門員
2025年秋以降に開始予定の社会保障以外に関する資格
2025年秋以降に順次オンライン・デジタル化の対象となる予定の社会保障以外に関する資格は以下の通りです。
- 受胎調節実地指導員
- 国家戦略特別区域限定保育士
- 行政書士
- 司法試験
- 司法試験予備試験
- 情報処理安全確保支援士
- 教員
- 一級建築士
- 二級建築士
- 木造建築士
- 建築物調査員
- 建築設備等検査員
- 建築基準適合判定資格者
- 構造計算適合判定資格者
- マンション管理士
- 自動車整備士
- 海事代理士
- 衛生管理者
- 救命艇手
- 全国通訳案内士
- 地域通訳案内士
- 精神保健指定医
- 調理師
- 理容師
- 美容師
- 給水装置工事主任技術者
- 製菓衛生師
- クリーニング師
- 専門調理師
- 衛生検査技師
- 建築物環境衛生管理技術者
- 死体解剖
- 登録販売者
- 医師少数区域経験認定医師
- 難病指定医
- 小児慢性特定疾病指定医
- 職業訓練指導員
- 技能士(132種)
- キャリアコンサルタント
- 労働安全コンサルタント
- 労働衛生コンサルタント
- 作業環境測定士
- 特定社会保険労務士
- 労働安全衛生法による免許(20種)
- 技能講習修了証(69種)
- 年金数理人
オンライン・デジタル化によってできることは?
各種申請
オンライン・デジタル化によってできるようになることの1つ目は、各種申請です。各種申請がオンラインでできるようになったことで、必要な書類をオンラインで提出できるようになります。平日に仕事をしている人にとっては、書類を提出しに役所へ行くことが困難な場合もありますよね。オンラインでの書類提出が可能になることで、多忙な人でも簡単に手続きが可能になります。また、マイナポータル上で、申請状況の確認(審査中・審査済みなど)をすることもできますよ。
資格情報の確認や更新
2つ目は、資格情報の確認や更新です。住民基本台帳ネットワークシステムおよび戸籍情報連携システムとの連携により、婚姻や引っ越しで住所や氏名が変わった場合に必要な手続きを、簡略化することができます。また、マイナポータル上で自身の資格情報について確認することもできるようになります。資格保有者だけでなく、資格管理者にとっても、最新の本人確認情報および戸籍情報の確認が可能になるため、作業の効率化が可能となるでしょう。
提出書類の省略
3つ目は、提出書類の省略です。マイナンバーの活用により、住民票等の写しの提出を省略することができるようになります。さまざまな手続きをする際、住民票等の本人確認書類が必要になることがあります。正直、住民票1枚を取るためだけに役所に行くのは手間だと感じる人も多いでしょう。このとき、マイナンバーの活用をすることで市役所に行く手間を減らすことができます。また、マイナンバーの確認やマイナポータルの利用は手元のスマートフォンから簡単にできるため、急に住民票が必要になったときでもすぐに対応することができますね。
手続きに必要な支払いのオンライン決済
4つ目は、手続きに必要な支払いのオンライン決済です。クレジットカードを持っている人であれば、申請に必要な費用の支払いをオンラインで済ませることができます。オンライン決済であれば前述した提出書類の省略同様、金融機関や行政機関の窓口に行く必要がなくなるため、支払いに行く手間を減らすことができますよ。また、支払いが必要な際はインターネット上にお知らせが届くため、支払い忘れも減らすことができます。
デジタル資格者証の利用
5つ目は、デジタル資格者証の利用です。デジタル資格者証とは、資格の名称や発行日、QRコード、氏名や生年月日、本人写真などが記載された証明書のこと。資格者証を紙媒体だけでなくデータとしても利用できるため、自身の資格を証明する際や利用する際の利便性が高まります。また、デジタル資格者証には、電子署名を付与することで改ざん検知が可能になる仕組みがあります。そのため、大切な資格者証をデジタル媒体で扱うことに不安な人でも、安心して利用することができるでしょう。デジタル資格者証の活用方法については、後ほど詳しく解説します。
デジタル資格者証の活用方法は?
データのまま活用する
デジタル資格者証の活用方法には、データのまま利用する方法と紙に印刷して利用する方法があります。データのまま活用するには、以下のような使い方があります。
- 対面でデジタル資格者証を提示(目視確認やスマホ読み取りでも確認可能)
- メールで資格者証データを添付し送付
印刷して活用する
印刷して活用するには、以下のような使い方があります。
- 印刷した資格者証を対面で提出
- 印刷した資格者証を郵送で提出
オンライン・デジタル化の利用方法は?
マイナンバーカードを取得する
国家資格等のオンライン・デジタル化を利用するためには、どのような手順が必要なのでしょうか。まず、利用するためにはマイナンバーカードを取得する必要があります。国内の人口に対するマイナンバーカード保有枚数率は、令和6年7月末時点で74.5%となっています※。国家資格等のオンライン・デジタル化の他にもマイナンバーカードを利用してできるようになることは多くあるため、まだ取得していない人は、ぜひマイナンバーカードの取得を検討してみてくださいね。
※総務省『【都道府県】マイナンバーカードの交付・保有状況(令和6年7月末時点)』を参照
マイナポータルで初期設定をする
マイナンバーカードを取得したら、マイナポータルで初期設定をしましょう。取得したマイナンバーカードと国家資格をマイナポータルで連携させることで、前述したようなサービスを利用することができます。初期設定の手順は以下の通りです。
- マイナポータルへログインする
- 「さがす」から「国家資格」または「証明書」を押下する
- 「国家資格の登録・各種申請」から「資格を追加する」を押下し、登録する国家資格を選択し、その後の手続は画面の案内に従って操作する
デジタル化におけるマイナンバーカードの今後
マイナンバーカード機能をiPhoneに搭載
国家資格等のオンライン・デジタル化も含め、今後、さまざまなサービスや機能がデジタル化されることが予定されています。1つ目は、マイナンバーカード機能をiPhoneに搭載することです。Androidでは令和5年5月からマイナンバーカードの機能が利用できるようになっていますが、iPhoneでも令和7年春後半ごろから同機能が利用できるようになる予定です。iPhoneにマイナンバー機能が搭載されることで対応可能になることは、以下の通りです。
- 本人確認
- 基本4情報(氏名・生年月日・住所・性別・マイナンバー・顔写真など)の提供
- マイナポータルの利用
- 各種民間サービスのオンライン申込・利用
- コンビニ交付サービスの利用
- (予定)健康保険証としての利用
災害時の活用
2つ目は、災害時での活用です。さまざまな情報が行き交い混乱状態となってしまう災害時ですが、マイナンバーカードを利用することで、円滑な情報把握が可能になるでしょう。今後、災害時には以下のような活用方法が予定されています。
- 被災者情報の把握におけるマイナンバーカードの活用
- 避難所におけるマイナンバーカードの活用
- マイナポータルからオンラインでできる被災者支援手続きや対応市町村の拡大
運転免許証との一体化
3つ目は、運転免許証との一体化です。マイナンバーカードと運転免許証が一体化されたマイナ免許証は、令和7年3月24日からの運用開始が予定されています。マイナ免許証を取得することで、運転免許更新時の講習をオンラインで受講できたり(優良運転者・一般運転者のみ)、住所変更などの手続きをワンストップでできるようになったりします。運転免許証とマイナンバーカードの一体化については、注意点などもあるため、詳しくは警視庁の公式ページを確認してみてくださいね。
まとめ
国家資格等のオンライン・デジタル化を活用しよう!
いかがでしたか?今回は、オンライン・デジタル化によってできるようになることや利用方法、デジタル資格者証の活用方法など、国家資格等のオンライン・デジタル化について詳しく解説しました。国家資格等のオンライン・デジタル化が進むことによって、手続き上の手間を減らすことができたり、活用の幅が広がったりします。特に、平日に役所へ出向くことが困難な人にとっては、非常に便利なシステムですよね。対象の資格を持っている人は、ぜひオンライン・デジタル化を活用して、生活の質の向上につなげていきましょう!